「なでしこの父」阿部由晴
2012/08/10公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(81点)
■宮城県の常盤木学園で女子サッカー部を指導している
阿部監督の一冊です。
常盤木学園の女子サッカーの記録を調べてみると・・、
2008インターハイ優勝
2009インターハイ優勝
2010インターハイ準優勝
2011インターハイ優勝
2012インターハイ準優勝
すげー。
■では、どうやって指導しているのか。
じっと見る。
ひたすら見る。
そして、その子にふさわしい
声をかけてやる。
誉めてやるのか、
調子に乗るなというのか、
いっしょに生活して、ずーっと見ているから
適切な話ができるのです。
・いまは見ているだけです。
じーっと見る。動かないでただ見ています。
選手たちにはあまり言葉もかけません。
ただひたすら見る。
全神経を集中してピッチを見ます(p46)
■監督自身、よく勉強しているし、
プロの試合を見て、情報収集しています。
練習試合への移動用バスは自腹。
運転も自分。
バスを運転中に、
政治やお金や精神的な話を
選手にしてあげる。
選手のほとんどは寮住まいで、
食事は監督の奥さんが出している。
高校の先生が、
そこまでやってプロサッカー選手を
育成しているのに驚きました。
日本のサッカーを支えているのは、
サッカー協会ではなく、
こうした自腹の先生たちなのです。
・「世界で戦える選手を輩出したい」という指導者であれば、
やはり少なくとも日本代表のレベルは
把握しておかなければいけないし、
アジア全体のレベルもチェックしておくべきでしょう・・・
U-20の大会がロシアであったとき、
視察に行ったのは私とノリさん(佐々木則夫代表監督)の
二人だけでした(p125)
■阿部さんの指導は、
サッカー選手を育てているというより、
人間を育てているという
感覚だと思いました。
高校3年間が終われば、
サッカー選手となる子もいれば、
社会人として働く子もいるわけです。
そこでしっかりやっていける
人間を作りたいといいう
阿部監督の気持ちが伝わってきました。
・どうみたってサッカーでは大成しない子もいます。
だけどね。このできない子たちが大人になったとき、
母ちゃんになったとき、子どもたちに素晴らしい指導をする・・
指導者は「いま」だけを見ちゃダメ、
「未来」を見て指導をしなくちゃいけない。(p147)
■阿部先生とは、講演会などでよく
ご一緒させてもらうことがありますが、
やはり日本一の監督は違いました。
また来年も常盤木学園は
勝つのでしょう。
阿部さん、良い本を
ありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・女子チームを指導するときに一番大事なことは
ウソをつかないことです。
私自身が自分に対して正直でいること。
その姿をみんなは見ています。(p29)
・私は、練習や試合中の声は必要ないという
立場で指導しています・・
5万人の大観衆の中で試合をすることを考えたら・・
声を出したところで聞こえるわけはありません。(p56)
・サッカー部ができた頃から、続けていることがあります。
月に1度の清掃活動です。
朝5時半に寮を出発して仙台駅前に行き、
6時から7時ぐらいまで掃除をします。(p35)
・時間さえあれば講演会や勉強会にも積極的に参加します・・
そのために投資するのは当たり前のことです。・・・
学生が勉強するために学校にお金を払っているというのに、
私たち大人はどうしてお金を払わずに勉強ができる
というのでしょう。(p69)
・日本代表の狭い門をくぐれるかどうかは
親の資質によって決まります。・・・
立派なしつけと教育を受けて育った子は、感性が豊かで、
どんな環境に入ってもうまくやっていける(p62)
無双舎
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【私の評価】★★★★☆(81点)
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日々の頭の体操に又、書籍を購入する際の参考に
させていただいています。
本日紹介された「なでしこの父」のなかの
「指導者は「いま」だけを見ちゃダメ、
「未来」を見て指導をしなくちゃいけない。」
という言葉に震えました。
これは単なるスポーツ指導者だけでなく、
会社においても部下を育てるときの
考え方にも通じると思いました。
早速今日からこの考えを反芻し、
会社生活に生かしていきたいと思います。
是非手にとって読みたいと思います。