「今いる仲間で「結果が出る会議」をつくる」池本克之
2024/01/16公開 更新本のソムリエ [PR]
Tweet
【私の評価】★★★★☆(85点)
要約と感想レビュー
上昇志向のリーダーとがんばれないメンバー
課題を解決する会議によって、継続的に学習する組織を作ることを提案する一冊です。会議の方法自体は、GEのワークアウトやQC活動に似ています。
普通の会社の会議では、進捗状況が報告され、それに対し上司が指示、指導するというパターンでしょう。こうした会議では、上昇志向のリーダーと、そこまでがんばれないメンバーとの間にギャップが生じてしまうことがあるという。実は、著者もバリバリ自分で仕事をするタイプでした。できない部下の仕事までやっていたのです。部下に対して不信感を持っていたこともあるし、部下も同じように感じていたのかもしれません。
そうした中で著者が出会った会議は、アメリカ帰りの上司の会議スタイルでした。議題を書き出し、全員が発言し、やるべきことが決まったら、担当者と期限を決めて解散するというものだったのです。リーダーはあまり発言することはなく、全員が発言し、リーダーも参加者の一人として発言するだけです。リーダーは大きな目標を示すだけで、どうやるかは部下に任せていたのです。
「口だけ出して動かない上司」こそが、実は理想のリーダー像なのです(p179)
課題解決型の会議とは
著者がコンサルに入ると、コンサルタントに課題を解決してもらおうという企業が多いという。それに対して著者は、自分たちで課題を発見して解決する力をつけることを提案しています。つまり、著者が課題を解決してあげるのではなく、今いる人たちで、課題を見つけ、解決策を考え、行動するのです。そのために、自ら学ぶ風土を作ることが著者の提案なのです。
この本で説明されているのは、課題解決型の会議です。特徴としては、アイスブレイクから入って、参加者の背景の共有を行うところでしょう。つまり、メンバーがどのような人生を歩んできたのか語ってもらうのです。これはメンバー相互理解が足りていないと、ちょっとしたことで疑心暗鬼になったり、誤解からトラブルになったりする恐れがあるからです。著者は部下の本質を理解しようとしないリーダーに対して、部下を「人」として見ていないのではないでしょうか、と警鐘を鳴らしています。
他人から「やれ」と言われたら嫌になるけれど、自分でやると決めたらやるのです(p82)
自ら社員が課題を解決する組織風土
課題解決型会議は、標準的な内容となっています。会議に集中するためのルール、発言のルールを決めておきます。例えば、携帯電話の電源はオフにすることにしておきます。目標を設定し、課題を洗い出し、課題をカテゴリー化して解決策をグループで討議します。解決策が決まったら、誰が、いつまでに、何をするのか、リスト化します。そして週1回メンバー全員で進捗状況を確認するというものです。
メンバー全員が発言する会議を目指していることがわかりました。著者の目指すところは、単なる課題の解決ではなく、自ら社員が課題を解決する自律的な組織風土なのだとわかりました。社員が自律的になれば、月一回くらい、上司と部下で1on1で業務の目標管理や進捗状況を確認することで、仕事は回っていくのです。池本さん、良い本をありがとうございました。
無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信) 3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。 |
この本で私が共感した名言
・人を育てるには・・経験させること・・本人が経験の中から自分で学べるようにする(p80)
・リーダーとして必要なこと・・「価値感の共有」と「目標設定」です(p66)
・学びの習慣化・・読んだ本の感想を月に1冊分載せることをルールにしました(p157)
【私の評価】★★★★☆(85点)
目次
序章 "優秀なリーダー"が必ず落ちる会議の落とし穴とは?
第1章 こう考えれば、バラバラなチームも必ずまとまる
第2章 これが、今いる仲間で「結果を出す」会議のやり方
第3章 みるみるチームの発言が増える4×4のしかけ
第4章 結果を出す会議は「課題発見力」で決まる
第5章 この会議後の「フォロー」で部下が動き続ける
著者経歴
池本克之(いけもと かつゆき)・・・組織学習経営コンサルタント。株式会社パジャ・ポス代表取締役。NPO法人Are You Happy?Japan代表理事。1965年神戸市生まれ。マーケティング会社、通販会社の経営を経て、ドクターシーラボ、ネットプライスなどの社長を経験。年商3億円の企業をわずか4年で120億円にするなど、両社の上場、成長に貢献。現在は7社の社外取締役を務めつつ、コンサルタントとして一部上場企業からベンチャー企業まで300社以上を指導。
この記事が参考になったと思った方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
この記事が気に入ったらいいね!
コメントする