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「派遣で入った僕が、34歳で巨大グループ企業の役員になった小さな成功法則」二宮英樹

2021/04/22公開 更新
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「派遣で入った僕が、34歳で巨大グループ企業の役員になった小さな成功法則」二宮英樹


【私の評価】★★★★☆(89点)


要約と感想レビュー

 派遣で入った会社で、ITの専門家として執行役員にまんでなった著者の生き様を教えてもらいましょう。


 学生時代、音楽好きだった著者は、ミュージシャンになるために本場アメリカへ行こう!と思い立ち、四国からロスに移住しました。金がないのでロサンゼルスでは捨てられていたコンピュータを修理したりしていたという。


 ところが911テロの影響で就学ビザの取得が難しくなり帰国。大塚製薬のITヘルプデスクの派遣社員となったのです。ちょっと英語のできるIT派遣社員として大塚製薬のITサポートしながら、端末のシステム更新では自らの提案をゴリ押しして成功させたという。


・組織で、「正しいことは正しい」とゴリゴリ物事を進めると、必ず副作用が発生する・・・その後、「二宮くんは仕事は真面目だけど、めんどうさいヤツだから」と煙たがられるようになった(p35)


 大塚製薬は海外売上比率が五割を超えるグローバル企業であり、著者はITインフラのグローバル統合や最適化も担当しました。


 パソコン1台持っていれば、世界の大塚製薬のオフィスで仕事ができるということです。そうしたグローバルな仕事をしながら、大塚製薬の中で日本的な仕事のコツを学んでいったのだという。


 事前の根回しする。上司の提案をちょっとだけ採用する。成果はチームの手柄にする。ITだけでなく日本の技術を身に着けたのです。


・全ての仕事を終えたところに、非常に重要なポイントがある。それは、その仕事を自分の手柄とせず、チームの手柄、あるいは、他の人の手柄とするところにある(p110)


 笑うのは、日本の企業の特徴を経験を通してわかりやすく説明してくれるところでしょう。自分の意見を言わないで評論のみ。自分の上司だけをハイハイ忖度。危ない仕事は手をつけない。手伝わない。責任者が重要な決断をしない。誰もしない。


 特に、大塚製薬では日本人の論理を翻訳して外国人社員に伝えなくてはならないので、間に立つ著者は大変です。「ちょっと心配」とか「もうちょっと慎重に」と言われても、では具体的に定量的に説明できるかといえばできないからです。


・プロジェクトに関する権限もなければ、関与すらしていないような人が、「それは、もうちょっと慎重にした方がいいんじゃないの?」などと、横からチャチャを入れることがある・・・これを外国人に説明しようものなら、こんな感じの質問攻めにあう「その人は、何の権限があって・・・「そもそも慎重にとは、具体的に、何をクリアすべきだと言っているんだ?」(p115)


 大塚製薬社員となり、関係会社の執行役員にまでなった著者は、大きなプロジェクト完了後、独立しました。
 大塚製薬で留まる人ではなかったということなのでしょう。


 派遣から執行役員までになるのは日本の会社としては大抜擢であり大したものだと思いました。


 二宮さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・日本人の働き方は、前例を重視して、失敗しないことに重点を置く。一方、欧米圏のビジネスパーソンは、数字などの根拠がそろっていれば、新しいチャレンジにも興味を示す(p83)


・「そこまで二宮が言うのであれば、全部、任せた!」と言われる存在になる・・・ちなみに、欧米企業では、こういった流れで物事が前に進むことはありえない(p98)


・日本人は、決めなきゃいけないことを、誰も決めようとしない。それどころか、率先してその状況を打破しようと、新たに何かを決定しようとする人が現れると、それに対して足を引っ張る人が現れる(p117)


・大塚に入ったばかりの頃、合コンで僕が派遣だとわかると、急にホームレスでも見るような目で見てきた人々がいた(p134)


・部下の手柄を横取りしたり、何もやっていないのに、"やっている感"を出す人(p125)


・欧米の会議はITのグローバル会議と同様で、その場に招集された参加者には発言権が与えられる。発言しない人は「あいつ何者?」と軽蔑される(p165)


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▼引用は、この本からです
「派遣で入った僕が、34歳で巨大グループ企業の役員になった小さな成功法則」二宮英樹
二宮英樹、ダイヤモンド社


【私の評価】★★★★☆(89点)


目次

第1章 アメリカから帰国した僕が就いた職業は「派遣のヘルプデスク」だった
第2章 ロックスターになりたかった僕のアメリカ時代の話
第3章 「派遣社員」が出世するたった一つの方法
第4章 日本の会社で提案を通すために必要な「根回し2.0」
第5章 契約社員として年収1000万円を突破したけれど...
第6章 上海万博出展に参画。そしてついに正社員に
第7章 "最強チーム"で世界を駆け巡る
第8章 入社10年で大塚倉庫の執行役員に抜擢


著者経歴

 二宮英樹(にのみや ひでき)・・・1979年徳島県生まれ。高校卒業後、ミュージシャンを目指して米国に渡るが挫折。2003年に帰国。大塚製薬株式会社に派遣のヘルプデスクとして入社。上海万博出展などに携わり、またグローバルIT組織構築をグローバルリーダーとして推進。大塚倉庫株式会社 執行役員IT担当を経て独立。N&A株式会社代表取締役、株式会社オリエント代表取締役

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