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「解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法」馬田隆明

2024/02/19公開 更新
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「解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法」馬田隆明


【私の評価】★★★★☆(85点)


要約と感想レビュー

質問ができないのは解像度が低い

タイトルの「解像度を上げる」とは、目の前の課題に対して構造ツリーを細かく書けるのか、ということです。例えば、公園にを歩いていて、「緑が生い茂っている」という認識よりも、木の種類、葉っぱの特徴まで知っているとすれば、解像度は高いということです。


人材採用のときに、「コミュニケーション能力が高い人が欲しい」という求人を出すよりも、「現場で顧客のニーズを直接聞きながら、システムの要件をまとめられる人」のほうが解像度が高く、よりニーズにあった人を集めることができるでしょう。よく仕事では資料をシンプルにしろ、論点は1つなどと言われますが、これは、複雑なことを高い解像度で複雑なものとして捉えたうえで、重要なポイントは何なのか言えるのかということなのです。


分からないところが、分かっているか・・・疑問がない、質問ができないのは、解像度が低い(p40)

関連事例を100知っているか

東京大学で著者が起業家にアドバイスしているのは、起業のアイデアの解像度を上げるためには、約1000時間、一つの領域に取り組んで初めて全貌が見え始めるということです。例えば、宇宙ごみ(デブリ)除去サービスを立ち上げた岡田氏は、「宇宙デブリに関する論文を1000本読み、主要な教授を訪問した」という。だから、自分の課題に関連する業界の本を端から端まで買う。アプリを作るなら最低100個のアプリを触って、それぞれの感想をメモする程度のことはしてほしいのです。


新商品を開発する場合にも、アンケートを取ったり、インタビューをしますが、対面インタビューこそに、顧客ニーズの機微なところのヒントが隠れているという。アンケートは、あくまで全体の傾向を浅く広く知るために使うもので、顧客インタビューも30~50人程度にして、ようやく新製品のヒントが見つかるかどうかなのです。


関連事例を「100」程度知っているか・・300や400以上知ると、ようやく頭の中に地図ができてきます(p116)

行動量の多さで検証する

解像度を上げていっても、どうしてもわからないことは出てきます。その段階で、仮説を立てて検証することで、見えていなかったところが見えてくるというわけです。著者の知る優れた起業家の多くは、行動量と手数の多さが圧倒的で、何かの情報を手に入れてると、興味があればすぐに実行して検証してみるという。実際、ソフト開発では、最低限機能するものを作り、それを使ってもらい、ユーザーからのフィードバックでソフトを改善していく開発手法があるのです。


徹底的に情報を集め、考えて、すぐに行動することで、解像度を上げていこうというのが著者の言いたいことなのでしょう。構造ツリーをここまで追求して書けるのは素晴らしいと感じました。馬田さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・解像度の高さが何によって構成されているか・・「深さ」「広さ」「構造」「時間」の4つの視点(p19)


・「時間」をチェックする・・短期的な目標はなんで、長期的な目標としてどこまで辿り着きたいのか、そこに至るまでの道筋は・・(p49)


・顧客にインタビューをする際、最も気を付けたいのは、顧客の意見ではなく、事実を聞くこと(p125)


・現場で観察するときには、可能な限り写真や動画を撮る(p143)


・コミュニティに参加すると、深く考えるためのヒントや、情報をもらえます・・必然的に言語化や壁打ちの機会が生まれます(p166)


・今の10倍の性能を出せる手段はないのか・・今の10分の1の価格で作る方法はないのか(p181)


▼引用は、この本からです
「解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法」馬田隆明


【私の評価】★★★★☆(85点)


目次

1 解像度を上げる4つの視点
2 あなたの今の解像度を診断しよう
3 まず行動する・粘り強く取り組む・型を意識する
4 課題の解像度を上げる―「深さ」
5 課題の解像度を上げる―「広さ」「構造」「時間」
6 解決策の解像度を上げる―「深さ」「広さ」「構造」「時間」
7 実験して検証する
8 未来の解像度を上げる



著者経歴

馬田隆明(うまだ たかあき)・・・東京大学産学協創推進本部FoundX ディレクター。トロント大学卒業後、日本マイクロソフトを経て、2016年から東京大学。東京大学では本郷テックガレージの立ち上げと運営を行い、2019年からFoundXディレクターとしてスタートアップの支援とアントレプレナーシップ教育に従事する。様々な起業志望者、起業家からの相談にアドバイスをするほか、スタートアップ向けのスライド、ブログなどで情報提供を行っている


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