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「不動心」アウレリウス

2004/10/12公開 更新
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不動心


【私の評価】★★★☆☆(74点)


要約と感想レビュー

 アウレリウスとは、ローマ五賢帝の五人目です。この時代、ローマ帝国は領土を最大に広げますが、アウレリウスの代になると、他民族の侵略、天災、疫病(ペスト)などによりローマ帝国の繁栄に陰りが見えはじめます。皇帝としてほとんどが防衛戦争ばかりしていたようです。


 最後には戦地で死ぬこととなり、さらに後継者となる息子のコンモドゥスは無能で、ローマの没落を早めたと評価されるなど、まったく不運の皇帝といえます。この本は、そのような不運のなかで、アウレリウスが自分を励ますために、書いたものといわれています。息子に読ませたかったのかもしれません。


・何か辛い目にあったときにはこういうことにしたまえ。「これは不幸ではない。むしろこの不幸に立派に耐え抜くことは、私にとって幸運なのだ」と。(p79)


 書いてあることは現代の成功哲学と比較しても素晴らしく、ローマ時代にこれだけの考え方が確立されていることに驚きました。しかし、結果してアウレリウスが五賢帝の最後となり、ローマ帝国没落のはじまりとなった事実を見ると、松下幸之助に言わせれば、「力が足りなかった」ということになるのでしょう。


この本で私が共感した名言

・ものごとは常に全体を眺めるようにしなさい。(p244)


・アポロニウスは私に、決断は自らで行ない、決して運命の偶然にゆだねてはならない、一瞬たりとも理性を見失ってはならないと教えてくれた。(p19)


・人生は一度しかないのだ。しかもその人生が終わりに近づいているというのに、自らに敬意を払うこともせず、他人が自分をどう思っているかという一点にのみ自分の幸福を費やしているとは(p36)


・謙譲の衣の下から傲慢が見え隠れするほど我慢ならないことはない。(p248)


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アウレリウス
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【私の評価】★★★☆☆(74点)


目次

第1章 自分の可能性をどう鍛え抜くか
第2章 自分の人生に不退転の目的を持つこと
第3章 人間、いかに生き、いかに死ぬべきか
第4章 今日、この日限りを生きる覚悟
第5章 日々の熟考が自分の精神をつくっていく
第6章 大きな「思考枠」を持つということ
第7章 成長しつづける人間の心の糧
第8章 精神はつねに湧水のようにあふれる
第9章 言葉、行動、生きる姿勢
第10章 信念の声
第11章 今日の1日が最高の修養道場だ
第12章 「考える人生」を歩む


著者経歴

 マルクス・アウレリウス・・・(紀元121~180年)第16代ローマ皇帝。「五賢帝」の最後に位置づけられている。五賢帝はいずれも内政においては善政をほどこし、外政においても地中海帝国としてのローマ帝国の最盛期を実現した。しかしマルクス・アウレリウスが39歳で即位したとき、すでにローマ帝国は全盛期を過ぎており、衰退の影が見え始めていた。洪水や大地震などあいつぐ天災、東方ではパルティア王国との戦争、北方からのゲルマン人の侵攻などさまざまな問題が押し寄せる。彼は朝から晩まで激務に追われ、しかもゲルマン人との戦闘に関しては晩年の10年間の大半を戦地で過ごしつつ『自省録』を書き続けた。59歳でドナウ河畔の前線の陣中で病没。


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