「私がくまモンの上司です―ゆるキャラを営業部長に抜擢した「皿を割れ」精神」蒲島 郁夫
2014/05/18公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
熊本県知事の蒲島(かばしま)さんの一冊です。熊本県といえば、天皇・皇后と面会した「くまモン」でしょう。
「くまモン」は、2011年の九州新幹線開業へ向けて、熊本県の認知度アップ作戦のマスコットとして生まれました。こうした自治体による異色のPR活動の背景には、異色の知事 蒲島さんがいたのです。
・いわゆる「ご当地キャラ」を、県庁のような自治体が職員として雇ってしまう(p29)
蒲島知事は、農協職員から畜産学を米国で学び、ハーバード大学大学院で政治学博士号。筑波大学講師、教授を経て東京大学教授という異色の経歴を持っています。もとから政治家になりたいと考えていたようで、若い頃から生意気な発言をしていたとのこと。
「できないと思うのではなく、どうやったらできるか」「皿を割れ」「120%準備する」思い切った活動が熊本県から出てくる背景には、こうした県知事の方針があるわけです。
そして県庁内では、県知事の命令に強制的に従わせたり、従わない職員を罰したりすることをしなかったという。なぜなら、強制させたりしてやらされ感があると、部下は能動的に仕事をしないし、責任感も生まれないからです。
・「期待値を超えよ」・・・「次は前回よりも難易度の高い仕事を任せたい」というふうに、より水準の高い挑戦の機会を与えられるのです(p222)
知事としては川辺川ダム計画を白紙撤回し、ダムによらない治水対策を追求しています。熊本港のガントリークレーンも中古を買ってきたという。トップの考え方というのは、組織にとって決定的に大事なんだなあと、感じました。
決して叱らない、強制しない、というのも実はすごいのではないかと感じました。この点はもう少し調べてみたいですね。蒲島さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・「ここまでやったから大丈夫」・・120%準備する・・私の一学期の成績は最高のストレートA(全優)でした・・・特待生として授業料免除を受けられることになり、いくつかの奨学金をもらえたのです(p200)
・「ああ無情(レ・ミゼラブル)」が面白かったのがきっかけで、それ以来本の虫になりました。小学校の図書室に置いてあった小説は、卒業までにほとんど全部読んでしまいました(p185)
祥伝社
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
第1章 熊本の営業部長くまモンは、最初は臨時職員だった
第2章 くまモン、日本から世界へ
第3章 合い言葉は、「皿を割れ」
第4章 リーダーとしての仕事術
第5章 逆境の中にこそ、夢がある
第6章 私の使命は熊本県民を幸せにすること
著者経歴
蒲島郁夫(かばしま いくお)・・・1947年、熊本県に生まれる。東京大学法学部教授。専門は、政治過程論、計量政治学。熊本県立鹿本高等学校卒業後、地元農協に勤務。1968年に農業研修生として渡米し、ネブラスカ大学農学部に入学。豚の精子の保存方法を研究し、1975年、ネブラスカ大学大学院修士課程修了。その後、ハーバード大学大学院博士課程に進学し、政治経済学を研究し、博士号を取得。筑波大学社会工学系教授などを歴任した後、1997年から現職。日本選挙学会理事長(2000~2002年)。二一世紀臨調運営委員。アメリカではサミュエル・ハンチントンなどの指導を受け、投票行動の実証的研究や政治参加に関する政治発展理論において業績をあげる。
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