★★★☆☆「考えすぎた人: お笑い哲学者列伝」清水 義範♪
2016/05/26公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(73点)
要約と感想レビュー
哲学の本というと、
マジメな大学生が読んでいる
イメージがあります。
「ショーペンハウアーはこう言っているよ」
などと言われると、
顔の右側の筋肉がピクピクします。
この本では、哲学者を
お笑いのおふざけ小噺にした
パロディ本です。
・ショーペンハウアーは・・人間の意志とは,生へのあくなき意欲であり欲望であり,それに突き動かされて生きる人間は,当然矛盾と混乱と悲惨の世界を作りだす(p178)
例えば、ソクラテスについては、異なる神々をを若者たちに教え、彼らを堕落させた罪で死刑になりましたが、この本では、頭を壁にぶつける遊びを若者に広めて、バカにしたので死刑となったことも教えてくれます。
こう言い換えてみると、ソクラテスのバカマジメなところがわかりますね。
・ソクラテスは訴えられた。その罪状は,アテナイの若者たちにおでこを壁にぶつける遊びを広めバカにした,ということと,神よりも強い額のほうが偉大だ,という邪教を広めた,というものだった(p22)
哲学者とは、ある意味 "変人"なのだと思いました。つまり、"考えすぎた人"。
そして考え続けることを職業にまで昇華させたのが、哲学者なのでしょう。哲学というものに興味を持つきっかけになる本ということで★3としました。
清水さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・アテナイを中心とするデロス同盟軍と,スパルタを中心とするペロポネソス同盟軍が戦うこの戦争が,ポロポネソス戦争である・・ソクラテスが戦争に駆り出されたのはこれで二度目のことだった(p20)
・アレクサンドロスの父,フィリッポス二世が,彼が十三歳の時に家庭教師として雇い入れたのが,その時四十一歳だったアリストテレスだった(p46)
・共産主義のはずなのに,必ず多く取る者が出てくる,そしてそれに反抗すると弾圧される,ということに共産主義国ではなってしまうんです(p171)
・ショーペンハウアーは,人間は理性によってこの世界の矛盾,はたまた生の苦悩を解決することができないとして,ようやくのこと,哲学と芸術によってこの苦悩をなぐさめる,もしくはごまかすのがやっとだと言うのであります(p179)
・キリスト教では,人間にとって最も大事なことはまず「神」を,そして次に「隣人」を思うことであります。そしてキリスト教では「自分」を思うこと,自分の「快」や「悦び」を追求すること自体が「悪」と見なされているんです(p186)
・自分は罪のある弱者であり,だからこそ自分を捨てて神に従う,という卑怯な弱さがニーチェには気に入らないのでありましょう(p189)
新潮社 (2015-11-28)
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【私の評価】★★★☆☆(73点)
目次
ソクラテスの石頭
プラトンの対話ヘン
アリストテレスの論理が苦
デカルトのあきれた方法
ルソーの風変りな契約
カントの几帳面な批判
ヘーゲルの弁証法的な痴話喧嘩
マルクスの意味と価値
ニーチェの口髭をたくわえた超人
ハイデッガーの存在と、時間
ウィトゲンシュタインの奇妙な語り方
サルトルの常識な愛情
読んでいただきありがとうございました!
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