「SMAPはなぜ解散したのか」松谷 創一郎
2022/11/19公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(74点)
要約と感想レビュー
SMAP解散の経緯
最近、元SMAPのメンバーではキムタクしか見ないな、と思いながら手にした一冊です。SMAP解散の経緯を思い出してみましょう。2016年1月に突然、SMAP解散が報道されます。SMAPが4対1に分裂するのではないかという内容です。その後、ジャニーズ事務所とSMAPとの話し合いの結果、飯島マネージャーが退社し、SMAPは存続することになったのです。
これを受けて2016年1月18日にはSMAPメンバーが、テレビ番組「スマスマ」で謝罪しました。一端はこれで収まったかと思われたSMAP解散騒動ですが、2016年8月にはSMAPの年内解散が発表されるのです。
著者はジャニーズを退社した中居、稲垣、草彅、香取の4人は、退社のデメリットを理解しつつ、飯島マネージャーへの"義理と人情"を採ったのだと表現しています。一度謝罪したのは、4人がジャニーズ事務所の怖さをよく知っていたからであり、その後、なんらかの経緯で飯島と仕事をしていくことを4人は選んだのです。
視聴者の多くは・・"謝罪会見"を異様に感じた・・・ジャニーズ事務所の強圧的な手法を視聴者が目の当たりにした(p78)
藤島ジュリー景子派と飯島三智派
SMAP解散の背景としては、ジャニーズ事務所内に藤島ジュリー景子派とSMAPの育ての親である飯島三智派の派閥があり、その対立の結果ではないかとしています。
そもそもジャニーズ事務所には2つの100%子会社、ジェイ・ドリームとジェイ・ストームがあり、ジェイ・ドリームはSMAPやKis-My-Ft2のメンバーのための会社で取締役に飯島三智がいました。一方ジェイ・ストームは、嵐やTOKIOなどのための会社で、社長を務めるのは藤島ジュリー景子なのです。
2015年のNHK紅白歌合戦ではSMAPの司会を強く推した飯島に対し、メリー副社長はSMAPを司会にするなら、その他のグループはすべて引き揚げると恫喝したと報道されています。両者に何らかの対立関係があったのは、明らかなのでしょう。
ふたつの派閥・・飯島派がSMAPをはじめ、山下智久、Kis-My-Ft2、A,B,C-Z、Sexy Zoneなどで、対してジュリー派が、TOKIOや嵐、NEWS、関ジャニ∞、KAT-TUN、Hey!Say!JUMP(p38)
芸能界は裏切り者は許さない
著者が問題視しているのは、芸能事務所の力が強い日本の芸能界が、主導権が芸能人側にある欧米と比べて異質であるということでしょう。日本では芸能事務所の力が大きいので、勝手に退社して別事務所に移籍したりすれば、所属していた芸能事務所からテレビ局などに有形無形の圧力がかかるのです。
確かに多額の資金をかけて育て上げた芸能人が、稼げるようになったら簡単に移籍するのが許せないのはわかります。つまり、日本の芸能事務所は、芸舞妓が所属していた置屋のようなものなのです。投資を回収するまで年季奉公してもらわないと困るのです。
著者はジャニーズを離れたSMAP4人の今後を心配しています。日本の芸能界は裏切り者は許さないのです。松谷さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・武田鉄矢演じる中学教師とその生徒たちを描いたこの人気ドラマシリーズは、常に「ジャニーズ枠」が存在したたのきんトリオの3人・・ひかる一平・・森且行(かつゆき)は、その枠への抜擢だった(p24)
・「バーター」と呼ばれる抱き合わせ商法・・・同じプロダクション俳優を使うために、原作にはない役をドラマでわざわざ創らせることも珍しくない(p103)
・ジャニーズ事務所の性格を一言で表せば、やはり"義理と人情"になる・・・「家業」である(p48)
・一般企業と違って、芸能プロダクションの内部はなかなか見えない・・そうなると、もはや運でしかない(p180)
・芸能界にかぎらず、日本社会はなぜお互いに足を引っ張ってばかりで、全体でもっと豊かになろうとしないのだろうか(p185)
【私の評価】★★★☆☆(74点)
目次
第1章 SMAPとはどんなグループだったのか
第2章 マスコミは解散をどう報道したのか
第3章 日本・アメリカ・韓国における芸能界の〝掟〟
第4章 SMAP解散で日本はどこへ向かうか
著者経歴
松谷 創一郎(まつたに そういちろう)・・・1974年生まれ、ライター。国内外各種企業のマーケティングリサーチも手がける。現在、『先読み! 夕方ニュース』(NHKラジオ第1)にレギュラー出演中。社会情報学修士。
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