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「諦めの価値」森博嗣

2022/10/27公開 更新
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「諦めの価値」森博嗣


【私の評価】★★★☆☆(79点)


要約と感想レビュー

 『すべてがFになる』で有名な小説家でありながら、工学博士である著者の考え方に興味があって読んでみました。タイトルの「諦(あきら)め」とは、人生を諦めてお気楽に生きるという意味ではありません。二度と歩めない、取り返しがつかない人生を、後悔しないで生きていくためには、考え抜くしかありません。そしてその結果、何かを決断するときには、「諦める」ことが出てくるということなのです。


 だから著者が小説家志望の人から、上手く小説を書けないことを相談されると、「悩むくらい真剣なら、長編を20作くらい書いたあとに相談してほしい」と答えたことがあるという。小説家になりたいなら、あなたは何を諦めて、何をしてきたのですか?と著者は言いたいのです。空いた時間に、ちょっと作文したくらいで小説家にはなれないのです。


 冷徹に事実を示して、ばっさり言い切れるのは、理系だからかもしれません。


・自由のために自分をコントロールする・・・自分が「必要だ」あるは「大事だ」と思い込んでいるものを「諦める」ことが含まれている(p62)


 著者は他人の評価が気にならない人間です。著者は父親から「人を気にするな」「勝とうと思うな」と教えられたという。母親からは「負けるな」と教えられたが、父親のほうが正しそうに思えたという。


 だから、妻にも期待しないし、子どもにも期待しない。でもこれは愛がないというわけではなく、何も期待しないことが愛なのです。例えば、子どもがオリンピックに出場したとしましょう。金メダルを取ることを期待するのが愛なのではなく、負けたとしても拍手を送ることが、愛であるということなのです。


 この場合の期待しないとは、ありのままの相手を受け入れるということなのでしょう。


・金メダルを逃しても、残念だとは感じない。でも、応援はできる・・・負けたときに拍手を送ることが、応援だし、愛ではないだろうか?(p173)


 著者は自分の寿命を60歳くらいに想定して人生を計画してきたという。65歳となった今、趣味のプロジェクトは、終わってしまったものが多く、毎日が「おまけ」だという。自分の寿命についても諦めていて、諦めがちょっと早すぎたというオチがついているのです。


 自分がやりたいことを楽しんでやっていれば、他者を意識する意味などないというのは、まったくの正論だと思いました。人生、実はやりたいことをやる、そんなシンプルなことが大事なのかもしれませんね。森さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・僕は繰り返しこんなことを書いてきた。「本当に望んでいれば、夢は必ず叶う」と(p39)


・もし、自分の楽しみを持ち、自分がやりたことが明確にあるのなら、他者に勝つ必要なんてどこにもありません(p76)


・後悔するのは、後悔したいからだ、と思っている人間です(p80)


・優秀な人ってずるい気がするんです・・・あなたの問題は、「今日の天気を受け入れないといけないでしょうか?」と同じものです(p85)


・大勢の寝たきり老人がいるはずなのに、どこへ行ったのだろう。つまり、病院や施設に入っている・・(p225)


▼引用は、この本からです
「諦めの価値」森博嗣
森博嗣、朝日新聞出版


【私の評価】★★★☆☆(79点)


目次

第1章 諦めなければ夢は叶うか?
第2章 諦められないという悩み
第3章 何を諦めるべきか?
第4章 諦めが価値を持つとき
第5章 諦めの作法
第6章 生きるとは諦めること
第7章 変化を選択する道について
第8章 他者に期待しない生き方



著者経歴

 森博嗣(もり ひろし)・・・1957年愛知県生まれ。工学博士。名古屋大学の工学部助教授の傍ら1996年、『すべてがFになる』(講談社文庫)で第1回メフィスト賞を受賞し、衝撃デビュー。以後、犀川助教授・西之園萌絵のS&Mシリーズや瀬在丸紅子たちのVシリーズ、『ファイは壊れたね』から始まるGシリーズ、『イナイ×イナイ』からのXシリーズがある。


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