「議論術速成法―新しいトピカ」香西 秀信
2014/05/08|

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【私の評価】★★★☆☆(72点)
内容と感想
■人が集まると、グループが形成され、
グループの中で意見交換が行われます。
グループでの意見交換では、
正しい人が勝つ場合もあるでしょうが、
議論のうまい人が勝つということもあります。
この本では、議論のうまい人に
どのように対応するのか
基本を学びます。
・「誰が語るか」が説得を左右する(p64)
■この本で面白いのは、
言い返すパターンを
具体的に示しているところ。
たとえば、
「ああいえば上祐」という人がいましたが、
同じようにノーベル文学賞の大江 健三郎さんも
「ああいえばこういう」
パターンを持っていました。
口のうまい人は、結論ありきで、
相手にもっともと思わせる
パターンを持っているのですね。
・いずれも自分にとって都合のいい結論を導き出す・・・再軍備について、大江氏の意見を批判する投書が匿名でなされたとする。大江氏は「暗やみから石を投げてよこす」その卑劣な精神を声高に糾弾する。が、その投書が署名入りであったときには、「再軍備に賛成の意見を公然と発表することが容易に」なるような「危険な風潮が一般化しはじめている」ことに警鐘を打ち鳴らすのである(p47)
■うちの会社でも
口だけがうまい人が
実際に存在しています。
例えば、具体的に提案しているのに、
「しっかり整理しないと」という人が
いるとします。
その場合には、
「ではどこを整理すればいいか
具体的に教えてください」
と言うようにする。
そうすると、二人の間の雰囲気は
かなり悪くなります。
相手は単にやりたくないことを
遠回しに言っているのに、
反論されて困っているのかもしれません。
もっと良い言い方はないだろうか・・・。
もっと議論術を学ぶ必要があるようです。
香西さん、
良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・日本の企業がアメリカの映画会社を買収しようとした・・・「映画はアメリカの魂だ。日本人は、経済力にものをいわせて、アメリカ人の魂を買うのか。」・・・その企業のオーナーが、「それではアメリカ人は、自分たちの魂を金で売るのか」(p33)
・例えば、国際派を自認する人々が、「そんな考えは、世界では通用しない」などと恫喝してきたときには、「"世界"というのは、具体的に誰(どこ)のことですか」と問いただせばいい。(p120)
・沈黙に陥らないためには、論法を蓄えるだけでなく、議論の展開をさまざまに想定して、相手の攻撃に即座に応戦できるような具体的な議論を前もって用意しておくことも必要となる(p92)
・小林秀雄氏は、議論で相手が何かを言い返すと、「そう言うだろうと思ってた。そういうのが一番つまらん、愚劣な奴のすることだ」と切り返すのを常としていた(p98)
・例えば、日本に滞在する外国人の犯罪が増加しているという統計が示されたとき・・・「すべての外国人が犯罪を犯しているわけではない。」・・・「こうした調査そのものに外国人に対する偏見がある。」このような発言は、思考の結果というよりも、<常套句>の反射的使用と見たほうがよい。(p110)
・優れたものは常に少数であるが、少数であるものが常に優れているとは限らない -これは使い古された常套句であるが、それでもなお、ある人々は少数派でいたがる(p140)
筑摩書房
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【私の評価】★★★☆☆(72点)
目次
序章 ギリシャの舌はまだ動いている
第1章 論法を蓄える
第2章 「常套句」を操作する
第3章 選ばれるための条件を知る
第4章 自分の「議論的」気質を発見する
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