「最終目標は天皇の処刑 中国「日本解放工作」の恐るべき全貌」ペマ・ギャルポ
2013/04/15公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
要約と感想レビュー
中国の侵略によりチベットという母国を失ったギャルポさんから、日本人への警告です。侵略された原因は、高地にあるチベットもまた"平和ボケ"であった、というのがギャルポさんの結論です。
チベットは高地になり、それまで他国に侵略されたことがなかったため、他国の侵略対策ができていませんでした。日本も海に囲まれ、他国に侵略されたことはほとんどありませんので、まさに平和ボケ状態と言えるのでしょう。
・チベットは国土の大半が4000メートル以上の高地にあり、自然の要塞となって侵略されることが少なかった。国際社会の荒波にもまれることがなかったことが、チベット社会に"平和ボケ"を生んだとも言えます(p89)
まず中国は、工作員をチベットに派遣し、反アメリカの世論を作ります。そのために、チベットの知識層である僧侶に工作員を侵入させ、思想教育を行います。中国と手を結び、欧米と距離を置くことがメリットがあるかのような風潮をつくり出すのです。
まさに、今の日本の状況と似ています。マスコミ、大学の教授などの進歩派と言われる知識層、一部政治家を取り込んで、中国共産党は日本の右派を批判し、米軍基地問題を煽り、日米同盟を破壊しようとしているように見えます。
・当時の知識層であった僧たちの間に「テンダ・アメリカ」(宗教の敵、アメリカ)という言葉に代表されるような考えが蔓延した・・私には、今の日本の「憲法九条」信仰と国防軽視という風潮と二重写しになってしまうのです(p105)
そして次に中国は、チベットから小さな妥協を取り付けます。一度、小さな妥協を許してしまえば、あとはどうとでもなるのです。少しずつ既成事実を拡大していけばよいのです。約束は守るものではなく、相手を妥協させるためのものなのです。
チベットの場合は、チベットに悪影響を与えない約束でチベットに中国軍の駐留を飲ませました。しかし、その約束はその後、無視されるのです。50年間の一国二制度を約束した香港が、すでに民主的な政治が失われたのと同じことが起きていたのです。
・十七カ条協定には「チベットから針一本、糸一筋も取らない」と明記してあるのに、その約束も守りませんでした。チベット各地に軍隊が駐屯していましたが、食料供給が十分でないので地元の村々に対して食糧を要求してくるようになりました(p53)
中国のチベット侵攻から学ぶべき点が多いと思います。大震災の原発事故と同じように私達は最悪を想定し、準備しなくてはならないのでしょう。なぜなら、原発事故と同じように、国家が一度侵略されれば、取り返しがつかないからです。
ギャルポさん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・政党工作・・・金銭、権力、名声等、欲するものを与え、又は約束し、必要があれば中傷、離間、脅迫、秘している私事の暴露等、いかなる手段を使用してもよい。敵国の無血占領が、この一事に懸っていることを思い、いかなる困難、醜悪なる手段も厭うてはならず、神聖なる任務の遂行として、やり抜かねばならない(p140)
・例えば、山口敏夫氏もそうでした。・・・山口氏の政治資金は、彼の親族会社が作っていたのだと思いますが、その会社に中国政府はマオタイ(中国特産の蒸留酒)を売る権利を与えました(p149)
・サミット前、NHKが沖縄の特別番組を放送しましたが、もともとは沖縄は琉球王国という国で中国の属国であったという、中国におもねるような内容でした。そうした中で、中国が沖縄に領事館を開設することを要求してきました(p192)
・チベット秘宝展・・この展覧会における中国側の最大の目的が、チベットが中国の一部であるということを既成事実として世界に認めさせること・・・この展覧会を朝日新聞とTBSが後援していました・・(p43)
・台湾で集まった義捐金は震災後一カ月足らずで、日本円にして140億円を超えました。・・・ところが、この事実を報道したのは一部のメディアに過ぎませんでした・・・中国から十五人の救援隊が派遣されたときは・・大手メディアが大々的に報じています・・ちなみに中国からの義捐金は10億円に満たない額です(p16)
・マスコミをいかに支配していくかについては、「新聞・雑誌」、「テレビ・ラジオ」、「出版(単行本)」に区分して、それぞれについて指針を示しています(p128)
・中国人ならば自由に移動できるのに対して、チベット人は別の町や村にいくためには公安当局の許可が必要です。・・・学校の試験は中国語なのでチベット語を勉強しても意味がない。仕事も中国語が喋れないと何もできない(p73)
・弾圧行為には、その地域社会で虐げられている貧民層のチベット人がよく利用されました。中国当局は彼らにお金や食料を与え、「富裕層を撲滅することが、貧者にとって唯一のチャンスだ。君も彼らは貧しい者から搾取したと告発すべきだと耳打ちしたのです(p66)
・経済力がついて自信がついてくると話がどんどん変わってくる・・2008年になると、「鄧小平同志がそんなことを約束した記録はどこにもない」と言う始末です・・・中国が「微笑外交」を採った本当の理由は、文化大革命という国内混乱から回復するまでの時間稼ぎ(p87)
・中央政府がしっかりしていて、チベット国民の意識が一枚岩であれば、中国の侵略を阻止できたはずですが、それができなかった。・・・その時点では遅すぎたのです(p98)
・最初の侵略地となった東チベットは、日本の戦国時代の野武士のような集団が群雄割拠するだけで・・・中央政府にも軍隊は存在していましたが、装備の面でも兵員数においても、広大な国土を防衛するには不十分でした(p104)
・第二期工作要領が発掘された1972年は、日本にとって重要な意味を持つ年だったと思います。「日中国交回復」「沖縄返還」さらには「あさま山荘事件」・・前年の1971年を振り返れば、中国が突然、尖閣諸島の領有を主張し始めています。それと合わせるかのように、 朝日新聞の本田勝一記者によって、"南京大虐殺"など旧日本軍の罪を捏造した『中国の旅』の連載が始まり・・(p115)
・敗戦日本を米帝が独占占領したことは悪質極まる罪悪であるが、米帝が日本の教育理念、制度を徹底的に破壊し、国家・民族を口にすることが、あの悲惨な敗戦をもたらした軍国主義に直結するものであると教育せしめたことは、高く評価させねばならない(p153)
・2010年7月、中国は国防動員法という法律を施行しました。この法律は中国国外に居住する中国人が、有事の際に中国政府の命令に従わなければならないというものです(p161)
・中国は、2009年頃から度々インド領に侵入しています。インド側が抗議しても、そうした暴発的行動がないように外務大臣同士で話し合いましょうなどと、あたかも国境警備隊が勝手に行動したかのようにはぐらかしています。中国の国家体制からして、軍の一部が勝手に動くなどということはあり得ません(p177)
・2000年7月、沖縄でG8サミット(主要国首脳会議)が開かれました。そのときに中国もオブザーバーとして招待されましたが欠席しました。理由は沖縄を日本の領土として認めたくないからです。・・中国という国は長期目的に関してまったくブレがありません(p191)
▼引用は下記の書籍からです。
飛鳥新社
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
目次
第一章・チベットと日本
第二章・私の故郷チベット
第三章・最終目標は"天皇制の廃止"
第四章・アメリカの思惑、中国の野望
第五章・いま、日本は何をすべきか
資料編・日本解放第二期工作要綱
著者経歴
ペマ・ギャルポ(Pema Gyalpo)・・・1953年、チベット・カム地方のニャロンに生まれる。1959年、中国軍の侵略によりインドに脱出。1965年、日本に移住。1976年、亜細亜大学法学部卒業。1980年、ダライ・ラマ法王アジア・太平洋地区担当初代代表。現在、拓殖大学客員教授、チベット文化研究所所長、アジア自由民主連帯協議会会長。2005年、日本に帰化。
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