「日本を亡ぼす岩盤規制 既得権者の正体を暴く」上念司
2019/01/04公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(85点)
要約と感想レビュー
■日本長期信用銀行から経済評論家となった
上念さんの教える
日本を改革するためのポイントです。
財務省、農業、放送・通信、銀行、
NHK、医療・病院、保育園、朝日新聞と
8つの項目で構成されています。
改革といっても明らかにおかしい、
あまりに古い、不合理な規制を
時代に合わせたいだけなのです。
ただ、モリカケ問題で明らかになったことは、
安倍首相のように「国家戦略特区」などで
岩盤規制を打破しようとすれば、
その反対勢力がマスコミ、政治家を使って、
これだけ足を引っ張るのだということです。
・いままで獣医学部新設の申請書を受け取らず門前払いしていたのが憲法違反だった・・むしろ、疑惑があるのは国民民主党の玉木雄一郎議員や、自民党の石破茂議員ではないのか?彼らは獣医師会から献金を貰ってこの岩盤規制を擁護していた可能性が否定できない(p12)
■面白いところでは、
著者が長期信用銀行で
勤務していたからかもしれませんが、
大蔵省、日本銀行への批判です。
どんどん貸せ!とバブルを煽ったのに、
手のひらを返すように
不動産の総量規制で首をしめた。
他国が金融緩和する中で、
日本だけ金融引締め、消費税増税を続け
失われた20年を作り上げた。
いかに経済を知らない人が金融を統括し、
いかに責任を取らないのか、
なぜセクハラ発言する人が次官になれるのか、
著者もその理由は分からないそうです。
・「どんどん貸せ!」と煽っていた大蔵省と日銀が、突如として手のひら返し、もう貸すなと言い出した。銀行はまさかと思ったが、1990年~91年の大蔵省の総量規制で不動産への貸出しに制限がかかるに至って、当局が本気であることに気付いたのだ・・財務省は緊縮モード、日銀は金融引締めモードになる。しかも、20年近くもの長期間にわたって(p114)
■70年も憲法改正ができない日本は、
その他法律も変えにくい国のようです。
変えようとすれば、攻撃されるのは分かっていて
「国家戦略特区」を進めている安倍首相は
ある意味バカであり、奇跡なのだと思いました。
日本人が愚かでないことを祈りつつ
この本を閉じました。
上念さん
良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・「岩盤規制」とは、言ってみれば「おバカ校則」みたいなものだ。まず、内容が古い。戦争直後の食料不足、住宅不足に対処するために作られたもの、GHQが決めたこと・・(p5)
・安保法制の時のバカ騒ぎを覚えているだろうか?・・民進党をはじめとした野党とそれに呼応した自称「市民」が国会前で連日連夜大騒ぎをしたあの事件だ・・・日本が戦争するための法案であり、徴兵制が復活すると叫んでいた・・・この時バカ騒ぎをしていた集団とほぼ同じメンバーが、その後モリカケ問題で同様の騒ぎを起こした(p7)
・国会前でバカ騒ぎをしていた自称「市民」の中には多数の極左暴力集団が含まれていた・・過激な共産主義者が「護憲」を叫ぶ。何とも滑稽だ。そんな過激派の浸透を許していた時点で、この運動が本気で憲法を守ることを求めていたかどうかは疑わしい(p12)
・ご存知の通り、マスコミの中には極左暴力集団のスパイが潜り込んでいる。一番有名な話はNHKプロデューサーの今理織(こんみちおり)氏だ。今氏は表向き解散したことになっている「しばき隊」のメンバーであり、実質的には沖縄支部長として過激な活動家を沖縄に送り込んだ張本人である(p93)
・NHK・・尖閣問題に関して、支那共産党の主張を一方的に伝えるCCTVの番組を何のキャプションも入れずに垂れ流したり、歴史番組ではありもしない「日台戦争」なるものをデッチ上げ、台湾人と日本人の友好関係に楔を打ち込んだりしている(p145)
・新潟日報上越支社報道部長・坂本秀樹氏がTwitterアカウント「壇宿六(闇のキャンデーズ)」であったことが2015年に発覚している(p94)
・朝日新聞が事あるごとに攻撃している企業の内部留保だが、日本企業に平均値は総資産の25%程度である・・これに対して、朝日新聞の内部留保は・・総資産の約50%(3080億円)にも上る。中身を見てみると、その大半はテレビ局やラジオ局の株式と不動産に化けている。実はこの莫大な内部留保によって株を買うことで、朝日新聞はメディアを支配しているのだ。これはクロスオーナシップと呼ばれ、他の先進国では禁止されているメディアの独占である(p223)
・一昔前なら、マスコミはこの数字を捻じ曲げたり、隠したりすることができた・・かつて森喜朗総理の「神の国」発言で衆議院を解散に追い詰めた時代は二度と来ない。あれは典型的な「切り取り報道」だった。いまなら、ほんの数分でネット上に発言全文がアップされてしまうだろう(p18)
・財務省は2019年10月に、消費税の増税を予定している。2014年の増税で明らかになったように、これは物価目標の達成に大逆風になる・・・2013年まで順調に伸びていた消費支出に2014年から大ブレーキがかかっている・・来年、消費税を増税すれば、これと全く同じことが起こることは誰の目にも明らかだ(p24)
・なぜ財務省は・・日本経済復活の足を引っ張るのか?・・一説によれば、彼らは権益の拡大と保身にしか関心がなく、日本経済などどうでもいい・・・また、ある説によれば、外国のスパイが紛れ込んで・・その他にも、単に先輩が犯した過ちを否定できないだけかもしれないとか、安定志向のエリートなのでメンタル面が弱すぎてリスクが取れないとか、・・真相は分からない・・・女性にはセクハラし放題・・(p30)
・日本以外の先進国においては、食料品や衣料品などが消費税の減免や免除対象となっているため、税率を19%ぐらいにしないと歳入の3割を消費税で稼ぐことはできない。それに対して日本の場合、消費税の減免の対象となる商品はゼロだ。そのため、他の先進国よりも低い8%の税率でも、すでに税収全体の約3割に達している(p38)
・1991年から行われた牛肉とオレンジの自由化を覚えているだろうか。あの時、テレビのニュースでは、日本の牧畜業とみかん農家はすべて破産すると言わんばかりの勢いで、危機感を煽っていた。しかし、実際に何が起こったか?なんと、国産牛肉の生産は自由化以降も減らなかった。むしろ、牛肉全体の消費が増え、なおかつ和牛としてブランドの確立に成功(p69)
・不思議なことに、病床数が多い都道府県ほど医療費が増大している。試しに相関係数を求めてみたが、なんと0.85もあった・・病院はベッド数が増えた分だけ、病人を作ってしまうのだろうか(p151)
・日本では70年も議論して、未だに結論が出ていないのが幼保一元化なのだ。それだけ既得権が強く、規制が岩盤のように固い・・保育士と幼稚園教諭の資格は未だに分かれているし、施設要件などもそれぞれ異なっている(p201)
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【私の評価】★★★★☆(85点)
目次
第1章 財務省
第2章 農業
第3章 放送・通信
第4章 銀行
第5章 NHK
第6章 医療・病院
第7章 保育園
第8章 朝日新聞
著者経歴
上念 司(じょうねん つかさ)・・・1969年東京都生まれ。1993年中央大学法学部卒。日本長期信用銀行から,学習塾「臨海セミナー」に転職後,独立。2007年より、経済評論家。勝間和代と「株式会社監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任。現在は代表取締役。