「経営者・平清盛の失敗 会計士が書いた歴史と経済の教科書」山田 真哉
2012/03/12公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(82点)
■大河ドラマで「平清盛」が
放映されていますが、
それを狙ったかのような一冊。
この本で注目しているのは、
「平清盛」第8回にもでてきた「宋銭」。
銅でできた中国の貨幣です。
この時期に一気に通貨として
日本国内に広まったというのです。
・「宋銭」普及の謎・・日本経済史上、最大のミステリー・・
「絹・米を交換手段とする物々交換経済が、
たったの10年で貨幣経済へと変わった」(p58)
■平家が財をなしたのも、
平家が没落したのも、
「宋銭」が原因、というのが、
この本の主題です。
貨幣経済は、デフレとインフレ、
不況と好景気を循環します。
そして、天候不順による
大飢饉の発生が、
平家の天国から地獄への
運命を決めたというもの。
・宋銭普及は諸刃の剣でした・・・
寒冷化がまねいた未曾有の飢饉による、
デフレからハイパーインフレへの急激な転換・・
平家に栄華をもたらした宋銭は価値を失い、
かわりに平家に対する人々の強烈な不満だけを
残していったのです(p176)
■ただ、ドラマを見るよりも、
何が財をつくり、
権力と武力をつくるのか。
お金の面で見ると、
これまた面白い。
ただ、現代日本ではデフレから
一気にハイパーインフレは
勘弁してもらいたいものです。
山田さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・珍しい品々を売るのではなく、権力をもつ者に貢ぐ・・
これが、忠盛の戦略であった、と推測されます・・・
その効果もあってか、忠盛は当時一番稼げる役職であった
「国司」に任命されます。(p34)
・絹・米は貨幣の代替物としての役割を果たしてきました・・
ところが、宋銭が通貨になると、もはや絹・米を
貨幣代わりにして取引できなくなります・・
これは即ち、「絹・米の価格下落」・・
貴族や寺社、そして各地の有力武士(在地領主)にとっては、
収入が目減りしたも同然の非常事態です(p136)
・銭貨出挙は基本的に、借りた銭を1年4ヶ月後には
100%の利息をつけて返さなければなりません・・
深刻な銭不足の問題につながるのです(p152)
・2009年11月、北朝鮮は深刻なインフレに対処するため、
旧通貨100ウォンと新通貨1ウォンとの交換を行いました・・
ところが、旧ウォンから新ウォンへの交換に上限があった・・
人々は「お金」を信用しなくなり、商品・モノの確保へ
シフトします・・物価が上がり、インフレになります(p86)
講談社
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【私の評価】★★★★☆(82点)
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