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「安倍政権時代:空疎な7年8カ月」高野 孟

2020/11/21公開 更新
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【私の評価】★★☆☆☆(60点)


要約と感想レビュー

 タイトルどおり、著者が徹底して批判するのは安倍政治です。具体的には安倍は右翼政治家であり、過去の戦争を侵略と考えず、過去の軍国主義、大日本帝国を再建しようとしていると批判しています。いわゆる、中国、韓国が日本を批判するときに使う「歴史問題」を取り上げています。


 さらに、日米で中国包囲網を作り上げた安倍政治については、中国が覇権を求めることはなく、21世紀に包囲網を作るなど正気の沙汰ではないと、ばっさり切り捨てています。中国が覇権国になるはずがなく、日米による中国包囲網は意味がないという論理ですが、今となっては中国包囲網を作り上げた安倍首相には先見の明があったのです。著者には先見の明がなかったのか、それとも中国から包囲網を作らないように工作活動するよう指令を受けていたのでしょうか。


・米国は覇権国の地位を維持できない。かといって、中国がそれに代わって軍事的覇権を求めるような野望は持たないと判断しているのである・・・安倍が米国と組んで中国を責めるかのような右翼チックな路線に傾けば、米国から危険視されて切り捨てられるだろう(2013年1月12日)(p69)


 著者は福島原子力事故の対応の不備や、北朝鮮の拉致問題が解決しないこと、北方領土問題が進展しないことを理由に安倍政権を批判しています。挑戦してうまくいかないと批判し、挑戦しなければ挑戦しないと批判するパターンなのです。原子力発電の廃止、東京五輪も根拠もなく反対としています。今、この本を読んでみると、そうした方向に世論を導かせるために、あえて書いているとしか思えません。


 一方で著者のプラス評価しているのは、中国の習近平主席。立憲民主党や民主党の政治です。さらに沖縄の独立運動にもプラス表現が続きます。そして最終的には再度の野党合流による政権交代を期待する内容となっているのです。安倍政権のことは口汚く罵る一方で、民主党の政策や活動にはプラス評価しかないのです。この人はジャーナリストではなく民主党の工作活動として情報発信する活動家なのだと感じました。自分でデマを発信しながら、相手の言うことをデマということに人間として恥ずかしくないのでしょうか。


 あちこちにデマゴギーという言葉が出てくるのですが、共産系の工作機関が使うような専門用語であり、実はこの本自体がプロの手によるデマゴギーだから、こうした専門用語が出てくるのではないかと感じました。著者がこれだけ相手のマイナスをこき下ろし、自ら提案もせず、自分自身を省みないのは、「自己愛性人格障害」ではないかと感じました。


・安倍にその傾向が強いと思われるのは「自己愛性人格障害」だろう(p23)


 安倍政権の批判だけをして、自ら提案することもせず、民主党政権と沖縄の独立という中国支配を支援し、社会主義を日本に打ち立てたいと願っている評判どおりの人であると感じました。仮に著者がジャーナリストであるとして語っているとすれば、それはその先にどういった社会を作って行くべきか哲学、文明論、歴史観でなければならず、この本からは中国的な国民を支配する社会主義政権を目指しているようにしか見えませんでした。


 沖縄の翁長知事のオスプレイ配備反対、辺野古基地建設阻止を賞賛し、無教養・不愛想なトランプを笑顔にして迎えた習近平主席を褒め称えています。一方の安倍晋三首相のトランプ対応は歓心を買おうとするだけの、奴隷根性丸出しの恥ずかしい姿と酷評しています。


 こうした現実と乖離した文章を、堂々と公表していることに驚きました。こうした文章にお金を払う人がいて、それを買う人がいるわけです。そうした資金の流れも確認したほうがよろしいのではないでしょうか。そうしたことを教えてくれた高野さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・安倍の決め文句はただの印象操作というかデマゴギーにすぎず、それに対して民主党側からは、菅直人自身による「原発ゼロの決意」・・・などが出ていて、事実に即して検証し教訓を導くことが可能である(p3)


・安倍晋三という政治家は「保守」なのか「右翼」なのか・・・日本の戦前の行いを「侵略」であるとは絶対に認めず、それどころか戦後の憲法を全面的に否定して天皇を元首とする大日本帝国を復活させたいと願ている人たちである、と思っている(p19)


・石破は4月末にワシントンの講演で・・・中国を仮想敵としたアジア版NATOを創設する意図を語っている・・・21世紀にそんな冷戦型の巨大軍事機構を構想すること自体が狂気の沙汰である(2014年5月15日)(p133)


・立憲民主党の支持率の高さは有権者の"スッキリ感"が理由(2017年11月30日)(p265)


▼引用は、この本からです


【私の評価】★★☆☆☆(60点)


目次

低姿勢でスタートもたちまち馬脚を露わした第2次安倍政権
最初から「失敗」が約束されていたアベノミクス
外遊の回数は史上最多でも外交の成果が何もないという不思議
「やってるふり」だけで前進しなかった拉致問題の18年間
「集団的自衛権」という地雷原に踏み込んでしまった無自覚
「オール沖縄」の民意を蹴散らし基地建設を強行した安倍官邸
平成天皇も憂慮した安倍の前時代的国家観・憲法観
日本の食と農を米国に売り飛ばす「農政改革」と「農協潰し」
福島原発の処理をできないまま原発再稼働を進める支離滅裂
疑惑追及を恐れて国会を閉じてしまう安倍忖度政治
公明党の「平和の党」という看板は偽りだったのか
野党が大きくまとまって再び「政権交代」を迫る日は来るのか
コロナ禍でごまかしようがなくなった安倍政権の黄昏



著者経歴

 高野孟(たかの はじめ)・・・1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時にニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。94年に(株)ウェブキャスターを設立、日本初のインターネットによる日英両文のオンライン週刊誌『東京万華鏡』を創刊。08年に"THE JOURNAL"に改名し、半農半ジャーナリストとしてインサイダーを主コンテンツとする週刊メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を発信中


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