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「ガリア戦記」ガイウス・ユリウス・カエサル

2020/01/29公開 更新
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「ガリア戦記」ガイウス・ユリウス・カエサル


【私の評価】★★★☆☆(76点)


要約と感想レビュー

カエサルはガリアを平定した

歴史の中では「カエサルは、紀元前58~50年にガリア(ケルト人が住んでいたフランス、ベルギー周辺)を地方長官として平定した」と一言で表現するガリアでの戦いを記録した一冊です。


当時のヨーロッパ(ガリア)は多くの部族にわかれているものの、ガリア人として共通の法律があり、ローマ軍に対して隙あらば反乱していたことがわかります。その反乱を、ローマ軍が圧倒的な軍事力、高度に洗練された攻城兵器、投石器、土木技術、兵站組織で圧倒しているのです。


一部の地域を制圧しては、反対側で反乱の気配があって反転したり、有利な状況となれば簡単にガリア人は寝返るなど、一筋縄では平定できないガリアの雰囲気がよくわかります。


武装兵の集会を宣言した。ガリア人のしきたりでは、これが開戦を意味し、全ガリア共通の法律によって成人男性全員が武装してこの集会に集まるならいである。そして、みんなの最後に集まった者は大勢の見ている前であらゆる類いの拷問にかけられて殺される(p177)

人質を取るだけで許している

カエサルは相手が恭順の意を示した場合、多くの場合は人質を取るだけで許しているのが印象的でした。すべての相手に対して戦闘していては、自軍の損失も出ますし、相手を殲滅することが目的ではなくガリアを平定することが目的なのです。


相手側の一部に自分の仲間を作るような政策も取っており、いかにローマの影響力の及ぶ範囲を広げるのか苦心しているのです。


施設の言葉を聞くとカエサルは人質を要求し、所定の期日に差し出すよう命じた。そして、これが実行されなかった場合、自分は戦争に訴えてピールスタエ族に対処する、と告げた(p136)

ルビコン川を超えて進軍

このガリアでの戦いの後に、カエサルの軍はルビコン川を超えて進軍し、元老院と手を組んだポンペイウスを追放することになります。


世界史もこうした短い時代を映画のように見ていくことでその場で悩み、判断し、戦った人間を感じることができました。カエサルさん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・戦争の掟によれば、勝利を収めた者は勝利を収めた相手に望みとおりの命令を下せる・・・私と争って破滅しなかった者はいない。望みとあれば、向かってくるがいい。思い知ることになろう。不敗のベルマーニア軍・・(p33)


・クラックスはウォカーテス族とタルサーテス族の領地へ出発した。これに蛮族が動揺した・・・使節を四方八方へ派遣して、盟約を結ぶと、人質を交換し、軍勢の準備を始めた(p99)


・橋の構造は次のようなものであった。まず、太さ1.5ペースの角材を二本、それぞれ先端から少しの部分を尖らせ、川の深さに応じた長さに切ったうえで、二ペースの間隔をあけて互いに結び合わせた。この支柱を起重機で川の中へ運び入れて固定し、杭打ち機で打ち込んだ(p119)


・内陸部族のほとんどは穀物の植え付けをせず、牛乳と肉を糧とし、獣皮の衣を着ている。ブリタンニア人はみな体にホソバタイセイから作る群青色の染料を塗る(p146)


・ガリアにおいては、どんな部族、どんな行政区や地区のみならず、どんな一家もほぼみな党派に分かれている。党派の領袖(りょうしゅう)は部族の裁定に最も大きな影響力を有すると見なされ、その裁量と最低にもとづいてあらゆる事案と計画の最終決定が下される(p189)


「ガリア戦記」ガイウス・ユリウス・カエサル
ガイウス・ユリウス・カエサル、岩波書店


【私の評価】★★★☆☆(76点)


目次

第1巻 紀元前58年
第2巻 紀元前57年
第3巻 紀元前56年
第4巻 紀元前55年
第5巻 紀元前54年
第6巻 紀元前53年)
第7巻 紀元前52年
第8巻 紀元前51-50年



著者経歴

ユリウス・カエサル・・・紀元前100年頃~紀元前44年。共和政ローマ期の政治家、軍人。「賽は投げられた」「来た、見た、勝った」「ブルータス、お前もか」などの名言を残す。


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