【書評】「千年の読書: 人生を変える本との出会い」三砂 慶明
2022/10/26公開 更新

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【私の評価】★★★★☆(85点)
要約と感想レビュー
千年前の本でも読むことができる
タイトルの「千年の読書」とは、千年前の本でも読むことができるということ、そしてこの本では千年売り続けたい本を紹介しているという意味です。著者はカルチャ・コンビニエンス・クラブの蔦屋書店で本を売っているのです。
本は人の人生を変える力を持っています。
著者の友人は本を読んでパイロットになったというし、著者も就職に失敗し、仕事で失敗したり人間関係に悩むこともありますが、読書に救われたという。人間は一度しか生きられませんから、常に初めてのことの挑戦していくしかないのです。そこで役立つのが、先人の知恵を学ぶことのできる読書なのでしょう。
ただ、この本を読んでいて「小説はすぐに読み終わってしまうので、できるだけ長い時間、読み続けられる哲学書を読むことにした」という著者の感覚を、私は理解できません。
同級生が、サン・テグジュペリの『夜間飛行』を読んだことを機に、本当にパイロットになりました(p14)
読書は考え方を教えてくれる
読書のよいところは、生きていく中で必要な考え方を教えてくれることでしょう。アルボムッレ・スマナサーラは、怒りとは自我と他者が重なる領域で発生するものであることを教えてくれます。
トルストイは人間のあらゆる欲望は、自由の拡大の願望からきていると教えてくれます。人が富、名声、権力、力、健康、教養、飽食、善を求めるのは、自由を求めているからなのです。英語の「自分で誰かの靴を履いてみること」という、他人の立場に立ってみるという定型表現は世の中の渡り方を教えてくれるのです。
こうした知識の一つひとつが、悩める人間を支えてくれるのです。
思い込みや認知バイアスから逃れて自由になるために、リベラル・アーツが大切なのだ(デヴィッド・フォスター・ウォレス)(p87)
知識が増えると自由になれる
知識が増えると、自由になれるというのは事実だと思います。人間は社会生活を生きるために、ルールを決め、マナーを作り、暗黙の洗脳をしているのです。もちろんそうしたルールに従って、大過なく過ごすこともできるし、あえてルールを破って自分の人生を生きる道もあるのです。ただ、その道は厳しいものとなると思いますが、思ったよりも楽しいかもしれないのです。
私の知らない本もたくさん出てきて、未読の本は読んでみることにしました。やっぱり読書はいいなぁ!三砂(みさご)さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・橋本武は・・「遊ぶように学ぶことは、人生で最高の喜び」だからだと語っています(p16)
・不公平を指摘すると「面倒くさいヤツ」認定される。散々ひどい目に遭わされて、絞り出した声を「そんな言い方じゃ、誰も味方にならないよ」と言われる(小川たまか)(p62)
・誰にも迷惑をかけない社会とは、定義上、自分の存在が誰からも必要とされない社会(上田紀行)(p71)
・変動相場制への移行・・この時点で、お金の価値が実質的に商品の所有権ではなく、信頼へとシフトしました(p141)
・食べるために働くのではなく、生きるために働く(p102)
・人は年をとるから走るのをやめるのではない・・走るのをやめるから年をとるのだ(マクドゥーガル)(p247)
【私の評価】★★★★☆(85点)
目次
まえがき なぜ人生には本が必要なのか
第1章 本への扉 人生を変える本との出会い
第2章 生きづらさへの処方箋 眠れない夜に読む本
第3章 新しい働き方を探す旅
第4章 「お金」から見た世界
第5章 「おいしい」は味なのか 現代の食卓と料理の起源
第6章 幸福の青い鳥 瞑想と脳と自然
第7章 本から死を考える 死の想像力
あとがき 本との出会いは人との出会い
著者経歴
三砂 慶明(みさご よしあき)・・・1982年、兵庫県生まれ。大学卒業後、株式会社工作社などを経てカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社入社。梅田 蔦屋書店の立ち上げから参加。これまでの主な仕事に同書店での選書企画「読書の学校」やNHK文化センター京都教室の読書講座にて「人生に効く!極上のブックガイド」などがある。「WEB 本がすき。」(光文社)などで読書エッセイを連載。本と人とをつなぐ「読書室」主宰。
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