「がん外科医の本音」中山 祐次郎
2019/07/04公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(73点)
要約と感想レビュー
傲慢な医師からは逃げる
39歳の現役がん外科医によるがん治療にに係る情報です。患者はお客様という視点から、傲慢な医師を徹底批判しています。セカンドオピニオンを考える患者に激怒したり、「失礼でしょ」などという医師は失格と切り捨てています。
激怒する医者を、著者は「小者の医者」と表現して、離れるべきと助言しています。怒る医者は、自分の治療方針に自信がなく、他の医師と比較されて自分の能力不がをバレることが怖いか、怒ることで自分の権威を高めたい哀れな人なのです。ダメな医者は、性格が悪いだけなのです。
「失礼だ!」・・医者はなぜこんな言葉を使うのでしょうか?・・「治療してやってるんだから、敬いなさい」という考えが透けて見えます。このような医者は、すぐに替えた方がいい(p107)
医師は製薬会社とつながっている
踏み込んでいるところは、教授や学会の役員が製薬会社と密接につながっている点を書いているところでしょうか。つまり、学会の役員などになると製薬会社との付き合いや、学会の方針に従って、思ってもいないことを言うこともあるようなのです。
つまり、がんに関するガイドラインの作成委員の多くが、抗がん剤を作っている製薬会社から講演謝礼金と研究助成費を受け取っています。ガイドラインは患者の利益のためにあるのか、それとも製薬企業の利益のためにあるのか、疑問を持つ人が多いのです。
とはいっても、そうした利益相反は多くの書籍で指摘されており、想定の範囲内の内容だと思います。
医学界の重鎮による意見は、偏っている可能性がある・・重鎮とは、教授や○○学会の理事などです。たとえば、「本当は○○はあんまりすすめられないんだけど、理事をやっているナントカ学会はこれを推進しているしな」というようなもの(p177)
ガイドラインに従って治療するしかない
医師といってもガイドラインに従って治療するしかないわけで、自由度は小さいのだと思いました。著者のお勧めは、いろいろな検査をして、「あなたは○○がんのステージ○でした。治療方針はまず抗がん剤をやり、その後手術を考えています」というタイミングでセカンドオピニオンをもらうことです。
どちらかといえば、医師の人間性や接客態度のほうが医師としての差が大きいのでしょう。つまり、患者に医師がどれだけ寄り添っているように感じさせるのか、ということが大事ということです。出版前に多くの医師に原稿チェックをお願いしているとのことで、常識的な内容でした。中山さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・良性と悪性の線引きは実はあいまいです。良性でも勝手に増えたり、周りを壊したり、遠くに移ったりすることがあります(p39)
・緩和ケアを早くから始めたがん患者さんは、そうでない人と比べて生存期間が伸びたという研究がありました(p67)
・病院側としては「見捨てている」意識はありません。が、「これ以上ここでできる治療はない」ということをお伝えすると、「もう来ないでください」というふうに伝わってしまうのかもしれません(p114)
・オススメしたいのは、「始めの段階で、相性が悪いと感じたら医者を替えたほうがよい」ということです(p89)
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【私の評価】★★★☆☆(73点)
目次
第1章 医者から見る「がん」とはどんな病気なのか
第2章 がん治療と薬の本音
第3章 主知医と病院の本音
第4章 がん予防の本音
第5章 がん検診の本音
第6章 患者生活の本音
終章 がんになるということ
著者経歴
中山祐次郎(なかやま ゆうじろう)・・・1980年生。聖光学院高等学校を卒業後2浪を経て、鹿児島大学医学部卒。都立駒込病院で研修後、同院大腸外科医師(非常勤)として10年勤務。2017年2月~3月に福島県高野病院院長を務め、その後、福島県郡山市の総合南東北病院外科医長として勤務。資格は消化器外科専門医、内視鏡外科技術認定医(大腸)、外科専門医、感染管理医師、マンモグラフィー読影認定医、がん治療認定医、医師臨床研修指導医。大腸がんの専門医として手術には2000件以上に参加、執刀だけでなく抗がん剤治療や緩和ケアなどにもあたる。
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