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「政治家の殺し方」中田 宏

2011/10/28公開 更新
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政治家の殺し方

【私の評価】★★★★☆(87点)


■横浜市長だった7年間で、
 赤字の収支を黒字とし、
 累積黒字額214億円という結果を残した
 中田さんの一冊です。


 しかし、214億円の代償は高かった。
 愛人から裁判で訴えられる。
 死ねメールをもらう。
 「殺す」電話をもらう。


 「週刊現代」で7週連続で
 スキャンダル記事を
 書かれることになるのです。


・2007年11月10月号から始まった「週刊現代」の
 スキャンダル記事は7週にもわたって連載され・・・
 裁判では完全勝訴している。(p5)


■中田さんが市長時代に行ったのは、
 次のようなことです。


 指名競争入札を一般競争入札にする、
 →建設業界の恨みを買う。


 公務員の数を減らし、
 手当てを見直す。
 →職員の恨みを買う。


 風俗店を摘発する。
 →暴力団の恨みを買う。


 恐ろしいグループを
 敵にまわすことに
 なってしまったのです。


・続々と届く職員からの「死ね」メール
 「おまえはバカだ」
 「おまえみたいな野郎はとっとと消えろ」
 「バカ市長、調子にのるな」
 すべて実際に送られてきたメールの文面だ(p119)


■米国の企業なら、
 これくらいの成果を残せば、
 10億円くらいのボーナスをもらって
 さっさと引退するでしょう。


 改革して恨まれ、
 給料は安いという政治の世界では、
 よほど変わり者でなければ
 勤まらないと感じました。


 そういう意味で
 中田さんにはご苦労さまと
 いいたいですね。


 あわせて、
 中田さんのスキャンダル記事を
 裏もほとんど取らずに掲載した
 当時の週刊現代の編集長であった
 加藤晴之さんの本も
 読んでみたいと思います。
 (フライデー編集長もしていたようです)


 中田さん、
 良い本をありがとうございました。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・『私が愛人です』と名乗り出ただけで、
 全国ニュースに流される(p24)


・利権に群がるハイエナたち-1 風俗業界編
 当時の横浜には違法売春店が溢れていた。・・・
 神奈川県知事、神奈川県警察本部長、警察庁長官に
 「どうして違法行為を見逃しているのだ」と
 直談判した。(p47)


・小泉純一郎元首相から「中田さん、
 マスコミが書くことは無視するに限る。
 訴えたりしなくていい。放っておくに尽きる」
 とアドバイスしてもらったことがある。(p82)


・退職時一時昇給という"慣行"があった。
 信じられないかもしれないが、
 どの職員も退職する
 最後の1日だけ昇給していたのだ・・・
 退職金が膨らむ・・明らかに
 お手盛りだったので撤廃した(p118)


・特殊勤務手当の見直しによって、
 年間29億円以上もの経費を削減することができた・・・
 「職員に思いやりがないバカ市長」という
 職員からのメールが送られてきた(p132)


・議員は後援会を強固にするために、
 当選ラインを念頭に支持者名簿を整理し、
 バス旅行やゴルフコンペを催して、
 自分の確実な支持者をつくることに精を出す。・・・
 「なんでこの人が?」という人が
 当選する背景にはこういう事情がある(p143)


・利益を奪われる当事者にとっては
 生死がかかっている。
 となれば、こちらも命がけだ。
 命がけの改革の結果、
 命=政治生命を狙われたとしたら、
 政治家としては本望である(p162)


政治家の殺し方
政治家の殺し方中田 宏

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【私の評価】★★★★☆(87点)


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