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「ポジティブ心理学が教えてくれる「ほんものの幸せ」の見つけ方─ とっておきの強みを生かす」マーティン・セリグマン

2023/03/17公開 更新
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「ポジティブ心理学が教えてくれる「ほんものの幸せ」の見つけ方─ とっておきの強みを生かす」マーティン・セリグマン


【私の評価】★★★★☆(83点)


要約と感想レビュー

アメリカ心理学会の会長は、何を考えているんだろうと手にした一冊です。驚いたのは、1998年に著者が会長に選出されるまでアメリカ心理学会では、うつ病や統合失調症、アルコール依存症などの「心の病気」にだけに注目し、患者の生きがいを重視してこなかったというのです。そのため、患者の症状は改善したとしても、患者はみじめな人生を送っていたという。


著者はこうした反省から、患者の欠点を修復しようとする治療よりも、楽観的な思考を教えることで心の病気を予防する方法に取り組むことにしたのです。満足感、幸せ、希望といったポジティブな気持ちを重視する新しい心理学を研究してきたのです。実際、ポジティブな性格の人は、長生きするというデータがあるという。


・楽観主義者は悲観主義者と比較すると、予想寿命より19%長寿だった(p20)


楽観的な人と、悲観的な人の違いはどこにあるのでしょうか。悲観的ですぐにあきらめてしまう人は、自分に起きた問題が「永続的」だと考え、楽観的ですぐにあきらめない人は、問題は「一時的」なものだと考えるという。また、うつ状態の人たちは、過去や未来、そして自分の能力を、悪いほうへと考えてしまう傾向にあるという。


こうした悲観的な考え方を、現実に合った考え方に補正する方法としては、悲観的な自分の考え方を見える化したうえで、それに合理的な理由をつけて反論してみるのがよいそうです。自分の思い込みが正しいのか、正確なものであるのかどうか、根拠をもって検証するわけです。実際、悲観的になったときに冷静に考えるためには、第三者の助けが必要なのかもしれません。


・楽観度を高めるには・・自分の悲観的な考え方を認識したうえで、それに反論する(p137)


面白いのは、ポジティブ心理学を研究している著者自身が、悲観的な人間であったということでしょう。つまり、著者は私生活では、気難しい人間であったというのです。


実際、著者が庭の草取りをしていたとき、5歳の娘が邪魔するので著者は怒鳴ってしまったことがありました。すると娘は、「お父さん、私は5歳のお誕生日のときに、これからは文句を言わないって決めたの。私がやめたんだから、お父さんもそんなふうに怒るのはやめて」と言ったというのです。すごい賢い娘さんですね!


著者はその時、自分がいかに不機嫌な人間であり、5歳の娘の弱点を叱って直すよりも、娘の良い点を伸ばすことが大事であること、そして自分自身の気難しいところを直す必要があることに気づいたというのです。


そもそも著者が気難しい人間であることには、アメリカでは幸せな人は頭が良くないと見られていることにも原因があるようです。つまり、幸せ者=能天気というイメージがあるようなのです。不幸な天才と、幸せなバカということでしょうか。私は幸せなバカになりたいと思います。セリグマンさん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・結婚すると本当に誰もが幸せになれるのだろうか?・・もともと幸せな人だから結婚することができ、結婚生活が長続きするのかもしれない(p77)


・「豊かな生活とは何か」・・・ちょっとした日常の中に、その答えがあると思っている(p24)


・女性は男性の二倍の頻度でうつ病を患い、一般に男性より多くのネガティブな感情をもつ・・女性のほうが男性より頻繁に、強いポジティブな感情を体験する(p79)


・感謝をする会・・・感謝状を表情豊かにゆっくりと、相手の目を見ながら読み上げる(p105)


・一国の指導者たちが、その国が味わってきた長い辛酸の歴史を常に国民に思い起こさせると、復讐心に燃えた暴力的な世論ができあがる(p107)


▼引用は、この本からです
「ポジティブ心理学が教えてくれる「ほんものの幸せ」の見つけ方─ とっておきの強みを生かす」マーティン・セリグマン
マーティン・セリグマン、パンローリング株式会社


【私の評価】★★★★☆(83点)


目次

1 大切なのは幸せになろうとする意欲
2 あなたにとっての強みと美徳
3 幸せというゴールを目指して



著者経歴

マーティン・セリグマン (Martin E. P. Seligman, Ph.D.)・・・アメリカの心理学者(ペンシルベニア大学教授)。1998年、過去最多の票数によりアメリカ心理学会会長に選出された。学習性無力感、うつ病、異常心理学、ポジティブ心理学に関する世界的権威。これまでにアメリカ心理学会(APA)から特別科学貢献賞を複数回、科学的心理学会(APS)からウィリアム・ジェームズ・フェロー賞やジェームズ・マキーン・キャッテル・フェロー賞などを受賞。2009年には長きにわたる心理学への貢献が認められ、英国学士院から初代ワイリー賞を受賞している。またマッカーサー財団をはじめ多くの財団が研究を助成している。


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