「日本の「安心」はなぜ、消えたのか―社会心理学から見た現代日本の問題点」山岸 俊男
2014/04/14公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
■この本では日本社会について
分析していきます。
日本の社会の基本は
「安心社会」です。
「安心社会」とは、
江戸時代の農村のように、
だれもがお互い知っている社会。
全員が内輪ですから、
相手が信頼できるかどうか
心配する必要がありません。
集団のルールに従わない人は、
"いじめ"ることで
排除すればいいのです。
・集団のルールにしたがわずに、みんなに迷惑をかけても
平気な人には排除をはじめとする「いじめ」で、
思い知らされるしか方法はないというわけです(p37)
■ところが、そうした「安心社会」は、
世界的に見れば特異な社会です。
グローバル化などという名のもとに、
「安心社会」が崩れていきました。
相手が信頼できるのかどうか
よくわからない社会。
日本の外側には、
騙されないように考えながら、
いろいろな人と付き合っていく社会があったのです
このような相手の信頼度を評価していく社会を
「信頼社会」としています。
・信頼社会において人間が他人を信頼し、
手を組もうと考えるのも、相手を信じても馬鹿を見ることがない、
損をすることがないという前提がなくては始まりません・・・
その前提を維持できる最大の力となるのは、
やはり法制度なのではないかと筆者は考えます(p223)
■これからの日本は、どんどん
「信頼社会」になってきています。
「安心社会」のつもりで、
簡単に相手を信頼したら騙されます。
そうしたリスクを理解しつつ、
新しい相手を探していくという
商人的なセンスが必要になっているのでしょう。
山岸さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・私たちは普段の生活において、
「今、自分はどう振る舞ったほうがトクをするか」ということを
意識的に、あるいは無意識に判断しながら暮らしている(p58)
・中国の人たちが一生懸命に働くようになったのは・・・
国営企業時代は「働かなくても食べていける」社会だったのが、
今度は「働けばもっといい生活ができる」社会になったから・・(p28)
・ジェノアの人々は商取引で何か問題が起きたときに、
それを公正に解決する場として裁判所を作りました(p219)
・「無私の精神」が崇高であるのは、
あくまで閉鎖社会の中だけのことであって、
それを信頼社会に持ち込むとおかしなことになる・・・
共存共栄していこうとする「市場の倫理」と
共存できるものではないからです(p250)
・利他的な精神を身につけた人たちは社会に対して、
つねに協力的であろうと心がけますが、
そういう人たちがいればいるほど、利己的な人たちは
「ただ乗り」の恩恵をより受けることができる(p179)
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
■目次
第1章 「心がけ」では何も変わらない!
第2章 「日本人らしさ」という幻想
第3章 日本人の正体は「個人主義者」だった!?
第4章 日本人は正直者か?
第5章 なぜ、日本の企業は嘘をつくのか
第6章 信じる者はトクをする?
第7章 なぜ若者たちは空気を読むのか
第8章 「臨界質量」が、いじめを解決する
第9章 信頼社会の作り方
第10章 武士道精神が日本のモラルを破壊する
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