【書評】「人生の頂点(ピーク)は定年後」池口武志
2025/11/26公開 更新
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
生涯現役で働くという選択肢
会社員の定年後について、考える一冊です。定年後の選択肢は、継続雇用契約で今の会社で働くこと。会社を辞めて、他の会社で働くこと。会社を辞めて、独立起業すること。会社を辞めて、悠々自適の生活をすることくらいでしょうか。
老後資金や年金に不安があるなら、仕事を続けることが必須となります。
著者は継続雇用とした場合でも、65歳以降、10年、20年生きることになることを指摘し、定年がないフリーランスや独立起業を目指したほうが、生涯現役で働ける可能性が高くなると指摘しています。
老後資金2000万円問題・・・審議会が示した報告書の中には、実は「高齢夫婦無職世帯の平均純貯蓄額2484万円」という数字が載っていました(p24)
フリーランスや独立のリスク
その一方で、フリーランスや独立起業した場合、収入が不安定であることや、病気になったら収入がなくなるなどの問題があります。フリーランス協会の平田麻莉さんは、そうしたリスクを減らすためにも、まずは副業から始めることを推奨しています。
副業で試し打ちする中で、実はニーズがなかったり、「思いがけない」部分で自分が重宝されたり、新しい発見があるというのです。また、積極的に社外に出ていくことで、「偶然出会った人がきっかけとなって、キャリアが開けた」ということが実際にあるという。
フリーランスを守るセーフティネットの脆弱さ・・・フリーランスになりたいと相談を受けても、最後は「自己責任」としかいえない(平田麻莉)(p123)
何をするかよりも誰と働くか
現実の現場を見てみれば、高い収入を維持している人もいれば、安い収入でも楽しんで働いている人もいます。例えば、シニア人材派遣で、「ビル設備管理」では年収300万円程度、マンション管理人では年収200万円程度だという。
また、どこで働くか、何をするかよりも、「誰と働くか」が最も大事だと就職相談の山根浩さんは教えてくれます。つまり、一緒に働く人が合わなかったり、イメージと違うと早期に退職する人が多いというのです。
マッチングの確率を上げるには「自分には何ができるか」を簡潔なキーワードで説明することが必要になります(p85)
自分をブランディングする
著者は定年後の仕事を考えるにあたって、「自分が最も自分らしく、演技しないで自然に仕事ができたのは、どの時期、どの職場でしょうか?」と問いかけています。
また、定年後に仕事をするとすれば、自分が何者で、なにができるのかを簡潔に伝えること、つまり自分をブランディングすることが必要となります。タイトルは「人生の頂点は定年後」ですが、頂点なるかどうかは本人次第なのでしょう。
池口さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・出世した方ほど否定されることが少ない・・・引退後の生活には否定も断りも日常ですから、今からでも素の付き合いを増やして、否定されることに慣れておいたほうがいい(木下紫乃)(p111)
・「社長に「教える」的なスタンスではなく、一緒に考えてくれる人」が求められているのです(保田邦雄)(p145)
・「よりよい会社にしたい」「よりよい社会を築きたい」という問題意識を常に持ち、会社組織や社会に対して主体的に働きかけていくこと(p84)
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池口武志 (著)、青春出版社
【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
第1章 まずは「お金の不安」を解消する―ゆとりある「年金+10万円」を確保する一番確実な方法
第2章 「働く環境の変化」に対応する―70歳就業時代に輝く人・かすむ人の分岐点
第3章 「自分の価値」を再発見する―定年後も求められ続ける人が50代から始めていたこと
第4章 50代からのキャリア相談最前線1―セカンドキャリアを見据えて準備しておきたいこと
第5章 50代からのキャリア相談最前線2―セカンドキャリアでうまくいく人、いかない人の分かれ道
第6章 いざ"人生の頂点"に向けて―軽やかに歩み出すための気持ちの高め方
著者経歴
池口武志(いけぐちたけし)・・・1963年、京都府生まれ。一般社団法人定年後研究所 所長。1986年、同志社大学経済学部卒業後、生命保険会社に入社。2016年より人材育成支援サービスを行う株式会社星和ビジネスリンクに出向。2018年、一般社団法人定年後研究所の設立を担当。以降、理事として「定年前後」に関する調査・発信活動、サービス開発に携わる。2021年より現職。
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