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漢方薬剤師が相談に答える「タクヤ先生のメンタル不調相談室」杉山卓也

2021/02/04公開 更新
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「タクヤ先生のメンタル不調相談室」杉山卓也


【私の評価】★★★☆☆(76点)


要約と感想レビュー

本当の原因は不規則な食生活やこころ

漢方薬剤師がなぜメンタル相談室?という疑問を持ちながら手にした一冊です。確かに漢方薬の目的は調子の悪い人の生活を改善すること。ところが、漢方薬だけで改善するケースは少ないのです。


調子が悪い本当の原因は、不規則な食生活やこころの病気であったりする。例えば、体内親時計は「光」によってリセットできますが、体内子時計(末梢神経)は「起床後の食事」でリセットできるのです。このように、不調の根本原因に配慮してくれる薬剤師だから人気があるのでしょう。


何より最も大切なのは、「生活のリズム」をしっかり整えるということです。どんなにいい漢方薬や西洋薬を使っても・・・乱れきった生活リズムを前にすると、その効果は残念ながらかき消されてしまいます(p3)

心の問題は時間がかかる

心の問題は、ストレスにより認知に「歪み」があったり、思い込み、トラウマが原因となります。こうした心の問題は、長年の蓄積によるものが多く、短期間に治るものではありません。外的要因があるのであれば、それから「逃げる」ことが正解であることもあります。いずれにしろ心の問題は短時間に解決しようとせず、余裕と平静でやさしい気持ちになれる状況を作ることでしょう。


例えば、「ひどいことを言われてひどいフラれ方をしてしまった」といったトラウマがあるとしたら、「自分の悪いところがわかった。縁の無い相手であることが早い段階でわかった」と、もう一つの面を見ることができないか提案しています。つまり思い悩むことや心配事が多くなって、食欲が無くなって無理に食べなくてはと考えるのではなく、受け入れて開き直ることができるのかということです。


自分を責めず、自分のこころの今の状態を認めてあげるのです。心の重荷を降ろして毎日の食生活を正すこと。そして何よりもたくさん笑うことができれば、つぎの一歩が進めるのでしょう。


自分自身を責めてしまうのが、最もダメージが大きいものです・・・自分のこころに向かって言ってあげてください。「今まで辛くしてごめんね。あなたは誰にも遠慮せず生きてていいんだよ」(p104)

小さな成功体験を積み重ねて自己承認

良いイメージを持つためには、小さな成功体験を積み重ねて自己承認を高めることが必要です。もし不安になるのであれば、一つずつ「大丈夫だよ」と優しく声をかけてあげることもよいという。このように自分に優しい毎日を心がけてみて下さいなど、ポイントを押さえているところも好印象です。


心理学の視点も入れてアドバイスすることで、漢方を売りたいだけではないと信頼を得ているのだと思いました。相手に寄り添う対応も人気の原因かもしれませんね。杉山さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・攻撃的にあなたに精神的マウントを取りに来る人間の目標は、あくまでもあなたに恐怖を与え、冷静な判断を失わせることで、自分の優位に物事を進めることです。それに対して、あなたが負けずに立ち向かえるのであればいいのですが、それが難しい場合は、基本的なスタンスは「逃げること」です(p143)


・こうした精神的プレッシャーを執拗にかけてくる人間は、実は「とても怖がり」であるケースが多いのです。そう、一言で言えば「臆病者」なんです。正論を言うといきなり怒り出したり、常に精神的な圧力をかけようとする人間の根底には、自分自身に対しての自信の無さがあるものです。だから虚勢を張っていないと自分が保てない・・(p145)


▼引用は、この本からです
「タクヤ先生のメンタル不調相談室」杉山卓也
杉山卓也、ぱる出版


【私の評価】★★★☆☆(76点)


目次

第1章 不眠
第2章 不安・パニック
第3章 無気力・鬱
第4章 イライラ・ヒステリー
第5章 その他のこころの不調



著者経歴

杉山 卓也(すぎやま たくや)・・・薬剤師/漢方アドバイザー。神奈川県座間市にある「漢方のスギヤマ薬局」にて「あらゆる人生相談に乗れる漢方薬剤師」をモットーに、メンタル、子宝、子ども、ペットなど、ひとりひとりに寄り添った漢方相談を受けるかたわら、講師として年100回を超えるセミナー・講座を開催。また、漢方専門店「成城漢方たまり」、中医学や薬膳、経済 学まで1年間で学べる「tamari 中医学養生学院」の経営や、漢方薬局経営者向けのコンサルティングも積極的に行う。中医学界初のオンラインサロンである「タクヤ先生の中医学オンラインサロン」も人気を博している。


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