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「世界のエリートが教養として身につける「哲学用語」事典」小川 仁志

2020/01/28公開 更新
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「世界のエリートが教養として身につける「哲学用語」事典」小川 仁志


【私の評価】★★★☆☆(76点)


要約と感想レビュー

世の中には「哲学」という学問の世界があります。この「哲学」の世界で「実存主義」と言われていることが、一般社会で「成功哲学」と言われるものと似ているという。つまり、実存主義とは理念より現実が優位あるということ。人はただそこに存在しているのです。


「実存主義」とは、人間の存在を重視し、自分で人生を切り開いていくべきだという考え方です。よって人は自分で自分の行動を選択できるのであり、その選択により自分の運命を決めることができるのです。つまり、人間は「自由の刑」に処せられているのであり、すべての行動に責任を負っているのです。


「哲学」で面白いのは、考え方に名前をつけることで「哲学」になってしまうことです。例えば、テレビ番組「24時間テレビ 愛は地球を救う」を見ながら、普通の番組をやることにして1日分のテレビ局の収益を寄付したほうが効果的ではないのか、と思ったとします。それに「効果的な功利主義」と名付けるとそれが哲学となるのです。考え方に名前をつけるのが、哲学的なコツなのです。


ワクチンは多くの人の命を救いますが、必ず副作用で亡くなる人もいます。これは、最大多数の最大幸福を優先する考え方であり、「功利主義」と言われています。交通事故により毎年数千人が亡くなっていますが、便利性を優先して車を利用しているのも同じなのでしょう。


・「効果的な功利主義」・・・たとえば、慈善団体で働くよりも、金融業界で儲けてたくさん寄付したほうが、より多くの人を助けることができる(p82)

ビジネスの世界にも、哲学に相当する考え方がたくさんあるように感じました。「ビジネス哲学」と名付けるとこれも一つの研究分野としてやっていけるかもしれません。新メールマガジン「一日一冊:ビジネス哲学」は、どうでしょうか。


 小川さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・ロゴス(論理)、パトス(感情)、エートス(信頼)はスピーチの3条件とされる。信頼できる人がわかりやすく感情をこめて話すことで人を説得できるという(p13)


・哲学カフェ・・私のカフェでは次の3つのルールを定めている。
 1 難しい言葉を使わない
 2 人の話をさえぎらない
 3 全否定をしない(p72)


・ニーチェによると、弱者は実際に強者にかなわないことから、想像上で復讐しようとする・・弱者は自らを善いものと思い込むようにする・・楯つかないのは、自分が善良だから・・・臆病なのは謙虚であって、服従は恭順なのだといい聞かせるわけである。そして、これこそがキリスト教の道徳だというのだ(p209)


・「いき」の概念は、日本特有のもの・・その本質は、芸者と客との男女関係にある・・具体的には、「いき」を構成する要素として、媚態、意気地、諦めの3つが挙げられる・・媚態とは・・あくまで可能的関係を保つ・・一定の距離を置いた関係・・次に意気地とは・・毅然とした態度である。さらに諦めとは・・未練を捨てて・・(p195)


「世界のエリートが教養として身につける「哲学用語」事典」小川 仁志
小川 仁志、SBクリエイティブ


【私の評価】★★★☆☆(76点)


目次

PART1 考えるためのツール30──論理的思考・アイデア発想
PART2 世界を知るためのツール20──政治経済・グローバル社会
PART3 未来を読むためのツール30──近未来社会・テクノロジー
PART4 人を動かすためのツール20──組織・人間関係



著者経歴

小川仁志(おがわ ひとし)・・・徳山工業高等専門学校准教授・哲学者。1970年、京都府生まれ。京都大学法学部卒業。名古屋市立大学大学院人間文化研究科博士後期課程修了。博士(人間文化)。米プリンストン大学客員研究員(2011年度)。専門は公共哲学。「哲学カフェ」を主宰


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