「JAL再建の真実」町田 徹

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JAL再建の真実 (講談社現代新書)

【私の評価】★★★☆☆(78点)


■私は出張ではJALをできるだけ
 使わないようにしています。


 なぜならJALは2010年に
 破綻した会社だからです。


 JALは100%減資、債権放棄が行われ、
 赤字路線からの撤退と
 人員削減、年金債権カットにより
 ANAを脅かす存在として復活しました。


 ANAとしては
 消滅するはずのライバルが税金や
 法的整理を使って強くなって復活する
 という最悪のパターン。


・JALの破綻で・・100%減資が断行されて、
 古くからの株主は、保有していたJAL株が
 何の価値もない紙切れになる・・
 巨額の資金を融資していた金融機関は、
 融資をチャラにする金融再建カット・・
 全日本空輸(ANA)をはじめとした内外の
 ライバル各社も、大変な被害者である。
 一民間企業似すぎないJALへの政府のテコ入れ策が、
 世界の航空市場の競争環境を歪めて、
 ライバルたちに不利な戦いを強いる状況が
 生まれたからである(p7)


■再建型手続きとしては、
 会社更生法、民事再生法などがありますが、
 裁判所の監督の下で手続が進められるとはいえ、
 議論があるようです。


 特にJALの場合は、航空機をリース
 しているものが多かったため
 リース債権はカットされませんでした。


 あくまでJALの運航が破綻後も
 継続することができるよう
 最大限の配慮を受けたのです。


 東日本大震災後の、
 東京電力の50%増資による国有化よりは
 法的整理という意味でマシではありますが、
 議論のあるところなのでしょう。


・リース債権まで保全する必要があったのか・・・
 機体の多くをリースで調達しているため、
 債権カットの対象にすると機材を差し押さえられる、
 あるいは引き揚げられると危惧したためだが・・
 『運航の継続』に気を使うあまり、
 判断を誤ったのではないか」との見方が多い・・
 法的整理を選択するならば遵守されるべき
 『債権者平等の原則』を無視・・(p167)


■債権放棄とリストラで身軽になった
 JALの経営に稲盛さんが参加して、
 JALの経営はさらに安定したようです。


 経営によってこれほども変わるのもか、
 ということを証明したように感じました。


 また、ANAとしては
 真面目に経営しているのがアホらしくもあり、
 ANAも一度破綻して債権放棄してもらいたい
 くらいの気分かもしれません。


 だから私はANAカードを持っているし、
 できるだけANAに乗るのです。


 町田さん
 良い本をありがとうございました。


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■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・過去最大の倒産劇・・・
 体面に拘る社風を最後まで捨て切れなかったJALは
 この日、帝国ホテルで単独の記者会見を開こうとして、
 支援機構に無駄遣いをするなと一蹴されたと聞く。
 そして、記者会見は、支援機構とJALの共同記者会見の
 体裁に落ち着いたというのだ(p157)


・簿外負債(隠れ借金のこと)が二つも存在・・・
 退職金や年金の積み立てが不足していた・・
 積立不足額は実に2731億円に達していた・・・
 もうひとつの簿外債務は「所有権移転外
 ファイナンス・リース」・・
 71億円がショートしていた・・(p36)


・「営業外収益」の部に「機材関連報奨額」
 という名の利益が計上・・
 航空機メーカーから、航空機やエンジンなどの
 航空機部品を買ったときに受け取るキックバックを指す・・
 モノを買って利益が出ることなどあり得ない。
 通常の経理処理に従えば、航空機のような機械の場合、
 リベート分を差し引いた正味の購入費を
 バランスシートに資産として計上して、年数に応じて
 償却していくだけのことである(p62)


・七組合のひとつだった日本航空労働組合は、
 ホームページで要求のベースとなった
 アンケートの内容を開示していた。そこには、
 「経営失敗・無策のツケを社員に押し付けるな」
 「『実質赤字』の原因は、安全・サービスの低下、
 商品競争力の低下、役員人事のドタバタ」
 といった経営陣への不信の声で溢れ、・・
 JALはほんの数日前に、4300人の人員削減を柱にした
 500億円の経費削減策を公表し、銀行団に支援融資を
 要請したばかりだ。組合の要求の高さに・・
 これでは再建は覚束ない」と主力銀行関係者からは
 不審の声が上がる・・(p84)


・燃料代、機内食のケータリング費、人材派遣料といった 
 商業債権と、航空機のリース債権については、
 特例処置を用意した・・販売済みの航空券の効力と、
 マイレージ取り付けにさらされたマイレージ
 プログラムも保護することにしたのだ。
 一般の企業ならば、もはや資金繰りがつかず、
 支払いも営業もままならず、取引先と利用客の信頼を
 一気に失うところだ。ところが、JALの場合、
 血税によって、取引先や利用客のJAL離れを防ぐために
 可能な限りの対策が講じられたのである(p159)


・航空業界には・・コスト構造を測る指標として、
 「ユニットコスト」という概念がある。
 ひと言で言えば、一座席を一キロメートル
 飛ばすのに必要な費用だ。JALの場合、
 このユニットコストが破綻前(2009年3月期)に
 13.8円だったが、この三年間の努力で
 2012年3月期には11.5円まで削減できた。
 2011年3月期の数字にはなるが、ANAや
 ルフトハンザは13円台・・・採算の良い
 米デルタ、香港のキャセイ、シンガポールの
 6~8円程度と比べて大きな格差が
 残っているのが現実なのだ(p206)


・空港整備勘定は、数ある特別会計のひとつ。
 予算規模は2009年度が5280億円と巨大だ・・・
 各地の空港整備(2009年度の場合で3299億円)
 に充てられていた・・「赤字垂れ流し」と
 批判された地方空港の建設原資は、
 この特別会計から捻出されていた・・
 「空港使用料」(同2084億円)と
 「航空機燃料税」(同781億円)・・
 空港使用料と航空機燃料税は、
 JALとANAの負担がそれぞれ900億円前後。
 一般会計経由のものも含めれば、両者の負担は
 それぞれ1000億円を超えていた(p125)


・支援機構はなぜ、このプレパッケージ型の
 法的整理に拘ったのだろうか。そもそも、
 自民党時代に有識者会議の下で進められた
 JAL再建策は、完全ではないが、可能な限り
 自主再建を目指そうというものだった・・・
 支援機構は、JALのような規模の大きい企業の
 デューデリジェンスや再建プランを行う体制・
 人材を揃えていなかった・・これまでに例のない
 プレパッケージ型の法的整理に挑戦する
 というのは、正気の沙汰ではなかった・・・
 最初から法的整理を検討していたか疑問視する
 向きもある・・法的整理を、私的整理を進める
 ための駆け引きに使おうとしたという説である。
 ところが、なんの根回しもない不用意な打診を
 したことによって、情報が「燎原の火」のように
 駆け巡ってしまい、結局引っ込みがつかなくなり、
 法的整理を行わざるを得なくなった(p163)


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■目次

第1章 隠れ破綻
第2章 "最後の社長"西松遥の闘い
第3章 最後の引き金を引いた前原国土交通大臣
第4章 プレパッケージ型破綻と稲盛和夫



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