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「注解マルクス・アウレリウス自省録」水地 宗明

2022/01/16公開 更新
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「注解マルクス・アウレリウス自省録」水地 宗明


【私の評価】★★★☆☆(70点)


要約と感想レビュー

 古代ローマの皇帝マルクス・アウレリウス(121~180年)が、日々考えたことをまとめたものです。本文よりはるかに長い注釈がついているのが面白いところでしょう。なぜなら当時のローマの常識もわからなければ、歴史的知識もない私たちが注釈がなければ、まったく意味がわからないからです。


 驚くべきは、死を意識して生きよ、とか、自分で自分を否定してはいけない、穏和であることが強さなのだなど、現代の成功哲学や心理学の内容とほぼ同じ内容が書かれてあるということでしょう。2000年前の人と現代人と頭の中のレベルが同じなのです。


・自分た今直ちに人生から去ることもありうると考えて、その心構えをもって、一つ一つのことを行ない、言い、考えよ(p55)


 古代ローマとはいかに文化的であったのか。その軍事力だけでなく、知識、見識を持った人を組織のリーダーにする仕組みもあったことがわかります。そうしたローマも亡びたのですから、もっと古代ローマについて勉強したくなりました。


 水地さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・闘鶏、特にうずらによるそれは、アテナイでもローマでも盛んであった(p8)


・君は自分を辱(はずかし)めているのだ、辱めているのだ、おお(わが)魂よ。・・・君はいまだに自分を畏敬しないで、他人の魂の内に君のしあわせを置いているのだ(p50)


・(すべてはかない。ただ現在を充実して生きよ)・・・各人が生きているもの(現在の時間)は微小であるが、各人が生きている地の一隅もまた微小である。その上また、最長の死後の名声といえども微小であり、おまけにこれは、あっという間に死んでしまうはずの哀れな人間ども、しかも自分自身すら知ってはいない(p98)


・(君を)侮辱する人間が(それらの言動を)しかじかのものだと判断するような、あるいは君がそのようなものとして判断するようなことを彼が欲するような、そのようなものとしては君は(彼の言動を)思い込むな・・・侮辱を侮辱として受け取るなということである(p133)


・君の自然が何を要求しているかを観察せよ。それから、それを行なえ。そして受け入れよ(p497)


・いきり立つことが男らしいのではなくて、穏和で温順であることこそ、より人間的であるばかりか、より男性的でもあるのだ。そしてこれこそが力と筋骨(強さ)と勇気をもつのであり、憤慨と不満がではない(p566)


▼引用は、この本からです
「注解マルクス・アウレリウス自省録」水地 宗明


【私の評価】★★★☆☆(70点)


著者経歴

 水地 宗明(みずち むねあき)・・・哲学者。 滋賀大学名誉教授。1928年広島県呉市に生まれる。1953年京都大学文学部哲学科卒業。1958年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。松山商科大学教授等を経て、1973年より滋賀大学教授。同大学では経済学部長・大学院経済学研究科長を務め、名誉教授の称号を受ける。1994年に皇學館大学へ移り、1999年に退官。


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