「ホテルオークラ総料理長の美食帖」根岸 規雄

| コメント(0) |

ホテルオークラ総料理長の美食帖 (新潮新書)

【私の評価】★★★★☆(86点)


■現在本館を建て直しているホテルオークラの
 総料理長が教えるホテルオークラの
 調理場の歴史です。


 ホテルオークラは
 日本で最初にフランス人シェフを招聘し、
 日本のフランス料理をリードしてきました。


 実は、フランス人シェフの招聘は、
 ホテルオークラ内の料理人の派閥争いの中で
 オークラ流の味を統一するための
 打開策という意味もあったのです。


・開業直後のホテルオークラの調理場は、
 多国籍軍が集い、互いが互いを牽制し合う、
 まるで戦場のような様相でした・・・
 ホテルニューグランド系列と帝国ホテル系列は、
 その中にあっても当時の二大勢力でした・・・
 その二つの潮流の「見えない対立」は、
 相当根深いものがありました(p60)


■小野ムッシュから総料理長を引き継いだ著者は、
 ホテルオークラの味を守りつつ、
 変えるべきことは変えています。


 例えば、顧客と料理のデータを収集し、
 どのような料理をどれだけの量を
 作ればよいのか標準化しています。


 また、レシピについても
 コンソメでは糖度計を使うなど
 可能な限り数値化する工夫をしている。


 伝統の味を守りつつ、
 職人の感覚に頼りがちな部分を
 データで残していくということですね。


・1年以上にわたって宴会料理の原材料費の
 データを集めました。料理の残り具合や
 品切れになる料理を調べたり、季節による
 食材費の変化等を子細にチェックしたのです・・
 宴会の趣旨は何なのか、参加者の年齢層や
 性別、国籍等の情報を小まめに
 もらうようにしたのです(p198)


■一流の人には語るべきことが
 あるのだと思いました。


 そして料理への愛、
 自分を育ててくれたオークラへの
 愛を感じました。


 根岸さん
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・日常的にスイスやフランスの思想が生きています。
 無駄なものは使わない。材料は使い切る。
 小まめにコスト管理をする。その代わり、
 使うべきものは十分に使って最高の料理を作る。
 それが私のポリシーになりました(p108)


・レシピの適正化=数量化・・・
 料理の基本であるコンソメを引く時は、
 容器にその日作った担当者の名前を書かせるとともに、
 糖度計(ブリックス計)を使って頻繁に旨み成分の
 数値を計るシステムを徹底させました(p195)


・小野ムッシュの言葉・・
 「料理人は客よりも美味いものを食え」
 「美味しいものには必ず、味、形、色、輝きがある」
 「一生勉強、基本を大切に」(p11)


・ダブルコンソメはコンソメから作ったスープ・・
 お値段は、2100円。・・
 このスープには根強いファンが多く
 ホテルオークラの人気メニューのひとつです(p4)


・ヌーベル・キュイジーヌ(新しいフランス料理)
 の潮流は、日本に滞在したシェフを通して
 日本料理の技術や素材の魅力が本国に持ち込まれ、
 その影響を強く受けて開花したものと
 言われています(p10)


・それまでのホテルやレストランの現場では
 料理人と業者の癒着は当たり前。
 ワイロが存在することも暗黙の了解のうちでした。
 ホテルオークラでは、開業時から
 そのような類を一切排除・・(p72)


・ローザンヌ・パレスという、スイス国内でも
 十指に入る一流ホテルの調理場に職を得ます・・
 スイスという国は、国家としてその制度を
 しっかりと作って、世界に通用する料理人を
 育てているのです。よく言われることですが、
 日本には和食を含めて国立の料理学校はないし、
 現場を巻き込んだような教育システムも
 ありません(p93)


この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
blogranking.png


人気ブログランキングへ


ホテルオークラ総料理長の美食帖 (新潮新書)
根岸 規雄
新潮社
売り上げランキング: 63,834

【私の評価】★★★★☆(86点)

[Amazonで購入する]

[楽天ブックスで購入する]



■目次

1 西洋の模倣はいらない
2 ロビーに静けさを、エレベータに金蒔絵を
3 これが本場の味なのか
4 運命のローストビーフ
5 ご飯でキャビアを
6 サリー・ワイル氏の恩返し
7 ソースの魔法
8 初めての三つ星の味
9 スプーンはタテかヨコか
10 レストラン・ウェディング誕生
11 お客様をお名前で呼ぶために
12 迎賓館のイワツバメ・スープ
13 皇族方への接遇
14 VIPの大好物
15 世界一のフレンチトースト
16 伝統にデータを加味して
17 「絶対の一品。」の真価



にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ第3位
にほんブログ村




この続きは無料メールマガジン 「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』:1ヶ月30冊を超える情報をe-Mailで」でお読みいただけます。

無料メルマガ購読

>月別(2002年7月~)