「流れる星は生きている」藤原 てい

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流れる星は生きている (中公文庫)

【私の評価】★★★☆☆(77点)


■戦後、満州から6歳、4歳、生後半年の
 乳のみ子を抱えながら、
 日本への帰還を果たした藤原さんの一冊です。


 4歳の子は、数学者 藤原正彦として
 「日本の品格」を著しています。


 満州からの引き揚げは、
 団体で移動しましたが、
 食い物がない。
 寒い。


 最後に38度線を越えるときには、
 足には石が食い込み、
 血と砂で黒ずみ痛む状態でした。


 家族4人が日本に帰れたのは、
 一つの奇蹟だったのでしょう。


両足の裏に血と砂と泥がこびりついたまま、
 はれあがっていた。・・・「痛い痛い」と
 泣く正彦を、蹴とばし、突きとばし、ひっぱたき、
 私は狂気のように山の上を目ざして上っていった(p216)


■この本でわかるのは、
 まず引き揚げたのは関東軍関係者、
 政府関係者ということ。


 政府関係者であっても、
 事前の情報は少なかったようです。


 移動が遅れた民間人は、
 さらに悲惨だったのでしょう。


 福島の原子力事故で、原子力安全保安院職員が
 3月15日には福島県庁に
 退避していたのが頭に浮かびました。


・私たちの観象台団体が最も貧乏であることがわかってから、
 私たちはなぜ計画的に荷物を輸送して貰えなかったかを嘆き、
 そして観象台の指導者たちの無能を非難した。
 私の夫もその無能の一員であった。(p27)


■そして避難において、
 必要なのは"金"。


 移動にも食料にも
 すべて金
がかかります。


 金を持っている人が、
 より安全に引き揚げることができるのです。


 金のない人は、
 自分で稼ぐしかないのです。


・私たちの共同の糧食は十日間で尽きることになっている。
 それまでに自活の道をたてねばならない。米が一升45円する、
 とうもろこしが一升15円する、私の四人家族で最低生活を
 するには一日二十円はどうしてもかかる。(p123)


■この本を読んで、
 組織のトップが間違うと、
 とんでもないことになる。


 満州にしても、
 原子力にしても、
 最悪を想定できていないリスクは、
 恐ろしい結果を生み出します。


 それは、どんなに現場で、
 努力しようと、
 カバーできるものではないのですね。


 藤原さん、
 良い本をありがとうございました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・私がこの崖の下を出て見たものは、
 一人の気の狂った女であった。
 「う・・・あ・・・坊やが死んだ!」
 と絶叫している一人の女が狭い道に倒れていた(p190)


・でも私が想像する場面はいつも親子四人で死ぬところであった。
 咲子は黙って死ぬだろう。正広は私の眼をとがめるように
 見つめて死ぬだろう。正彦は最後まで死ぬのはいやだと泣くだろう。
 私はこんなことを想像していつの間にか自分が泣いているのに
 気がついては現実にかえるのだった。(p93)


・日本人、ほんとうに気の毒だと思っています。
 だが、今あなたにものを上げると、私は村八分にされます。
 今まで私たちが苦労していたのは日本の政府が悪かったからだと、
 日本人をみんな恨んでいます
 でも、あなた方には何の罪もありません。
 今、私がものを捨てますから、
 あなたは、それを急いでお拾いなさい(p144)


・私は朝誰よりも早く起きて、行く処があった。
 市場へ行くのである。・・およそ食べられるものは拾うのである。
 ネギの葉、大根の屑、芋の捨てたの、これらを縄で作った
 手提げ籠にぶち込んで急いで帰ってくるのである(p138)

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藤原 てい
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【私の評価】★★★☆☆(77点)



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