人生を変えるほど感動する本を紹介するサイトです
本ナビ > 書評一覧 >

「医者の本音」中山 祐次郎

2018/09/10公開 更新
本のソムリエ
本のソムリエ メルマガ登録[PR]

医者の本音 (SB新書)


【私の評価】★★★☆☆(78点)


要約と感想レビュー

医師の仕事はブラック

若手医師がほとんど所属する大学医局に属さずに、外科医として修業を続けてきた異色の医師が教える医師の本音です。医師はお金持ちというイメージがあるかもしれませんが、それ以上に仕事はブラックです。専門にもよりますが、外科医などですと、いつ呼び出されるかわからず、過労・寝不足が常態化しているようです。


また、外来診療では決まったタイム・スケジュールの中で、1日に何十人もの診察しなくてはならず、常に業務過多状態です。冷たい態度の医者が多いというのも、それなりの理由があるということなのです。


私の知っている外科医は明らかに短命な印象で、60代の早めで亡くなる人が多いのです。それも、「睡眠不足・過労・暴飲暴食」(p190)

医師は大学医局に従属している

そして勤務医は大学医局が、医師の人事を握っています。大学医局という統率のとれた組織が医師を派遣するからこそ、過疎地に医師がいるということなのです。そして、医師は大学医局に属しながら技術を磨き、独立開業するのか、このまま勤務医を続けるのか、悩んでいるわけです。


著者が聞いた話では、教授に事前に断りを入れずに退局する若い医師に、教授が「お前、この県で医師をやれると思うなよ」と凄んだエピソードを聞いたという。著者も研修医時代には、上司の外科医に、「外科医には二つの返事しかない・・Yesか、はい、だ」と言われたというのですから、医局は体育会系なのです。


へき地や離島の医療を支えるシステムの一つが、医局です・・医局という、ある意味で強制力を持った集団が、医師を定期的に派遣するのです(p134)

収入は健康保険に左右され医療訴訟もある

医師が恐れるのは、医療訴訟です。そのため説明義務違反とならないように、事前に患者に治療方法を説明し、了解を得るインフォームド・コンセントを徹底しています。ますます、診察時間が伸びるわけです。


医師の業界も、楽ではないのだと思いました。仕事は厳しく辛いのです。収入も厚生労働省に左右される。医療訴訟もある。医師は辛いですね。中山さん良い本をありがとうございました。


無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信)
3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。

この本で私が共感した名言

・看護婦や若手医師に異常に高圧的な医者・・勘違いしてしまう医者は、たまにいます(p61)


・受診は「平日の昼」をおすすめする意外な理由・・夜中3時に病院にかかった場合、出てくる医師はまず間違いなく眠くてボーッとしています(p125)


・現実的な医者選びとしては、
 ・まずかかってみる。だいぶ変だったらすぐに医者を変える
 ・相性が悪いと感じたら、そのときも変える
 ・基本的に自宅からアクセスの良い病院を選ぶ(p147)


・製薬会社の営業・・・key doctorにしっかり営業して「この薬は有用だ」と思ってもらい、それ以外の医師たちを集めた製薬会社主催の研究会で薬の有用性を話してもらう(p177)


・製薬会社が医師に営業行為を行うことは本質的な矛盾をはらんでおり、矛盾が有形化したのがノバルティス社の「ディオバン事件」と武田薬品工業の「ブロプレス事件」です(p182)


医者の本音 (SB新書)
医者の本音 (SB新書)
posted with Amazonアソシエイト at 18.09.09
中山 祐次郎
SBクリエイティブ
売り上げランキング: 732


【私の評価】★★★☆☆(78点)


目次

第1章 医者の本音 その一言に込められた真意
第2章 医者は言わない 薬・手術の本当のところ
第3章 病院の本音 患者の都合 医者の都合
第4章 医者のお金と恋愛 その収支明細と私生活
第5章 タブーとしての「死」と「老い」 人のいのちは本当に平等か?



著者経歴

中山祐次郎(なかやま ゆうじろう)・・・1980年生。聖光学院高等学校を卒業後2浪を経て、鹿児島大学医学部卒。都立駒込病院で研修後、同院大腸外科医師(非常勤)として10年勤務。2017年2月~3月に福島県高野病院院長を務め、その後、福島県郡山市の総合南東北病院外科医長として勤務。資格は消化器外科専門医、内視鏡外科技術認定医(大腸)、外科専門医、感染管理医師、マンモグラフィー読影認定医、がん治療認定医、医師臨床研修指導医。大腸がんの専門医として手術には2000件以上に参加、執刀だけでなく抗がん剤治療や緩和ケアなどにもあたる。


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ第3位
にほんブログ村


この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
blogranking.png

人気ブログランキングへ

<< 前の記事 | 次の記事 >>

この記事が気に入ったらいいね!

この記事が気に入ったらシェアをお願いします

この著者の本


コメントする


同じカテゴリーの書籍: