もう騙されないぞ「学者のウソ」掛谷英紀
2021/02/16|

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【私の評価】★★★☆☆(77点)
内容と感想
■この本では権威ある学者・政治家や
メディアのもっともらしい主張の中から
ウソの事例を示した一冊です。
緑のダム構想、ダイオキシン報道、
ゆとり教育など本質が正確に把握
されないまま進められた政策は多い。
世の中には100%の正解はない、
と言われますが、それでも
明らかなウソや詭弁で政策を
議論するのはいかがなものかと
感じます。
・「緑のダム構想」・・・遊水地推進と、公共事業の負担増や土地収用強化への反対の間にある対立関係・・・実際、長野県の場合も、田中知事はダム建設の代替案として遊水地確保を打ち出したが、結局計画は頓挫した(p42)
■面白いのは1999年~2005年と
古いデータですが、新聞報道の
公平性を分析した結果でしょう。
企業による脱税の新聞記事の数と
その企業が新聞のスポンサーであるか
そうではないかで差があるのか
分析したものです。
なんと朝日新聞は統計的な有意差があり、
読売新聞は有意差がなかったという。
つまり、朝日新聞はしっかりスポンサーに
忖度していたということです。
・スポンサーへの配慮の度合いを定量的に評価・・・新聞記事検索サービスを利用し、「脱税」「申告漏れ」「所得隠し」のいずれかが本文中に含まれる朝夕刊記事・・・朝日新聞について・・スポンサー企業の方が全体的に記事と取扱量が少なくなっている・・・スポンサーへの配慮が記事にまで影響を及ぼしている・・・読売新聞にはスポンサー・非スポンサー間で有意な差は見られなかった(p139)
■著者はフェイクニュース対策として
「言論責任保証」という仕組みを
提案しています。
これは公共の場で発言する場合、
預託金を協会にプールして、
その主張が正しかったのか
時間をかけて検証するというもの。
その発言が正しければ
多くの預託金を分配し、
発言が間違っていれば
預託金は分配しない。
こうした仕組みを含めて
過去のメディア報道を評価する
仕組みがほしいと感じました。
掛谷さん
良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・香山リカ氏は、著書『いまどきの「常識」』(岩波新書)において、ゆとり教育がだめというのなら、それ以前の詰め込み教育に戻れというのかと迫る論法で、ゆとり教育の正当性を主張している。これは二分法と呼ばれる詭弁の常套手段である(p28)
・テレビ・新瓶などの大手マスコミは、最後の巨大既得権益として君臨している・・・テレビにおける電波利権、新聞における再販制度、過剰な著作権保護(p128)
・報道の自由や言論の自由・・・ところが、言論の自由を認めず、さまざまな検閲を行っている中国共産党政府の姿勢に対して、厳しい批判を加えるマスコミは少ない・・・チベット侵略、ウイグル族など少数民族への弾圧について、日本のマスコミはほとんど報じていない(p227)
・左翼の諸氏は、右傾化の原因を、時代の変化に対する若者の「不安」、インターネットの登場、メディアの「右傾化」に求める・・・私が分析するに、右傾化が進んでいる理由は、ずばり「左翼のウソ」である・・・北朝鮮を「地上の楽園」と礼賛し、大虐殺を伴った文化大革命を礼賛・・・「北朝鮮は拉致をしていない」というウソ(p219)
・「反戦番組」・・・反米イデオロギーや反日イデオロギーのために、「反戦」という看板を利用しているだけ・・・その証拠に、米国や日本以外の国の戦争行為や暴力行為に対して、彼らが反対の声を上げることはあまりない(p215)
・メディアの無責任体質は今に始まったことではない。古くは、第二次大戦中の軍国主義礼賛報道・・・・北朝鮮礼賛報道・・・このような報道や言論を行ったジャーナリストや学者たちは、現在に至るまで一切の責任をとらされることはなく、また自発的に責任をとる姿勢も見られていない(p234)
▼引用は、この本からです
掛谷英紀、SBクリエイティブ
【私の評価】★★★☆☆(77点)
目次
第1章 学者のウソ
第2章 本来の学問
第3章 学歴エリート社会の罠
第4章 ウソを見破る手立て
著者紹介
掛谷英紀(かけや ひでき)・・・1970年大阪府生まれ。1993年東京大学理学部生物化学科卒業。1998年東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程修了。博士(工学)号取得。通信総合研究所(現・情報通信研究機構)研究員を経て、現在筑波大学システム情報工学研究科講師。専門は映像メディア工学。技術者倫理教育にも従事
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