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「ものがたりで学ぶ経済学入門」根井 雅弘

2019/10/16公開 更新
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ものがたりで学ぶ経済学入門


【私の評価】★★★☆☆(75点)


■消費税10%増税のニュースを聞きながら、
 手にした一冊です。


 高校生が経済学者から
 経済学の歴史を学ぶストーリー。


 単なる経済学の本よりは
 読みやすい本でした。


・見えざる手・・・資本家は資本がより安全で生産的労働者をより多く雇用できる自国内にまず投じる・・(p112)


■自由貿易経済が良いのか、
 関税などで国内産業を
 守ったほうがよいのか。


 昔から議論があるところですが、
 歴史のなかではだんだんと
 自由化が進んでいるように見えます。


 現実には国家が存在しますので、
 完全に関税障壁や貿易戦争が
 なくなることはないのでしょう。


 いずれ世界政府ができれば
 自由貿易経済になる可能性も
 ありますが、それは未来の話です。


・リカードの親友のマルサスは、対照的に、穀物の供給を外国に依存し過ぎるのは安全保障上望ましくないとか、・・・イギリス国内の農工バランスを崩し不安定化要因となるとか、いくつかの理由から貿易の自由化には反対した(p139)


■経済学は大切なものですが、
 わかったようでわからないもの。


 人の活動そのものといえる経済学は
 実は現在も試行錯誤的なものなのかも
 しれません。


 根井さん、
 良い本をありがとうございました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・ケインズの直感は、非自発的失業は、賃金率が均衡水準よりも高いがゆえに生じるのではなく、社会全体の有効需要(国内に限れば、消費Cと投資I)が足りないから生じるというものであった(p240)


・スミスは、国民が経済的な「独立」を達成することが犯罪防止の最善の策だと考えるに至ったわけだ(p55)


・スミスの思想に忠実に従うならば、「富」を増大させるには二つの方法しかない。一つは、労働人口に占める生産的労働者の割合を高めること・・もう一つは、労働力の生産力を向上させる・・(p92)


・重商主義は、「貨幣(金や銀のような貴金属)=富」という考え方から、貨幣の形で貿易差額(輸出額から輸入額を引いたもの)を稼ぐことが最優先された。そのために、国内の産業を保護育成・・輸入を抑えるために高い関税をかけた(p59)


・18世紀後半、植民地側の代表がいないイギリス議会で、フランスとの戦争費用をまかなう新しい税を課すことが決められると、植民地の人々はアメリカ独立戦争を起こし、1776年に独立宣言を発表しました(p79)


・コルベール主義は、穀物の価格を人為的に低く抑える政策をとって良価の実現を阻んできた。穀物には内外に自由に流通するようにしなければならぬ。そうすれば穀物の価格は自然と良価に落ち着くはずだ(p63)


・リカードは、利潤率の低下を回避するためには、外国の安価な穀物が輸入できるようにする貿易の自由化が必要と主張した(p139)


・ミルは社会主義者たちを尊敬していました・・到達した結論が、資本主義体制を打倒して一気に社会主義へと移行するよりも・・資本主義の弊害を漸進的に除去しながらもっと高い理想を目指すほうが個人の自由も個性も保てるというものだったのです(p172)


・マルクスの生地トリーアに中国から「友好の証」として高さ5.5メートルのマルクス像が贈られてきたものの、地元では必ずしもそれに対して歓迎一色ではなかったらしいということだ。旧東ドイツで共産主義による人権の抑圧などを経験した人たちは、それを苦々しく見ていたと(p176)


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▼引用は、この本からです。
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根井 雅弘
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【私の評価】★★★☆☆(75点)


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■目次

第1章 経済学をもっと知りたい!
第2章 グラスゴウ大学の道徳哲学者に会う
第3章 経済学生誕の地はイギリスかフランスか
第4章 アダム・スミス『国富論』が出版される
第5章 「見えざる手」の独り歩き
第6章 古典派経済学の形成
第7章 リカードからミルへ
第8章 マルクス経済学
第9章 マーシャルと新古典派経済学
第10章 ケインズ経済学
終 章 経済学をより深く学ぶために


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