「世界を騙し続けた [洗脳]政治学原論 <政「金」一致型民主社会>へのパラダイム・シフト」天野 統康
2020/05/03公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(70点)
要約と感想レビュー
お金は物の価値の交換手段
お金とは何なのか?と突き詰めて考えていくと、お金は物の価値の交換手段であり、道具であるといえます。そして、そのお金を作りだし、お金の手数料(金利)を取り、社会に流通するお金の量をコントロールしている人がいます。
この本では、実はあまり話題とならないマスコミも報道しない、通貨発行権と資本(お金)の論理について解説しています。
通貨発行権が景気変動をコントロールできる(p19)
銀行融資は信用でお金を作り出す仕組み
銀行は融資することで、お金を作り出します。形式としては預金の12倍まで貸し付けがでるという制限がありますが、これを信用創造といいます。
銀行はお金から手数料(金利)を取りますし、仮に貸し倒れになっても担保を回収して損をしないようになっているのです。こうした銀行を通じて、お金(資本)によって世界を支配しているグループが存在しているのです。
世界194カ国から3700万社の所有形態を分析した。その結果、わずか0.6%のオーナーのグループが上部を占め、その下に役員や経営陣が相互乗り入れをしているコアのグループ0.7%が存在する。このグループが残りの企業を株式所有によって支配している構造があるという。737社が世界の取引の80%を支配している。しかもその上位50社は・・銀行や投資銀行で占められている(p206)
意図的にバブルを作り破壊したのか
この本では1980年代からこうした国際資本が、日本という国家をバブルとその崩壊によって欧米システムに近づけようとしたと推定しています。その証拠として日銀は窓口指導によって意図的にバブルを作り出し、バブルが崩壊後も意図的に貨幣流通量を増やさずデフレ不況を維持したというわけです。
バブルの原因が日本型経済モデルだとして、それを破壊するために活用したというのです。つまり、日本経済を破壊したバブルとバブル崩壊は、日銀幹部がバカだったのではなく意図的であったという推定です。
本当なのでしょうか。私は単にバカだったと思うのですが。天野さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・資本主義経済では、国際銀行権力と信用創造の方法の無意識化が経済学を通じて徹底的に行われてきた・・・一方、民主政治においては、国際銀行権力の存在と、通貨発行権に基づく社会操作力の無意識化が、政治学、歴史学、法学などを通じて行われてきた(p128)
・政治によって管理された中央銀行によって、計画的に融資が行われ、株主の力を制限するのが日本型モデルである。中央銀行を支配しながら市場を操作し、主要企業の株主になることで社会を支配している国際銀行権力にとっては大きな脅威である・・・こうして日本型モデルを破壊する作業が1980年代から開始・・(p145)
・日銀の窓口指導の影響力・・・日銀の営業局が非公式で各銀行に貸し出し枠を設定していた・・・この窓口指導に関与できたのは、日銀の「プリンス」といわれるごく一部のエリート派閥に所属する人間だけだった・・・このプリンス派閥は日本だけでなく、BISなどを拠点として世界中の中央銀行の中に作られており、そこで、景気変動を引き起こす(p148)
・経済危機を作るとすれば、バブルを作り出し崩壊させる方法のほうが責任の所在も含めて分かりにくい。資産価格の高騰は、当初は社会に歓迎されることでもある。そこで日銀はバブルを意図的に作り崩壊させる方法を取った(p150)
・日銀により意図的に引き起こされたバブルとその崩壊によって不況に陥った日本は、戦時経済体制を変化させる構造改革を行うように誘導されていく(p158)
・1998年に大蔵省が解体が行われ、日銀、財務省、金融庁の3つに分割される・・・結局、日銀の独立がもたらしたものは、日本政府から通貨発行権が消滅し、さらなるデフレを招いたことだった・・・「このデフレ不況は日本の経済システムが悪いからだ」と米国型モデルを目指す構造改革を掲げた・・・人材派遣業の解禁など大規模な規制緩和を行った・・雇用システムは破壊されていく(p164)
・グローバル化による国家主権の消滅は、国民主権の民主主義の消滅も意味する・・・国際銀行権力の完全統治を目指すものなのである(p180)
【私の評価】★★★☆☆(70点)
目次
第1章 人類史上最大の政治・思想システム
人権と民主政治の謎と操作方法を解き明かす
第2章 マネーの詐欺学によって破壊・解体され、形作られた30年間の日本の軌跡
日本が徹底的に騙され操作されてきた実例集
第3章 欧米型自由民主制社会を超克する政治・経済・思想を提言する
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