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「悪いヤツほど出世する」ジェフリー・フェファー

2019/02/05公開 更新
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悪いヤツほど出世する (日経ビジネス人文庫)

【私の評価】★★★☆☆(78点)


■アメリカでは、
 悪いヤツほど出世するらしい。
 同じように日本でも
 悪いヤツほど出世するのです。


 例えば、日本大学のアメリカンフットボールの
 危険タックル問題では、内田正人監督が
 選手に危険タックルを指示していました。


 しかし、大学側は否定し、
 警察も「指示はなかった」と認定し、
 監督を更迭されただけで、
 無罪放免となっています。


 どのような手段を持ってしても
 業績さえあげれば出世できる
 というのが現実なのです。


・名門ラトガース大学のバスケットボール・チームの監督を務めていたマイク・ライスは、2013年に解雇された・・・ライスが選手をどなりつけ恥をかかせる、ウェアを引っ張る、押す、蹴る、ボールを頭や脚に投げつける、ホモだと愚弄する様子が映っている・・・彼は好業績を挙げて評価されてはいたものの、癇癪持ちでも有名だったのである(p294)


■実際、アメリカにおいても
 和を重んじ、控えめで、寛容な経営者は
 ほとんどいないのです。


 部下には強気で、厚かましく、傲慢で
 上司には笑顔で従順な内田監督のような人が
 出世している現実がある。


 成果が出ればオレの業績、
 成果が出なければ前任者が悪い、
 選手が悪い。


 そんな人でなければ、
 偉くなれないというのが
 組織なのでしょう。


・経営者というものは、高業績は自分の実力だと自画自賛し、業績不振は自分ではどうにもならない外部要因や前任者やマクロ経済環境のせいにするという(p227)


■だから悪に見習うべきところもある。
 経営の「君主論」と言える一冊でした。


 こうしたことを大学で教える人がいる
 というのがアメリカのすごいところだと
 思いました。


 フェファーさん
 良い本をありがとうございました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・フォーチュン500社のうち、CEOと経営幹部に占めるアジア人の比率はわずか2%だという・・アジア系の専門職の人たちは、自分にはエグゼクティブとしての威厳や貫禄がないと考えて、昇進を望まないことが多い(p114)


・ビル・ブラッドリーは、プロバスケットボール(NBA)のスター選手で・・「リーダーは和を重んじ、控えめで、寛容でなければならない」と語っている・・だが残念ながらこれらの資質を備えたリーダーは、とくに大きな組織には、ほとんど見かけない(p95)


・大方の組織では、あるいは大方の状況では、率直や正直は「デフォルト設定」ではない。問題の一部は、組織の中で地位の高い相手に対しては、部下は「おっしゃるとおりです」と言いがちである・・権力者におもねるのは人間のつねである(p152)


・リンドン・ジョンソンは上院議員時代にアメリカの政治史上最年少の多数党院内総務となった。大統領としても評価が高く、多くの功績があったとされているが、部下をどなりつけ、叱りつけることで有名でもあった・・報道官を務めたビル・モイヤーズによれば、ジョンソンは「他人の弱みを嗅ぎ付ける動物的な嗅覚を備えていた」という(p269)


・ヘンリー・キッシンジャーは、スタッフの電話を盗聴したといわれる。国家機密の漏洩を発見することが当初の目的だったが、自分に対する(大統領や国家にではなく)忠誠心を確かめる意図もあったという(p270)


・リンダ・ワハナーは、百貨店のバイヤーからスタートして、ついにはアパレルのウォーナコー・グループのCEOに就任した・・ウォーナコー・グループは事業を拡げすぎたことが祟って2000年に破産申請した・・部下を人前で罵倒し、エゴを剥き出しにするなど、その経営スタイルは「傲慢で虐待的」だった(p270)


・ナルシスト的な性格は・・とくにリーダーにはめずらしくない・・ナルシシズムとは自分の重要性を過大評価し、傲慢な態度や行動をとり、他人への共感に欠け、無限の成功や権力を手に入れる幻想に囚われ、自分だけは特別だと信じて疑わない性格(p105)


・リーダーに選ばれたいなら、最低でも、選ぶ側があなたの存在に気づいていなければならない。記憶に残らないような人間は、絶対に選ばれない(p108)


・ニューヨーク・タイムズ紙には次のような論評が載っている・・世の中は善人ばかりではない、だから必要とあらばよからぬ人間になることも学ばなければならない、マキアヴェリは教えた・・政治の世界では、道徳に従っていたら国家の破綻を招きかねない。そこでは一見すると悪と見えることが安全と繁栄につながることがある(p286)


・自分を演出し人を眩惑する能力は人間関係においてきわめて重要であり、巧みに嘘をつく能力は仕事で成功するうえで欠かせない(p167)


・「GEジャーク(いやな奴)」・・・人使いが荒く、競争の激しいGEで鍛えられた押しの強い社員をこう呼ぶらしい・・・ウェルチの著書では、経営や業績のことは語られていても、在任期間中に起きた公害訴訟や価格操作や防衛関連の不正には触れられていない(p63)


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【私の評価】★★★☆☆(78点)


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■目次

序章 リーダー教育は、こうして失敗した
第1章 「リーダー神話」は、百害あって一利なし
第2章 謙虚―そもそも控えめなリーダーはいるのか?
第3章 自分らしさ―「本物のリーダー」への過信と誤解
第4章 誠実―リーダーは真実を語るべきか?(そして語っているか?)
第5章 信頼―上司を信じてよいものか
第6章 思いやり―リーダーは最後に食べる?
第7章 自分の身は自分で守れ
第8章 リーダー神話を捨て、真実に耐える


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