「本当は間違いばかりの「戦国史の常識」」八幡 和郎
2023/01/30公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
要約と感想レビュー
戦国時代に人々は豊かになった
テレビで信長や家康のドラマが放映されているので、手にした一冊です。著者がこの本を書いたのは、歴史小説やテレビドラマにはフィクション的なものが多く、歪曲された歴史感を持つ人が多いからだという。さらに、歴史学者は業績になることを第一に奇説に走り、また皇室の権威を否定すると学会で評価されるので、歴史の真実に迫るのは難しいというのです。
例えば、戦国時代といわれる室町時代から安土・桃山時代は、戦乱が多かったのですが、日本全体で見れば、人々は豊かになり、人口も増え、日本的文化生活が成立した黄金時代であったという。
日本文化と言われるものが確立したのは室町時代である。書院造りの住居、茶道や華道などはそれ以前には存在していないのである(p27)
ポルトガルがインドや中国に進出
また、足利義満は明と勘合貿易を行い、日本からは刀剣や硫黄や銅が輸出され、明からは永楽銭が輸入されました。日本に貨幣経済がもたらされたのです。当時は勘合貿易以外にも倭寇による自由貿易が行われるようになり、その後、南蛮船がそれに代わるようになりました。当時はポルトガルがインドや中国に進出し、地球の東側を貿易エリアとしていました。だから、種子島に漂着して鉄砲を伝えたのも、ポルトガルだし、ザビエルを日本に乗せてきたのもポルトガルなのです。
なお、中国にとっては、日本はかつて朝貢してきたのですが、実はローマ帝国や近世のイギリスも朝貢していたのであり、日本だけが中国にへりくだっていたわけではないということも注目しておきたいと思いました。
ザビエルはスペインのナバラ地方出身だが、ポルトガル船に乗ってやってきた・・1494年、西経46度37分より東をポルトガル、西をスペインにする、という条約(p247)
戦国の武士はヤクザに近い存在
戦国時代の各地の地侍は、京で騒乱が起きると、自分の主君である守護の応援部隊として上京して戦いに参加したという。当時の武士はヤクザに近い存在だったのです。歴史の知見が不足しているので、読み切るのに時間がかかってしまいました。
本を評価する前に、もっと基礎知識を積み重ねる必要があるのでしょう。ということで、本の評価については★3としますが、後で評価を変えるかもしれませんので、ご了承願います。八幡さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・織田信長の天下取りは番狂わせか・・父である信秀のときすでに今川義元より優位だった(p68)
・信長は社内パーティー大好きナホリエモン型・・・家臣や庶民と一緒に踊って騒いだりするのが好きだった(p121)
【私の評価】★★★☆☆(77点)
目次
プロローグ 戦国時代、日本は世界の最先進国だった
第1章 室町時代は冴えない時代ではない
第2章 平清盛をお手本にした織田信長
第3章 ナポレオンの先駆者だった豊臣秀吉
第4章 日本を儒教の国にした家康・心の闇
第5章 信玄や謙信の石高は百万石もなかった
第6章 信長より前に上洛した大内・三好の末路
第7章 大航海時代の主役になれず鎖国で引きこもり
著者経歴
八幡和郎(やわた かずお)・・・1951年滋賀県大津市生まれ。東京大学法学部を卒業後、通商産業省(現経済産業省)に入省。フランスの国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任後、現在、徳島文理大学教授をつとめるほか、作家、評論家としてテレビなどでも活躍中
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