「1分間ピケティ 「21世紀の資本」を理解する77の理論」西村 克己
2015/05/06公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
ピケティさんの6000円もする経済書が、15万部も売れているらしい。ということで、フランスの経済学者ピケティさんの主張をまとめた一冊です。ピケティさんの主張は、過去の統計から株式や不動産といった資本の収益率が高いということ。
やはり資本主義は、モノポリーのようにリスクを取りながら資本を持った人が、最終的には勝つ可能性が高いようです。なぜなら資本家は失敗しても0ですが、成功すると大富豪で上限がありませんから、平均すると儲かるのです。
・資本収益率(r)は、歴史的に常に4~6%の範囲で推移している・・・一方、労働所得は1~1.5%しか増えない(p89)
ピケティさんの主張は、世界的資本税を導入することです。資本が世襲されることをなくし、資本をだれもが平等に持てる環境を作ろうというものです。相続税の高い日本の考え方に近いと思いましたが、現実化するためには、マイナンバーを普及させて資本の移動を完全に把握する必要があります。タックスヘブンへの資金逃避も防止しなくてはなりません。実際には、時間がかかるのではないでしょうか。
・世界的資本税導入・・・1国でもタックスヘイブンなどの抜け穴があっては成り立たない(p59)
やはりお金持ちになるためには、お金を貯めて、そのお金に働いてもらう必要があるようです。当たり前のようですが、その当たり前が難しいのですね。
西村さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・労働所得に頼っている中間層より少し下は、失業が無収入に直結し、失業リスクに悩まされやすい。そして失業によって、生活基盤を失う(p32)
・「大規模な資本ほど収益率が高いのは、たやすくリスクが取れるし、気長に待つこともできる」からだ(p82)
・ピケティが目ざすのは資本の民主化である(p167)
・政府が財政出動をしても、全員が恩恵を受けるわけではない。資本を持っている富裕層のみが恩恵を受けるのである(p179)
・少子化が進めば、相続資産が一人っ子に集中し、資本格差が拡大する(p118)
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
第1章 働けば豊かになれるか[所得]
第2章 税金がおかしくないか[格差]
第3章 公平さは取り戻せるか[富の集中]
第4章 敗者は復活できるか[r>g]
第5章 日本への助言は何か[金融政策]
第6章 欧米をどう再建するか[富の世襲]
第7章 富に法則はあるか[資本収益率]
第8章 経済学はなぜ間違うのか[トリクルダウン]
著者経歴
西村克己(にしむら かつみ)・・・芝浦工業大学大学院客員教授、経営コンサルタント。1982年東京工業大学「経営工学科」大学院修士課程修了。富士写真フイルム株式会社を経て、1990年に日本総合研究所に移り、主任研究員として民間企業の経営コンサルティング、講演会、社員研修を多数手がける。2003年より芝浦工業大学大学院「工学マネジメント研究科」教授、2008年より芝浦工業大学大学院客員教授。
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