「働かないアリに意義がある」長谷川 英祐
2012/02/10公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(73点)
要約と感想レビュー
■進化生物学という分野があるようですが、
著者はその中でも、「社会」を形成する
生物を研究しています。
人間もそうかもしれませんが、
研究対象は、ハチやアリ。
そうした研究の中で見えてきた
社会の仕組みを教えてもらいましょう。
・アリやハチのワーカーが社会をつくって他者のために働くのは、滅私奉公しているわけではなく、そうしたほうが自らの遺伝的利益が大きくなるからだと考えられています(p108)
■面白いところでは、
エサを巣まで運ぶ場合、
最も効率的に運べる可能性が高いのは、
人の話を聞かないバカなアリを
含めたときらしいのです。
つまり、決まったルートを通らないことで、
もっと効率的なルートを
発見することがあるということ。
変わり者にしか
革新はできないということでしょうか。
また、タイトルにあるように、
働かないアリは、非常時のバックアップ要員として
効果があることが検証されているとのこと。
頑張り屋は、やりすぎて倒れることも
ありますので、余裕が必要なのですね。
・働いていたものが疲労して働けなくなると・・・いままで「働けなかった」個体が・・働きだします・・・つまり誰もが必ず疲れる以上、働かないものを常に含む非効率的なシステムでこそ、長期的な存続が可能(p75)
■研究者さんの本なので、
やや固さがありましたが、
社会というのは面白い。
自分も社会の一員ですから。
私は、アリを測定するなら、
組織内の人間を測定するのも
面白いのでは?と感じました。
長谷川さん、
よい本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・ハチもアリも、非常に若いうちは幼虫や子どもの世話をし、その次に巣の維持にかかわる仕事をし、最後は巣の外へエサを取りにいく仕事をする(p38)
・完全にAを追尾するものばかりの場合よりも、間違える個体がある程度存在する場合のほうが、エサ持ち帰りの効率があがった・・・ある程度バカな個体がいるほうが組織としてはうまくいく(p46)
・あまりにも毒性が強いと病原体が別の宿主に移る前に宿主を殺してしまい、強毒の遺伝子型は淘汰されてしまうのです(p122)
・発見されているすべての生物が核酸(DNA,RNA)に書かれた遺伝情報をタンパク質に翻訳して生命活動を行うことなどから考えて・・最初、生物はたった1種類だった・・それが長い進化の過程を経てたくさんの種類になり、生物の世界はどんどん多様化してきたのです(p172)
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【私の評価】★★★☆☆(73点)
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アリに関しては、働きありの中にも何割かは
働かない(サボる)ありがいて、それを
取り除けばまじめに働くありだけが残るのですが、
しばらくすると残った中にサボりだすありが
出てくると言う話も聞いたことがあります。
今日紹介された内容と併せて考えると、
働かないありも組織には必要なのかなぁと
ちょっと思ってしまいます。
個人的には両方を備えた形を目指していければ
と思っています。
こういった新たな気付きを与えてもらえる
貴メルマガにはいつも感謝しています。
また、ずっと購読させていただきたいと思います。
今回はアリの話でしたが、
「パレートの法則」を思い出しました。
いわゆる80:20の話ですが、
おもしろいことに上の80だけ残しても、
その80の中でまた80:20に
分かれてしまうそうですね。
人生もハンドルの遊びというか、
「余剰」の部分に何か意義があるように思いますが、
私のような組織人でも考えさせられるものがあります。
しかし、ソムリエ様は毎日一冊お読みなのですね…
どうやったらその読書量を維持できるのか…
それが不思議です。私は速読など知らないので。。。
いつも楽しみにしています。
頑張ってください!