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「お金の減らし方」森 博嗣

2020/06/19公開 更新
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【私の評価】★★★★★(93点)


要約と感想レビュー

 著者は37歳のとき、某国立大学の助教授でありながら、「すべてがFになる」「スカイ・クロラ」シリーズなどの推理小説を発表。出版数は累計1300万部にもなるという。小説を書き始めたのは、趣味のミニSLをもっと広いところで走らせたいと思ったから。趣味をやりたいから、小説でも書いて金を稼ぐか・・・。バイト気分で小説を書いていたという。


 面白いのは、著者のお金への考え方でしょう。まず、最初に自分のやりたいことを最優先に実行します。しかし、お金には限りがあるから、収入の1割を好きなことに使う。自分の持っているお金でできることしか考えないことにしているという。ただ、収入の1割では自分のやりたいことに足りないとすれば稼ぎを増やせばいい。お金があるから使うのではなく,やりたいから必要なお金を稼ぐ。とてもシンプルなのです。


 それでも、著者が稼ぎを増やそうと思ったのは、たった二回しかないという。一回めは、大学生の頃に、漫画の同人誌を作ることになり、その印刷代を各自が負担することになり、それまでに買い集めた漫画の本を全部売ったという。そして二回目は、37歳のときにミニSLの線路をもう少し長く敷きたいと考えたときだという。バイトで小説を書いて、結果的に20億円にもなったのです。


・どんなに貧乏なときでも、僕は収入の一割を、自分の趣味のために使った。同様に、奥様にも「一割を遊ぶために使いなさい」と言った。そして、残りの8割で生活を維持していこう、という大まかな方針だった(p19)


 著者が理解できないのは、身の丈以上の生活をして貯金のない人、または借金してしまう人です。「お金があるから、なにか買いたい」というのは本末転倒であって、著者に言わせれば買いたいからお金を貯めるのです。本当に好きではないことにまでお金をかけていたらお金がいくらあっても足りないでしょう。宝くじが当たったからお金を使ってしまうという人は、自分のやりたいことを理解していない人なのです。


 このように自分のやりたいことを理解していない人がいる理由は「世間体」です。他者からいかに見られかということに支配されているから、分不相応なものに手を出して、借金を作ることになっているのではないかと分析しています。


 お金とは自分が欲しいもの、やりたいことを手に入れるためにあるという当たり前の思考でした。私にとっては目から鱗のお金の考え方でした。森さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・考えるべきことは、自分は何をしたいのか、である(p106)


・お金を使わないと好きなことができない人は、一所懸命働いて、お金を稼ぐしかない。また、お金などいらない、質素な生活でも自分は楽しめるという人は、のんびり気ままに生きれば良いだろう(p62)


・自分の家庭でも、防衛費10%を厳守することにしたのだ。これには、自分の趣味を守る、自分の嗜好の権利を守る、というような意味合いがあった(p64)


・書店に行けば、お金を増やす方法、と謳った本が沢山並んでいるはずだ・・・講演会や講習会などが開かれ・・・お金を増やし続けることに忙しい人が、どうして他者に自分の方法を教えるのだろうか(しかも有料で)(p133)


・「お金がないからできない」というのが、いかに「言い訳がましい」台詞であるか理解できたと思う・・・これを聞いた人は、「あ、やりたくないんだ」と思えば良い(p184)


・やりたい人は、もうやっているはずなのである。現在やっていない大人は、ほぼやりたくない人だということになる。大人は、誰にも支配されない自由人のはずだからだ(p186)


・お金持ちは、たいてい正直で謙虚である。つまり、威張る必要がないから、腰も低いし、人に良く見られたいという欲求もないから、見栄や嘘の必要がない。本当に偉い人は、偉そうなことは言わない(p194)


▼引用は、この本からです

森 博嗣、SBクリエイティブ


【私の評価】★★★★★(93点)


目次

第1章 お金とは何か?
第2章 お金を何に使うのか?
第3章 お金を増やす方法
第4章 お金がないからできない?
第5章 欲しいものを買うために
第6章 欲しいものを知るために



著者経歴

 森 博嗣(もり ひろし)・・・1957年愛知県生まれ。工学博士。某国立大学の工学部助教授の傍ら1996年、『すべてがFになる』(講談社文庫)で第1回メフィスト賞を受賞し、衝撃デビュー。以後、犀川助教授・西之園萌絵のS&Mシリーズや瀬在丸紅子たちのVシリーズ、『φ(ファイ)は壊れたね』から始まるGシリーズ、『イナイ×イナイ』からのXシリーズがある。


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