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「ヴァージン―僕は世界を変えていく」リチャード・ブランソン

2014/04/15公開 更新
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ヴァージン―僕は世界を変えていく


【私の評価】★★★☆☆(77点)


要約と感想レビュー

 ヴァージン・グループの創業者リチャード ブランソンの自伝です。ドラッグから夜這い、そして脱税と、起業したての頃は、はちゃめちゃといったイメージでした。それでも、レコード販売から、レコードレーベルを立ち上げ、事業の基礎を作っていきます。


・1972年3月にリヴァプールのボールド通りにヴァージン・レコード・ショップを開店したとき、最初の一週間で一万ポンドを達成・・・一週間後は、7000ポンドになり、翌週の売上は3000ポンドに下がった。夏の盛りには2000ポンドにまで下がり、何がうまくいっていないのか調べにいった(p136)


 飛躍のきっかけは、レコードの製造から物流を委託することでハイリスク・ハイリターンのビジネスで勝利したこと。そして、ヴァージン航空を立ち上げたこと。その間、雑誌を創刊したり、映画を作ったり、冒険をしたり・・・。自分の感性でどんどん挑戦していくという感じでしょうか。


・サイモンと私は製造と物流を委託する方を選択することにした。これは「プレッシング・アンド・ディストリビューション」・・・とよばれる、大胆な決断だったが、成功するには大胆にやるしかないということを、私は心得ていた(p161)


 後半は、ブリティッシュ・エアウェイズからの営業妨害により、ヴァージン航空が倒産しそうになります。新しい勢力への旧勢力の圧力は、日本だけではないのですね。今もヴァージングループは多角化を進め、元気に稼いでいるようです。


 ブランソンさん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・いつも僕たちは、両親から"チャレンジ"を課されていた・・・母は僕たちに独立心を植えつけようとした。僕が四歳のとき、彼女は家から数キロ離れたところで車を止め、僕に草原を横切って自分で自宅まで戻るようにといった(p26)


・クリスマス・ツリーを育てたら儲かるかもしれない、と思った・・裏庭に400本の苗木を植えた。・・地上に残っていたのは一本か二本の小さな小枝だけで、ほかは全部ウサギに食べられてしまっていた(p51)


・映画製作のような危険なビジネスはしばらくの間ほかの会社に任せ、撤退することを決めた・・・映画では500万ポンドといえば、そのものずばりである。全額を即金で払い、たちまちのうちに映画製作に使われてしまい、その映画の成功や将来の映画の保証は何もない。これは一か八かの勝負である。(p256)


・イギリスの伝統に従って多額の配当を払うことは、まったく気がすすまなかった。利益を再投資して会社の力をつけ、株価を上げるというアメリカや日本のやりかたの方が気に入っていた(p314)


・上場会社の50%の株式の保有が会社を支配するためには重要だと、ほとんどの人が考える。これは論理的には正しいが、代表権を持たない役員を任命したり、シティを満足させるために時間を割いたりして、ほとんどの場合、自分はコントロールの力を失うことになる(p314)


・私は京都のヴァージン・メガストアの候補地を訪問した。マイク・インマンと私は東京から京都まで電車で行った。電車は「新幹線」と呼ばれ・・・まるで飛行機に乗っているようだった・・「イギリスの列車もなぜこうなれないのだろう」(p480)


・金融サービスの世界はミステリーと暴利に覆われているので、ちんぷんかんぷんの専門用語を使わず、隠された落とし穴をなくせば、ヴァージンが参入する余地があるのではないかと、私は本能的に感じた(p589)


・ヴァージンがしようとしていることは、一分野で、単一の旗の下に、ひとつの巨大な会社を作るのではなくて、200いや300もの別々の会社を作ることだ。(p632)


ヴァージン―僕は世界を変えていく
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リチャード ブランソン
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【私の評価】★★★☆☆(77点)


目次

第1章 チャレンジはわが家の教育
第2章 16歳の試行錯誤
第3章 「スチューデント」がいのち
第4章 ヴァージン・レコード創業
第5章 脱税旅行の豊かな代償
第6章 ショップ、スタジオ、そしてもう1つ
第7章 「チューブラー・ベルズ」大ヒットの顛末
第8章 公私ともどもの綱渡り
第9章 セックス・ピストルズ騒動
第10章 情事、そしてピストルズの分裂
第11章 多面化と不況の嵐
第12章 損益計算書は大逆転
第13章 君は誇大妄想狂だよ
第14章 ヴァージン航空の処女飛行
第15章 大西洋横断へのチャレンジ
第16章 ビッグバンの後はポップを少々
第17章 熱気球とBAと株価大暴落
第18章 ヴァージン・リテールの再編成
第19章 ビジネスも太平洋横断も日本で
第20章 湾岸戦争の人質救出作戦始末
第21章 太平洋横断気球冒険旅行
第22章 私はBAの不倶戴天の敵か
第23章 二つの転換点
第24章 襲撃は警告もなくやってくる
第25章 「ブランソンの気球は爆発するか」
第26章 BAのダーティ・トリックス
第27章 借金とBAとの挟み撃ち
第28章 失ったものと得たもの



著者経歴

 リチャード・ブランソン(Sir Richard Charles Nicholas Branson)・・・ヴァージン・グループ会長。1950年、英国ロンドン郊外のシャムリー・グリーンに生まれる。1967年、ストウ校を中退し、学生のためのオピニオン雑誌『スチューデント』の創刊に専念する。1968年、『スチューデント』を創刊。1970年、レコードの通販会社、ヴァージンを興す。1973年、ヴァージン・レコードを設立。ローリング・ストーンズ、セックス・ピストルズ、ブライアン・フェリー、ジャネット・ジャクソンなどを配下のアーティストとして迎えるかたわら、カルチャー・クラブ、ヒューマン・リーグ、フィル・コリンズ、ピーター・ゲイブリエルなど、スーパースターを次々と世に送り出す。1984年、ヴァージン・アトランティック航空を設立、英国第2の国際航空会社に育てる。その後、レコードをはじめとする小売、通信、放送、出版、旅行、鉄道、金融、化粧品、飲料などに事業を拡大し、グループ傘下の会社は100以上を数え、世界数十ヵ国に及んでいる。エイズ撲滅基金、育英資金など社会貢献にも積極的に取り組む一方、熱気球による大西洋・太平洋横断に挑むなど、冒険家としても名をはせている


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