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「ヒトラーの正体」舛添 要一

(2019年12月17日)|

【私の評価】★★★★☆(82点)


■公用車で毎週、湯河原温泉の
 別荘に通って都知事を解任された
 舛添さんの一冊です。


 なぜ、民主的なワイマール共和国で
 ヒトラーのナチスが政権を取り、
 戦争に突き進んでしまったのか。


 それは第一次大戦の賠償金支払いや、
 世界恐慌の影響でドイツが大不況となり、
 失業者が増えたからです。


 その民衆の不満を利用して
 ナチスが勢力を拡大しました。
 ナチスは国会周辺でデモを行い、
 国会の混乱をさせようとします。
 日本の民主党に似ています。


・選挙後の新議会・・ナチスの目的は国会を混乱させることにありました。国会の周辺でデモを行い、町中ではユダヤ人を襲撃しましたし、国会の中ではナチス議員がSAの制服を着たり、議事妨害をしたりしました(p63)


■ヒトラーが行ったプラスの要素は
 公共事業によって600万人もいた
 失業者をほぼ完全雇用にしたこと。


 ヒトラーは、アウトバーンの建設、
 企業への減税、再軍備による徴兵など
 失業者を減らすことに
 注力しているのです。


 その一方でヒトラーは軍事力を強化し、
 他国と交渉して戦後賠償金を減額し、
 領土を回復していきます。


 戦争さえしなければ
 ヒトラーは名政治家として
 名を残したのかもしれません。


・ヒトラー時代が一番良かった・・・失業者が600万人もいたのに、わずか3年で完全雇用に近い状態になったことが、ドイツ国民の喝采を浴びたのです(p102)


■ヒトラーのドイツと習近平の中国が
 重なって見えました。


 ヒトラーはドイツ経済を復興させ
 再軍備を行った。
 中国は急激な経済と合わせて
 軍事力を拡大してきた。


 ヒトラーの「世界に冠たるドイツ」が
 習近平の「中国の夢、偉大な民族の復興」
 というスローガンと重なる。


 ヒトラーはユダヤ人を敵視しましたが、
 中国共産党は日本人を敵視する教育を
 行っているのです。


 舛添さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・20世紀に、しかも当時世界で最も民主的と言われた憲法を持っていたドイツ(ワイマール共和国)で、なぜ怪物のような独裁者、ヒトラーが生まれた(p6)


・宣伝は分かりやすく、知的水準の低い大衆のレベルに合わせねばならない・・効果的な宣伝を行なうには、・・テーマを限定して繰り返し語ること(p220)


・まずは嘘で固めたソフトな姿勢で接触し、簡単に前言を翻して本音を出し、相手を叩きのめすというのが、ヒトラーの行動パターンです(p92)


・当時のウィーンの街の人口の約200万人の1割はユダヤ人で、ユダヤ人の影響はおおきかったのです。たとえば、医師、弁護士、金融業、ジャーナリストなど、社会の枢要な地位をユダヤ人が占めており、またカフカやフロイトのように学問や文化の面でも優れた人材を排出していました。この「ユダヤ人支配」もまた、ドイツ人の反感を買います(p20)


・ヒトラーは、オーストリア・ハンガリー帝国の国籍を持つ臣民ですが、ドイツ人であることを誇りにしていました・・・そもそもドイツ帝国は、1971年に、ビスマルクのリーダーシップで北部のプロイセン(首都ベルリン)によって統一されましたが、南部のバイエルン(首都ミュンヘン)とは、別々の国のような趣でした(p24)


・1870年/1914年の人口を記してみると、ドイツ(4000万人/6500万)・・・第一次大戦前には、ドイツはロシアを除く近隣諸国に比べ、約1500万~3000万人も人口が多かったのです(p41)


・ワイマール共和国では、革命の担い手である社会主義者たち、つまり社会民主党(SPD)が政権の主軸になります。このSPDにカトリック政党である中央党・・民主派が参加した民主党(DDP)が加わって、政権を運営していました・・左からは共産党、右からはナチス党やドイツ国家人民党が激しく攻撃します(p51)


・独ソ不可侵条約締結のニュースは、世界中に衝撃・・ナチスにとっては共産主義(ボルシェヴィズム)は不倶載天(ふぐたいてん)の敵であり、ソ連にとってはファシムズこそが打倒すべき相手だからです。ところが、ヒトラーもスターリンも、目先の実利を優先させました(p153)



舛添 要一、小学館
【私の評価】★★★★☆(82点)

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■目次

第1章 少年ヒトラー―画家挫折・第一次大戦・ミュンヘン一揆
第2章 独裁への道―ワイマール共和国・世界大恐慌・大統領選挙
第3章 ヒトラーの経済・外交政策―失業対策・平和演説・再軍備
第4章 第二次世界大戦―独墺合邦・ポーランド侵攻・敗戦
第5章 反ユダヤ主義とは何か―ニュルンベルク法・帝国水晶の夜・ホロコースト
第6章 ナチスと宣伝―デザイン・演説・都市計画
第7章 ヒトラーに従った大衆―人間国有化・ニヒリズム・シニシズム


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