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「庶民の日本史 ねずさんが描く「よろこびあふれる楽しい国」の人々の物語」小名木 善行

本のソムリエ 2022/02/23メルマガ登録
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「庶民の日本史 ねずさんが描く「よろこびあふれる楽しい国」の人々の物語」小名木 善行


【私の評価】★★★★☆(86点)


要約と感想レビュー

 楽しく歴史を教えてくれる「ねずさん」が、今回は私たちの祖先の庶民のリアルな生活について説明してくれる一冊です。天皇誕生日にふさわしい本ではないでしょうか。日本は島国であるためか、長い歴史の中で外敵から侵略されることが少なく、庶民の生活は盗みも争いごとも少ない平和な国でした。


 その証拠に縄文時代の遺跡からは武器が発見されませんし、『魏志倭人伝』にも「窃盗せず、争訟少なし」と記載されているのです。そうした日本が武装化したのは弥生時代に入ってからのようで、外敵に対抗するために古墳には弓矢を手にした埴輪が多数発掘されるようになったのです。


・縄文時代の遺跡からはいまだにひとつも発見されていないものがあります・・・人が人を殺すための武器です・・・三世紀の古墳時代から・・・刀槍や弓矢を手にした像が多数発掘されています(p45)


 日本は島国で独自の道徳観を持っており、そうした道徳を教えることが戦前までの教育のあり方でした。そうした道徳教育が明治から戦後にかけて知識偏重の教育に変わってきましたが、今の時代でも外国人から見ると、日本人は馬鹿に見えることがあるようです。例えば、横断歩道で信号を守るし、列車のホームでは列をつくって並びます。契約は守るし、できるだけ良いものを作って納めようとします。誰もがやるべきことをやり切り、それを期待できるのが日本なのです。


 その一方で、契約を守らない、約束の時間に来ない、お金を振り込まないと納品しない、武力で領土や資源を奪い取る、というのが常識の国も存在します。それぞれの環境によって常識は変わるので、日本の常識は世界の常識であり、外国人から見れば日本は馬鹿でもあり、素晴らしい国であるとも言えるのでしょう。


・ある中国人留学生は、日本に来たばかりのとき、駅のホームで並んで待っている日本人が馬鹿に見えたそうです・・・降りてくる人も押しのけて電車に乗り込んだ。毎回、席に座ることができたそうです。けれど、ある日、同じように行動するライバルが誰もいないことに気がつきます(p244)


 表面的な歴史ではなく、私たちの祖先がどうやって生活していたのだろうと考えてみると、歴史というものはとてもおもしろいものであるとわかりました。私たちの祖先が作ってくれた日本という国を作り、争いがあれば日本を守るために命をかけて戦ってくれました。私たち子孫のできることは、そうした日本を守り、継承していくことなのでしょう。


 本書の最後に、九州の知覧から出征した特攻隊員の遺書を載せているのは反則技で、涙が出てきました。小名木さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・倭寇・・・コリアンやチャイニーズの強盗団が、船に八幡大菩薩の幟(のぼり)を付けて、コリアから福建に至る沿岸部を荒らし回ったのです。そしてその悪事のすべてを日本人の「せい」にして、これを倭寇と呼びました(p175)


・江戸時代の教育・・・教科書は、全生徒に配布されましたが、その教科書は印刷物ではなく、全部、上級生の先輩が筆写したものでした(p232)


・梅岩の教え・・・学問は、人生を悔いなく生きることを目的として学び修行するものである・・・「学ぶ」ということは、「あるべき」日常生活を知ることである(p202)


・「検地」・・・なんと江戸270年を平均して、ひとつの村につき「二回」しか行われていません・・・実際には、脱税のし放題であったわけです(p218)


・旅に出るとき、江戸時代の人々は、襟元に小判一両を縫い込むのが習慣でした・・・もし旅先で万一のことがあったときは、そのお金で医療や、火葬、お骨の自宅への送付などしてくれ、という、いわば礼儀です。・・・どこが貧農なのでしょうか(p208)


・八代将軍徳川吉宗の時代になると、享保の改革の倹約令によって、経済はいっきに減速しました・・・増税を行い、さらに徹底した緊縮財政を行ったのです・・・享保の改革が起こした問題は、この「家計」思考を、国政に持ち込んだところにあります(p196)


・古来、日本の教育は、単に知識を詰め込むのではなく、知識を経由して「人格教育」が行われてきました・・・日教組教育によって、教育といえば知識偏重教育に偏り、いまでは道徳などは劣後的な扱いになっています(p238)


・新聞がカラー印刷になったのは、平成になってからのことですが、実は江戸のかわら版や、明治初期の新聞は、こうした木版画を利用したフルカラーの新聞でした(p188)


▼引用は、この本からです
「庶民の日本史 ねずさんが描く「よろこびあふれる楽しい国」の人々の物語」小名木 善行
小名木 善行、グッドブックス


【私の評価】★★★★☆(86点)


目次

第1章 有史以前から古代までの庶民の姿
第2章 奈良平安時代の庶民の姿
第3章 鎌倉・室町・織豊時代の庶民の姿
第4章 江戸時代の庶民の姿



著者紹介

 小名木善行(おなぎ ぜんこう)・・・昭和31年生まれ。上場信販会社を経て執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信、ほか、「むすび大学シリーズ」「目からうろこの日本の歴史シリーズ」など配信動画多数。


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