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「餃子の王将 社長射殺事件」一橋 文哉

2022/11/18公開 更新
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「餃子の王将 社長射殺事件」一橋 文哉


【私の評価】★★★★☆(80点)


要約と感想レビュー

 先月、「餃子の王将」の大東(おおひがし)社長を殺害した疑いで暴力団幹部が逮捕されたニュースを聞いて、手にした一冊です。報道では、容疑者は2008年に福岡市でゼネコン「大林組」の車を銃撃した罪で服役中。拳銃を4発撃ってバイクで逃走した手口が王将の事件と似ているという。


 この本で説明されている事件の背景を追ってみましょう。まず、ことの発端は三代目社長となった「餃子の王将」創業家の加藤潔氏が、バブルに踊って不動産に多額の資金を投資したり、福岡センチュリーゴルフクラブの経営者Uに約90億円もの融資を行い、焦げ付かせていたことにはじまります。このU氏は政財界から闇社会まで知人が多く、「餃子の王将」が各地に出店する際の土地確保や権利関係の交渉を引き受けていたという。


 さらに、1989年に起きた大阪・ミナミの「餃子の王将」で発生した火災で、ビルオーナーと損害賠償訴訟で対立したとき、「餃子の王将」側の交渉代理人の一人がU氏であり、このときは1億円もの報酬を受け取ったという。最終的にはU氏へ200億円以上の王将の資金が不正に渡り、不動産投資の失敗も含めて王将の負債は400億円以上になり、倒産の危機に陥ったのです。


・「王将」が・・貸し付けた形になっている87億8千万円は、実は、K社がゴルフ場運営会社のビルを買い戻す資金になっていた(p189)


 そうした「餃子の王将」の危機を救ったのが、今回殺害された大東社長なのです。三代目社長潔氏が進めていた合理化経営により売り上げが伸びなくなっていた「餃子の王将」を元の経営方針に戻し、売り上げを拡大させました。大東氏は、新規開店があればどこでも自ら出掛け、店の経営が軌道に乗るまで長期滞在し、調理方法から挨拶の仕方、無料券配布法などを事細かく指導したという。


 そして、400億円を超える負債の整理を進めるなかで、大東社長が闇の勢力から資金調達していたのではないか、というのが著者の見立てです。また、大東氏が殺害される前、百数十万円の現金を数十万円ずつ小分けして紙封筒などに入れ持ち歩いていたことも、なんらかのトラブルに巻き込まれていた可能性があるとしています。


・負債が470億円にも膨れ上がって「王将」が潰れかかった時、実は、裏の世界(闇社会)でも激しい争奪戦が繰り広げられていた(p261)


 この本によれば、潰れかかった「王将」を闇社会の勢力が「王将」を潰して乗っ取るか、生かして乗っ取ろうとしていたという。そうした勢力の乗っ取りを断固拒否したため大東社長は殺されたのではないかというのが、著者の見立てなのです。今回、九州の工藤会系の暴力団幹部が殺人などの疑いで逮捕されました。福岡センチュリーゴルフクラブと何らかの関連があるのでしょうか。真相が明らかになることを望みます。一橋さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・事件前日に関西国際空港から入国し、事件当日のうちに同空港からトンボ返りした中国人の存在(p92)


・一回数百万円の成功報酬で要人暗殺を請け負う中国人ヒットマンの組織がある(p207)


・87億8千万円を・・・「王将」が子会社を経由して・・・トンネル融資・・U氏が経営する不動産関係会社K社であり、貸付金のほとんどが焦げついていた(p186)


・U氏の経営するK社が旧住専やノンバンクから多額の融資を受けながら焦げつかせ、事実上破綻状態になりつつあった(p187)


▼引用は、この本からです
「餃子の王将 社長射殺事件」一橋 文哉
一橋 文哉、KADOKAWA


【私の評価】★★★★☆(80点)


目次

序章 老婦人の告白
第1章 暁の銃弾
第2章 企業テロ
第3章 原点回帰
第4章 ブラック企業
第5章 創業家一族の闇
第6章 中国進出の罠
第7章 新華僑コネクション



著者紹介

 一橋文哉(いちはし ふみや)・・・1954年、東京都生まれ。早稲田大学卒業後、全国紙・雑誌記者を経てフリージャーナリスト。本名など身元に関する個人情報はすべて非公開。1995年、「ドキュメント『かい人21面相』の正体」でデビュー


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