「注意ワード・ポイントを押さえれば文章は簡単に直せる!!」前田 安正
2023/08/18公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(82点)
要約と感想レビュー
描写とは、文章で映像をつないでいくこと
元朝日新聞校閲センター長が教える文章を書くコツ、見直すコツです。世の中には、構成をしっかり決めてから書き始めるタイプと、どんどん書きながら見直ししていくタイプがいます。著者は校閲のプロだけあって、じっくり見直ししていく後者のようです。
イキイキした文章を書くためには、描写が大切です。描写とは、映像を意識して文章で映像をつないでいくこと。そして、「状況」→「行動」→「変化」と描写していくことで、読む側にとって流れるようなストーリーとなるのです。伝えたいことは前に出して、書き出しは言い切ること。できるだけ簡潔な文章でつないでいくのが、キレの良い文章なのでしょう。
・注意ポイント・・~ではないだろうか・・書き出しは言い切る(p116)
読みやすさとエビデンスの確認
新聞記事の校閲してきただけあって、具体的な文章で校閲前後を比較して説明してくれるのが、わかりやすさの理由だと思いました。例えば、「伝えたいことは前に出す」というコツは、実際の文章で前に出してみると、確かにわかりやすいのです。言い切ると、書いている人の意思が直接伝わるように感じるのです。
また、新聞社の校閲においては、単語が正しいのか、正しい意味で使われているのか、エビデンスはあるのか、なければ何を確認するのか、細かいところまでチェックが入っていることがわかります。個人のブログやSNSへの投稿と違って、報道機関としてはエビデンスの確認、裏取りは基本の基本であり、読者からの信頼の基礎になるものなのでしょう。
・校閲からも、指摘・・「奇妙な英語混じり」は、会社の取り決めでは「奇妙な英語交じり」・・「人情話」は、落語なので「人情噺」として「ばなし」をルビ付きにしてはどうか(p142)
必ず裏付けを取る
本書の最初に「エビデンスを探し、他の見解がないかどうかを確認する」と書き、最後のまとめで「人の話を聞いて、それを鵜呑みにしてはいけない」「必ずその裏付けを取って違う角度からのエビデンスを取る」とはっきりと書いています。元朝日新聞校閲センター長として朝日新聞へ言い残したいことなのか、それとも朝日新聞への嫌味で書いたのか判断に迷いました。このように素晴らしい校閲センターがあったのに、朝日新聞がこれまで角度をつけて報道してきたこととの整合が取れないように感じるのです。
文章の見直しの視点がわかりやすく説明されているところが、ありがたい一冊でした。前田さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・伝えたいことは前に出す・・前置きは不要。伝えたいところから書く(p112)
・批判的に読む・・書かれてある内容について「本当にそうなのだろうか」と、そのエビデンスを探し、他の見解がないかどうかを確認すること(p14)
・人の話を聞いて、それを鵜呑みにしてはいけない・・必ずその裏付けを取って違う角度からのエビデンスを取る(p243)
【私の評価】★★★★☆(82点)
目次
第1章 伝えるとは何か
第2章 改めて5W1H
第3章 新聞記事の変遷から文章を考える
第4章 文の構造を考える(文の構造のルール、注意ワード①②③)
第5章 文章の構造を考える(ポイント1「簡潔に書く」文章構造のルール①②③④)
第6章 筆者、デスク・編集、校閲の視点から見た文章
第7章 文章を点検する際のポイント
第8章 校閲七つの教訓/第9章 気を付けるべき表現 その考え方
著者経歴
前田 安正(まえだ やすまさ)・・・未來交創代表取締役。文筆家/文章コンサルタント。朝日新聞元校閲センター長。早稲田大学卒業、事業構想大学院大学修了。朝日新聞社入社、大阪本社校閲マネージャー、用語幹事などを歴任。漢字や日本語についての特集や連載、コラムを担当。現在、企業・自治体の広報・文書のコンサルタントをしている。大学のキャリアセミナーにも出講。新聞、雑誌、ラジオ、テレビなどのメディアにも多く登場している。
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