【書評】「天国にとどけ! ホームラン: 3.11を乗りこえて、バッティングセンターを作った父子の物語 」漆原 智良
2019/06/07公開 更新

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【私の評価】★★☆☆☆(67点)
要約と感想レビュー
家族7人を亡くす
宮城県気仙沼市で牛乳販売業を経営する千葉清英さんは、東日本大震災で、妻、妻の両親、長女、次女、妻の妹と妹の子、家族7人を亡くしました。清英さんも肋骨を骨折し、足が凍傷。小学校の瑛太くんは校舎で難を逃れました。
残ったのは息子の瑛太くんとの二人だけ。残された清英さんは牛乳販売の再開を決断し、無事だった従業員とともに事業を再開していくことにするのです。息子との二人の生活のなかで、息子の夢は野球で大リーガーになることでした。二人でキャッチボールはできますが、バッティングセンターは50km先の前沢。車で1時間半もかかるのです。
そのバッティングセンターでひたすらバットを振る息子瑛太を見て、息子は野球でつらい思いを振り切り、忘れようとしているように感じられました。そして、友達のためにも気仙沼にバッティングセンターがほしいという息子の話を聞いて、清英さんはバッティングセンター建設を約束したのです。
・瑛太のためにも、本気で立ちあがらなければならない。息子との約束だけは、大げさかもしれないが、自分の命をかけても実現させなければならない(p84)
「思いは叶う」
バッティングセンター建設には1億円もの資金が必要だとわかりました。そのために『希望ののむヨーグルト』販売。塩分のきいたサイダー『潮騒ダー』を販売開始。多くの人の協力を得てサイダーが売れ、気仙沼にバッティングセンターが完成したのです。
「思いは叶う」のですね。夢は叶うという実話で感動しました。千葉さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・小久保裕紀選手も、幼いときに父と別れ、母親の手ひとつで育てられた・・・東北の新聞社の紹介で、そのことを知った小久保選手が・・千葉さん親子を、福岡ドームにまねいてくれたのだった(p92)
・『希望ののむヨーグルト』を二百万本売り上げれば、一億円の資金が調達できる。もっと、販売協力をお願いしなければならない・・しかし、時間はあと一年少々しかない(p118)
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【私の評価】★★☆☆☆(67点)
目次
(1)津波がせまる!
(2)マグニチュード9・0
(3)校舎の三階へ
(4)避難所めぐり
(5)家族との別れ
(6)ゼロからの再出発
(7)瑛太くんの夢
(8)小久保選手からのおくり物
(9)希望ののむヨーグルト
(10)ヤフー球場へ
(11)始球式でマウンドへ
(12)被災地支援物産展へ
(13)アイディアを出しあう
(14)バッティングセンター
(15)夢はかなえるもの
著者経歴
漆原智良(うるしばら ともよし)・・・1934年東京・浅草生まれ。児童文学作家、教育評論家。児童書、絵本、教育書など多数。『ぼくと戦争の物語』で第1回児童ペン大賞受賞。第45回児童文化功労賞受賞。現在、日本児童文芸家協会顧問、日本児童ペンクラブ顧問。執筆、講演に全国奔走中
震災復興関係書籍
「電力と震災 東北「復興」電力物語 」町田 徹
「天国にとどけ! ホームラン: 3.11を乗りこえて、バッティングセンターを作った父子の物語 」漆原 智良
「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている―再生・日本製紙石巻工場」佐々 涼子
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