「「国家」の逆襲 グローバリズム終焉に向かう世界」藤井 厳喜
2016/09/22公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(90点)
要約と感想レビュー
トランプはアメリカで人気がある
日本のバブル崩壊、リーマンショック等を予測し、的中させてきた国際問題評論家、藤井さんの一冊です。藤井さんが予測する未来は、国境なき世界ではなく英国のEU離脱に見られるような国民国家の復活です。理想主義者が推進してきたグローバリズムの流れが逆転してきているのです。
実際にアメリカファーストのトランプを日本のマスコミは否定的に報道していますが、アメリカではトランプはものすごく人気があるとしています。グローバリズムよりも国民国家の復活という流れが、トランプ現象なのです。
東アジアでEUのような共同体が出来たとして、たとえば北京に議会があって、ソウルに最高裁があって、上海に本部の官僚機構がある。そんなところで決めた勝手な規制を日本人に押しつけてきたら、日本人はとても耐えられないでしょう(p26)
トランプはアメリカで人気がある
そうした流れの中で、税制は、タックスヘイブンでの節税は規制され、国家が徴税を強化しています。EUの移民が問題化し、EUの金融危機が再発し、EUを離脱する国が増えていく。中国の経済バブルは破裂し、中国の国内問題の高まりにより中国近海で軍事危機が発生する。
著者はヨーロッパに流入する難民は、軍隊の形を取っていない侵略と表現しています。グローバル化の矛盾が表面化し、逆向きの大きな変動が今、起きようとしているのです。移民を増やそうとしている日本は大丈夫なのでしょうか。
G20は2016年4月、パナマ文書の騒動を受けて、BEPS(税源浸食と利益移転)規制のさらなる強化について合意し、各国間の税務情報を自動的に交換する共通プラットフォームを構築することになった(p92)
英国と日本との連携強化
藤井さんの日本への提案は、英国が中国から離れることを前提とした英国と日本との連携強化です。日米同盟、日英同盟で日本を強くするのです。
マスコミで報道しないこと、私の知らないことが数多く出てきました。世界の実情を知る藤井さんが見通すことのできるのは、既に起こっている未来なのでしょう。藤井さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・サンダースは「特定の宗教に属さない」と言いながら、自ら自出がユダヤ系であることを認めている・・トランプの娘のイヴァンカは、職業がモデルで、選挙キャンペーンをずっと手伝ってきたが、ユダヤ教徒である(p52)
・日本ではFATF(金融活動作業部会)の規準を満たす条件が整っていない・・・マイナンバー制度の履行が不可欠(p93)
・ファトカは、アメリカの企業や個人が外国に持っている口座の実際をすべて、アメリカの国税当局に知らせることを義務づけた法律で、アメリカはこの法律に基づいて世界的な脱税の取り締まりに乗り出した(p30)
・私たちはよく「主権」という言葉を使うが、この言葉は国家がバチカンの権威に対抗するために作り出した概念だ・・主権国家は平等であり、バチカンからも内政干渉を受ける謂れはない(p128)
▼引用は下記の書籍からです。
祥伝社
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【私の評価】★★★★★(90点)
目次
序章 「国家」の逆襲―英国EU離脱の衝撃
第1章 トランプ現象とは何か―大衆に支持される理由
第2章 パナマ文書が暴いた世界―税金逃れを許さないという国家の決意
第3章 イギリスEU離脱の意味するもの―日米は勝ち組、中独は負け組
第4章 EU共同体幻想の崩壊―ドイツの横暴が招いた自業自得
第5章 難民流入問題の行方―偽善と本音の狭間で
第6章 ドイツ発ヨーロッパ金融危機―ドイツ銀行という時限爆弾
第7章 チャイナ経済バブルの崩壊―ミンスキー・モーメントへまっしぐら
第8章 チャイナの軍事膨張主義―着々と進む南シナ海、東シナ海への侵略
著者経歴
藤井厳喜(ふじい げんき)・・・1952年、東京都生まれ。国際政治学者。1977年、早稲田大学政経学部政治学科卒。同年から1985年までアメリカ留学。クレアモント大学大学院政治学部(修士)を経て、ハーバード大学政治学部大学院助手、同大学国際問題研究所研究員。1982年から近未来予測の「ケンブリッジ・フォーキャスト・レポート」発行
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