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「目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画」クライブ・ハミルトン

(2020年6月25日)|本のソムリエ
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【私の評価】★★★☆☆(79点)


■原書は2018年にオーストラリアで
 発刊されていますが、
 最初の出版社は契約を結んでいたにも
 かかわらず出版中止。


 オーストラリアでも中国共産党の脅迫を、
 恐れる人が増えているのです。


 人口2500万人のオーストラリアには、
 すでに100万人の中国系がおり、
 中国系の資金がオーストラリアの
 不動産、港湾、電力系統などを
 買収しています。


 オーストラリアにおける中国共産党の
 影響力は政治家、マスコミ、経済界などで
 相当大きくなっているのです。


・共産党に協力しないと、オーストラリアや中国国内でのビジネス取引は、中国政府に目をつけられて、取引先にボイコットされる(p23)


■中国共産党はその目的を達成するために
 経済的利益を与え、言うことをきかなければ
 経済損失を与えたり、協力者による批判・
 脅迫を行います。


 中国共産党のやり口を私たちは知っていますが、
 著者がそれを知ったのは北京オリンピックの
 聖火リレーだったという。


 日本の長野と同じように中国人学生が
 チベット独立を主張する人たちを取り囲み
 暴力で排除したのです。


 何千という中国人学生が
 組織的に活動しているのを目にして
 著者は危機感を持ったのでしょう。


・2008年の北京五輪に際し連邦議事堂の外で聖火リレーが行われたが、チベット独立派の支持者たちは中国大使館によってオーストラリア中から動員された何千もの怒れる中国人学生によって囲まれ、暴力を振るわれた(p262)


■中国共産党の強さは、
 世界の中国人を法律と脅迫によって
 コントロールできることです。


 さらに中国が経済力と軍事力を持った
 ことで、中国共産党はその本性を
 隠す必要性がなくなってきている。


 このまま第2のチベット、ウイグル、
 モンゴルが生まれるのでしょうか。


 この正念場でどのような対応をするのか。
 日本政府とオーストラリアの
 中国共産党への対応を比較してみると、
 面白いのかもしれません。


 ハミルトンさん、
 良い本をありがとうございました。


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■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・修正した草稿を編集に送る段階になって、アレン&アンウェイ社は出版できないと告げてきた。彼らは北京政府からの報復や、オーストラリア国内にいて中国共産党のために行動している人々を恐れていたのだ(p13)


・本書を書いたことによって、私はオーストラリアにおける中国共産党の影響力について警告を発した人間に対して投げ掛けられる「人種差別主義者」や「外国人恐怖症」というレッテル貼りをされ、非難されることになるだろう(p21)


・2016年には「オーストラリア平和と正義保護実行委員会」という名前の団体が、60カ所の地区リーダーたちを集めて「(シドニーにおける)勢力を結集し、中国国家の核心的利益を守るための会合」を呼びかけているが、この「革新的利益」とは要するに、北京による南シナ海の領有権のことだ(p55)


・中央統戦部の工作の手段には、中国語メディアを動員し「人種差別的」「反中的」な立場をとる政府を猛烈に批判することが含まれる。北京語のソーシャルメディアでは、与党である自由党を「反中で反中国人、反中国系移民、そして反中国人留学生」だと説明し、「われわれ中国人はこの極右的な与党自由党を打倒すべきだ」という著者不明の1700文字の怪文書が広く出回った(p81)


・2016年には外国籍の不動産購買者の80%が中国人で、すべての新築物件の内、ニューサウスウェルズ州の25%、ビクトリア州の16%を占めていた(p325)


・オーストラリアの諜報機関はファーウェイが中国軍のサイバースパイ機関である人民解放軍総参謀部第三部と関係を持っている「信頼に足る証拠」があると警告してきた(p211)


・中国国営企業の国家電網公司は、オーストラリアのエネルギーネットワークのかなりの部分を保有しており、これにはビクトリア州の五つの電力供給会社と、南オーストラリア州唯一の送電会社の一部の所有権が含まれている。香港拠点の長江基建集団という巨大企業が、残りの所有権を保有している。エナジーオーストラリアは・・香港に拠点を置き、北京と関係の深い中電集団によって完全に保有されている。アリンタ・エナジーは・・・香港の宝石商、周大福に、40億ドルで売却されている(p169)


・2015年、ダーウィン港の99年間租借権が、中国共産党と密接に関係のある中国企業に売却された。2014年には国営の複合企業体、招商局集団が、ウィリアムタウンの空軍基地に近く、世界最大の石炭積出港であるニューキャッスル港を買収するため、17億5000万ドルを支払った(p170)


・2002年の時点で、オークランド国際空港は法輪功の信者たちが支払った看板広告を取り除けという北京の圧力に屈している。オークランド大学もウイグルのリーダー、ラビア・カーディルの訪問を中止し、世論の反対が激しくなると、中止の決断を覆した(p73)


・2015年後半、オーストラリア国立大学の中国人学生の一人が、キャンパス内の混雑した薬局に入り、突然・・・「これを配布しても良いという許可を出したのは誰だ?」と問い詰める彼の手には、法輪功の発行する「大紀元」紙があった・・・この学生は怒りに満ち攻撃的で、名前を陶品儒というキャンパスの中国学生協会の会長だった・・・中国系の学生団体は中国共産党の末端機関として機能している(p302)


・黄向墨は2014年4月5日、「豪中関係研究所」設立目的で180万ドルをシドニー工科大学に寄付している・・労働党の元外相でニューサウスウェルズ州知事を務めたこともあるボブ・カーを所長に任命した・・・親中的立場を表明・推進しているおかげで、カーは「北京・ボブ」とあだ名されている(p131)


・オーストラリアのGDPで、財とサービスの輸出は19%・・・輸出先の三分の一は中国である・・GDPに占める割合はそれほど高くない・・・ところがビジネス系のコメンテーターの中には中国がくしゃみをすればオーストラリアは肺炎にかかるので、われわれは「北の巨人」の機嫌をそこねないようにすべきだという者もいる(p153)


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▼引用は、この本からです

クライブ・ハミルトン、飛鳥新社


【私の評価】★★★☆☆(79点)


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■目次


第一章 オーストラリアを紅く染める
第二章 中国は世界における自国の立場をどう見ているのか
第三章 僑務と華僑
第四章 黒いカネ
第五章 「北京ボブ」
第六章 貿易、投資、統制
第七章 誘惑と強要
第八章 新旧のスパイ
第九章 「悪意あるインサイダー」と科学機関
第十章 オーストラリアの大学で「魂に工作する」
第十一章 文化戦争
第十二章 中国の友人:親中派
第十三章 自由の価格


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