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「(無)意識のすゝめ: 苦手がなくなる!意識するほど動かない「自分の心」の操作術」伊藤 丈恭

2019/10/15公開 更新
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(無)意識のすゝめ: 苦手がなくなる!意識するほど動かない「自分の心」の操作術


【私の評価】★★★★☆(87点)


要約と感想レビュー

著者は"無意識"を利用した演技指導を行う演技トレーナーです。その方法はスタニスラフスキー・システムとメソッド演技を組み合わせたものです。


具体的には、考えて演技するのではなく、その役の人になって簡単な動作をしてみるのです。これはスタニスラフスキー・システムといって、同じような意識を持って「行動」することを先にすれば、無意識のほうが身体の活動に影響され、感情を呼び起こすことができるという考え方に沿ったものです。


例えば、ハムレットの置かれている状況に意識を向けながら、簡単な動きをしてみる。動いていると心は自ずと誘導され、そこで初めてハムレットらしい感情が生まれてくるというのです。また営業マンなら、「明るくて人好きのする、話し振りに誠意がある営業マン」になりきって話し、動いてみます。気持ちの良さによって、無意識の感情を誘導していくのです。


そして最初は、目指す演技と反対の演技をやってみて、目指す演技を無意識で感じてみる方法もあります。そうした簡単な動作から、その役の人の気持ちが見えてくるというのです。例えば、台本を読むのなら、黙読や棒読みから徐々に始めて、本能のままに身体を動かしていったほうが近道だという。ハードルが低いところから始めるから、うまくいくというのです。


これは、アイゼ・アプローチと言われ、「嘘のない演技のために嘘から始める」のです。嘘の演技をすぐにやめて、本来そこで求められている演技に戻ればよいのだという。あくまで演技のための始め方として型を利用するのです。著者は練習でも、生徒に「失敗してもいいんだよ」と声をかけているという。「上手くやる、失敗したくない、ちゃんとやろう、確実に演じよう」と小さくまとまりつつある時は、わざと「失敗して」と求めるという。


そうした心の動きを極めた著者は、集中したいなら集中しようとしないことが大事だという。集中したいなら自分の呼吸に意識を集中してみる。過去を思い出してみるのです。そうした集中とは別のことに意識を持っていくことで、逆に集中している自分がいるということです。


・集中力について・・例えば瞑想・・・まずは集中もリラックスも何も考えず、ただ呼吸のみをする。意識を呼吸のみに向け続ける。これが集中になり、いつの間にかリラックスしているという順番です(p78)


無意識というか潜在意識を使った「インナー演技」という内容でした。お芝居指導の業界では、ろくな指導・教育もせずにあそこがダメ、ここがダメとダメ出しする人が多いのだという。指導法を学んだことのない指導者が、演技を初心者に教えて、「自分で考えろ」などと言う指導法を厳しく批判しています。


著者は「大きな声を出す」練習として、初対面の人の前で大声を出しながら、バカ丸出しに全身を動かすことをやってもらうという。しかし、男性は感情を思い切り開放させるのが難しいという。仮に思考のスイッチが入ったら、無意識の感情や欲求を外に出すフタが閉まってしまいます。まずは、思考のスイッチを切れるようになることだという。


伊藤さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・メソッド演技・・・個人的な思い出によって役の表現に合った感情を引き出していきます(p18)


・話している台詞や行動と内面の意識がずれ、バラバラ・・・外と中を一致させる練習・・行動を口に出していくんです。ホームの駅員が指差し確認しているのと同じです(p106)


・個性の強い人は、演技でも職業でも、一般的に良いとされている人のようになろうとするんです。その憧れが強いと今の自分の武器に気付けないので、だから理想を諦めるのが大事なんです(p112)


・明石家さんま・・「落ち込むってお前凄いな、ウケると思ってるんか。俺、ウケようとおもったことないもん」・・俺はこれだけ頑張った、だから絶対に結果を出さなきゃ、となっては余計に緊張してしまう人にほど届いてほしい言葉です(p59)


・一流のネガティブとは、謙虚さなんです。ネガティブも、謙虚と言い換えると途端に良い意味、それこそポジティブな印象に変わるでしょう(p162)


・直接リラックスしよう、感情を引き出そうとするのをやめて力みをとってしまえば、脳が緩んで乗ってきたり、無意識の奥から感情が湧き上がってきたりする(p170)


(無)意識のすゝめ: 苦手がなくなる!意識するほど動かない「自分の心」の操作術
伊藤 丈恭
ぱる出版
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【私の評価】★★★★☆(87点)


目次

はじめに 失敗を怖れるすべての人へ―心を誘導する「アイゼ・アプローチ」とは
第1章 すぐ緊張してしまう人へ―誰でも殻を破れる
第2章 プレゼンや営業が苦手な人へ―誰でも緊張しにくい人になれる
第3章 なかなか集中できない人へ―集中したければ集中を忘れる
第4章 なぜ「アイゼ・アプローチ」は効果的か―僕自身の、殻を破ってきた話
第5章 いつも前向きがしんどい人へ―百パーセントポジティブの考えは捨てよう
第6章 仕事と人生をもっと楽しみたい人へ―二段階思考のすすめ



著者経歴

伊藤丈恭(いとう たけやす )・・・演技トレーナー。1967年生まれ。大阪出身。19歳より、故・吉沢京夫よりスタニスラフスキー・システム、ゼン・ヒラノ氏よりメソッド演技、マイケル・チェーホフ・テクニークを学ぶ。吉本興業沖縄ラフ&ピース専門学校演技コース講師。メンサ会員。現在、アイゼ演技ワークショップを東京・渋谷近郊で開講中


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