「働かないアリに意義がある」長谷川 英祐

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働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)
長谷川 英祐
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【私の評価】★★★☆☆(73点)


■進化生物学という分野があるようですが、
 著者はその中でも、
 「社会」を形成する生物を研究しています。

 人間もそうかもしれませんが、
 研究対象は、ハチやアリ。

 そうした研究の中で見えてきた
 社会の仕組みを教えてもらいましょう。


・アリやハチのワーカーが社会をつくって
 他者のために働くのは、滅私奉公しているわけではなく、
 そうしたほうが自らの遺伝的利益が大きくなるからだと
 考えられています(p108)


■面白いところでは、
 エサを巣まで運ぶ場合、
 最も効率的に運べる可能性が高いのは、
 人の話を聞かないバカなアリを
 含めたとき
らしいのです。

 つまり、決まったルートを通らないことで、
 もっと効率的なルートを
 発見することがあるということ。

 変わり者にしか
 革新はできないということでしょうか。


 また、タイトルにあるように、
 働かないアリは、非常時のバックアップ要員として
 効果がある
ことが検証されているとのこと。

 頑張り屋は、やりすぎて倒れることも
 ありますので、余裕が必要なのですね。


・働いていたものが疲労して働けなくなると・・・
 いままで「働けなかった」個体が・・働きだします・・・
 つまり誰もが必ず疲れる以上、働かないものを常に含む
 非効率的なシステムでこそ、長期的な存続が可能(p75)


■研究者さんの本なので、
 やや固さがありましたが、
 社会というのは面白い。

 自分も社会の一員ですから。

 私は、アリを測定するなら、
 組織内の人間を測定するのも
 面白いのでは?と感じました。


 長谷川さん、
 よい本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・ハチもアリも、非常に若いうちは幼虫や子どもの世話をし、
 その次に巣の維持にかかわる仕事をし、最後は巣の外へ
 エサを取りにいく仕事をする(p38)


・完全にAを追尾するものばかりの場合よりも、
 間違える個体がある程度存在する場合のほうが、
 エサ持ち帰りの効率があがった・・・
 ある程度バカな個体がいるほうが組織としては
 うまくいく(p46)


・あまりにも毒性が強いと病原体が別の宿主に
 移る前に宿主を殺してしまい、強毒の遺伝子型は
 淘汰されてしまうのです(p122)


・発見されているすべての生物が核酸(DNA,RNA)に
 書かれた遺伝情報をタンパク質に翻訳して生命活動を行う
 ことなどから考えて・・最初、生物はたった1種類だった・・
 それが長い進化の過程を経てたくさんの種類になり、生物の
 世界はどんどん多様化してきたのです(p172)


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