「突破者―戦後史の陰を駆け抜けた五十年」宮崎 学
2011/04/29公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(90点)
■京都でヤクザの息子として育ち、
早稲田大学ではマルクスを読み学生運動活動家。
週刊現代の記者を経て、
実家の土建屋に舞い戻って大暴れ。
金策に走っているときに、
グリコ・森永事件のかい人21面相に間違えられる。
その後は東京に戻って用心棒や
バブルに乗って地上げ屋をしていた
宮崎 学さんの一冊です。
・びびるな。相手の心にとどめをさせ。自分を捨てろ。
これだけを実行していければ、
ヤクザとして生きられる(p299)
■ヤクザの親族なためか
やることなすことがすごいのですが、
それにもまして
週刊現代の記者らしく、
文章が面白い。
さらに左翼らしいので
世の中の本質を語る理論が
整然としている。
裏の世界を歩いてきた人にしか書けないし、
すべては書けないんだろうなと
思いながら興味深く読める一冊です。
宮崎さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・「教科書を読むのが勉強ではない。勉強とは世の中や
自然の成り立ちの根っこをしっかりと摑むことだ」
と常々いっていた天ヶ瀬の教えもまた仰天の連続だった(p36)
・喧嘩にまつわるわが家とその周辺の道理は、
「身内がやられたときは、たとえこちらに非があろうとも、
相手に復讐しろ。それはやらない者は人間のクズだ」
という単純極まりないものだった(p47)
・在日朝鮮人は、戦後日本の革命運動の戦闘的翼を
成してきた歴史をもち、朝鮮戦争中の祖防(祖国防衛委員会)
の活動は日本共産党が指導する非合法武装闘争を
最も先鋭的に担った部分だったと後に
当時の日共地下幹部から聞いたことがある(p81)
・「金がないのは首がないのと一緒や」
と関西の実業界や裏社会ではよくいわれる。・・・
金はすなわち力であり、
人格を主張表現する唯一の基盤である。(p303)
・「倒産したら、一年間は琵琶湖で釣り糸を垂らしていろ」
これは「日本のユダヤ」と呼ばれる近江商人の間で
言い伝えられている格言である。(p319)
・金融機関の連中は「・・・サラ地のままにしときなさい。
そのほうが売りやすいし、利益も上がる」・・・
そこには、資本の中枢としての社会への配慮や、ましてや
社会的責任など毛ほどにも感じられなかった。(p411)
・パチンコとソープランド・・・
利権を警察の外郭団体が取り上げた・・・
四代目会津小鉄会長の高山昇久太郎は公安委員会の聴聞の場で、
「公安委員会と警察こそ日本最大の暴力団やないか」(p443)
【私の評価】★★★★★(90点)
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