「世界地図から歴史を読む方法」武光 誠
2012/05/09公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(75点)
要約と感想レビュー
地図と歴史
社会人になると無性に勉強したくなってきます。日本史、世界史、物理、化学など、試験さえなければ、こうして学校でやっていたことが面白く感じてくるのでしょう。ということで、今日は、この本で、世界地図を見ながら歴史を学びます。
清朝の宮廷の貴族は満州族でしたが、実権を握っていた地主層は漢民族であったという。そして20世紀になって中国革命によって漢民族支配が回復されたのです。
イギリスも、ケルト人とゲルマン民族(ゲルマン人のアングロサクソンとノルマン人)との混血によってつくられており、そのケルト人も、紀元前五世紀ごろ大陸からイギリスに移住してきたとされているのです。
強い民族が力を用いて弱い民族を支配する。このことの繰り返しが、世界史の大きな流れをつくってきたといえる。(p15)
世界の戦争の歴史
この本を読んでいると、国家とは民族とはさほど関係ないということ。戦争で勝手に国境線が引かれたり、一緒の国になったり、内戦で分裂したりしています。それぞれ事情があったのでしょうが、戦争をして、それに疲れると講和する。人間とは愚かなのか、賢いのかわかりません。
こうした世界に比べ、日本国がいかに固有の文化を持ち、ほぼ単一民族の国家であるというのは、珍しいことです。天皇家もありますし。この国には不思議な役割があるのかもしれません。武光さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・現在、トルコに280万人以上、イラクに250万人以上、イランに230万人以上のクルド人がいるといわれる・・それぞれ独自の独立運動を繰り広げている。(p161)
・ドイツは近代にいたるまで、多くの王国や貴族領に分かれていた。ドイツ統一が成るのは、明治維新より新しい1871年である(p55)
・ロシア政府は、アルメニア人を「カフカスのユダヤ人」として、かれらと周囲のアラブ系民族とを対立させることによって、その地域の住民のロシア支配への反感をそらす政策をとった(p137)
・1941年、ペルーは武力で、隣国のエクアドルからオリエンテとよばれる平原地帯を奪った。そこの広さは、エクアドル全体の約半分近くもあった(p165)
河出書房新社
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【私の評価】★★★☆☆(75点)
目次
1章 弱小の民族が広大な領土を制覇しえた秘密
2章 強国の脅威から文化と誇りを死守した小国の苦闘
3章 宗教対立から国境線を争った民族摩擦の爪痕
4章 列強に挟まれ、翻弄された悲劇の民族たち
5章 今に続く民族紛争の火種を世界地図から読み解く
6章 敵視、対立の根が見えてくる「イラク問題」の真相とは
著者経歴
武光誠(たけみつ まこと)・・・1950年、山口県生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。同大学院博士課程修了。現在、明治学院大学教授。専攻は、日本古代史、歴史哲学。比較文化的視点を用いた幅広い観点から日本の思想・文化の研究に取り組む一方、飽くなき探究心で広範な分野にわたる執筆活動を展開している
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