人生を変えるほど感動する本を紹介する書評サイトです
本ナビ > 書評一覧 >

「土偶を読む―130年間解かれなかった縄文神話の謎」竹倉史人

2022/10/28公開 更新
本のソムリエ メルマガ登録
このエントリーをはてなブックマークに追加

「土偶を読む―130年間解かれなかった縄文神話の謎」竹倉史人


【私の評価】★★★★☆(83点)


要約と感想レビュー

 土偶の正体を解明した!という仮説を説明してくれる一冊です。本のソムリエは青森県八戸市出身なので、近くの是川で土器を拾って歩いていたので、土偶にはこだわりがあるのです。


 著者の仮説は、土偶とは植物を人体化したものである、ということです。一般な通説は、土偶は女性をデフォルメしたものであるというものです。確かに土偶には顔もあれば、手も足も胸もあるから当然でしょう。


 しかし土偶の形状は、当時の縄文人が食べていたくるみや栗やハマグリやトチノミであったと考えるとぴったりハマるのです。つまり土偶は食べ物となる植物を模したゆるキャラであった!ということなのです。


・現在の通説を大まかにまとめれば、「土偶は女性をかたどったもので、自然の豊かな恵みを祈って作られた」(p22)


 例えば合掌土偶と中空土偶は、顔の部分がクリの形にそっくりです。ハート形土偶の顔の部分は、オニグルミの実を割った断面にそっくりなのです。平べったいみみずく土偶は、カキ殻に似ている。星型土偶は貝に似ている。


 仮に土偶が日常食べていた植物や海産物を模したゆるキャラであったとすれば、土偶こそが植物霊祭の痕跡となります。動物霊祭の痕跡と考えられる動物の骨が見つかっていますので、これで縄文人が動植物の霊を送る儀式を行っていたという仮説が成り立つのです。


・山梨県の金生遺跡からは人為的に火で焼かれたイノシシの幼獣の下顎骨が100点以上見つかっており、動物霊の送りの儀式があったことを想像させる(p34)


 この本を読んで、縄文時代は1万6500年前に始まったことを知りました。まだ、氷河期の間氷期が始まる前であり、私たちの祖先は、寒い中でなんとか食いつなぎ、だんだんと定住しなら、温暖化とともに農耕をはじめたのでしょう。当時の食物は、貴重だったのです。


 土偶は食べ物のゆるキャラだった。こうした仮説を立てるところに科学の面白いところがあり、多くの仮説の中から進歩が生まれるのだと思いました。


 科学者は地球寒冷化という仮説を主張したこともあるし、今は地球温暖化という仮説を主張しているのです。いずれ、未来の研究が成否を証明してくれるでしょう。竹倉さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・現代の考古学では、縄文時代の始まりはとされている(p36)


・田名塩田遺跡(神奈川県相模原市)と木曽中学校遺跡(東京都田町)からはオニグルミを模したと考えられる土器が見つかっている(p71)


・結髪土偶における「腕」が「イネの穂」であったように、刺突文土偶の捻転する「腕」は「ヒエの穂」だったのだ(p267)


・「遮光器土偶の乳首=サトイモの芽」という説(p297)


▼引用は、この本からです
「土偶を読む―130年間解かれなかった縄文神話の謎」竹倉史人
竹倉史人、晶文社


【私の評価】★★★★☆(83点)


目次

第1章 土偶プロファイリング1 ハート形土偶
第2章 土偶プロファイリング2 合掌土偶・中空土偶
第3章 土偶プロファイリング3 椎塚土偶(山形土偶)
第4章 土偶プロファイリング4 みみずく土偶
第5章 土偶プロファイリング5 星形土偶
第6章 土偶プロファイリング6 縄文のビーナス(カモメライン土偶)
第7章 土偶プロファイリング7 結髪土偶
第8章 土偶プロファイリング8 刺突文土偶
第9章 土偶プロファイリング9 遮光器土偶
第10章 土偶の解読を終えて



著者紹介

 竹倉史人(たけくら ふみと)・・・人類学者。独立研究者として大学講師の他、講演や執筆活動などを行う。武蔵野美術大学映像学科を中退後、東京大学文学部宗教学・宗教史学科卒業。2019年、東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻博士課程満期退学。人類の普遍的心性を探求すべく世界各地の神話や儀礼を渉猟する過程で、縄文土偶の研究に着手することになった。


この記事が参考になったと思った方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ


ブログランキングにほんブログ村


メルマガ[1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』]
3万人が読んでいる定番書評メルマガです。
>>バックナンバー
登録無料
 

<< 前の記事 | 次の記事 >>

この記事が気に入ったらいいね!

この記事が気に入ったらシェアをお願いします

この著者の本 :


コメントする


同じカテゴリーの書籍: