【書評】「キリスト教は邪教です! 現代語訳『アンチクリスト』」フリードリッヒ・ニーチェ
2010/11/24公開 更新
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【私の評価】★★☆☆☆(68点)
要約と感想レビュー
キリスト教は死んだ
「神は死んだ」という言葉で知られる哲学者ニーチェが、こうした激烈な書物を残していたことは、この本を読むまで知りませんでした。1888年、ニーチェが精神的な破綻に向かう直前に書き上げたこの本は、彼の思想の中でも特に攻撃的な作品として知られています。
この本の中でニーチェが指摘するのは、キリスト教の制度的な権威主義と、その教義の内部矛盾です。
ニーチェの主張の根底には、宗教的が人間の知的探求を抑圧してきたという歴史認識があります。これはキリスト教そのものへの断罪として読むよりは、19世紀の科学と宗教の緊張関係を背景にしているのでしょう。
キリスト教徒が幅をきかせている世の中では、科学は「神の敵」と呼ばれて、長い間不当な位置におとしめられてきました。(p33)
権威としての教会への批判
ニーチェが批判するのは、聖職者・僧侶という「権威を独占する者たち」です。
聖職者が『神は悔い改めるものを許す』言っていることについて、ニーチェは「自分たちに服従すれば許してやる」と解釈しているのです。
つまり、「あの世」「最後の審判」「霊魂の不死」といった教義は、聖職者が民衆を支配するため道具として機能してきたニーチェは考えているのです。
ニーチェは、教典の成立過程についても厳しい目を向けています。聖職者が『聖書』を勝手にでっちあげ、聖職者によって『発見』されるというのです。
十字軍についても、「十字軍の目標は金品を収奪することであり、十字軍とは、高級な海賊にすぎないと断罪しています。
僧侶たちは、「あの世」「最後の審判」「霊魂の不死」といった大ウソを武器にして、支配者となったのです。今では誰もがそのことを知っているはずです(p91)
イエス本人とキリスト教会の分離
この本で最も重要なのは、ニーチェが「イエス本人」と「後の教会が作り上げたキリスト教」を明確に分けて論じている点です。
ニーチェの解釈では、イエス自身の教えと、弟子たちや後の教会がそれを体系化していく過程で生まれた教義との間には、大きな差があるとしています。
イエスは人間の罪を許すために犠牲になったのではなく、イエスは神と人間との隔絶を認めず、イエスは神と人間の一体化を教えとしていたとしています。
イエスの弟子たちは、イエスを理解しようとしたものの、無理だったので、理解できる範囲で聖書を書いたという解釈なのです。
ニーチェの批判は、特定の信仰そのものというより、権威が信仰を利用して人々を支配する構造への批判なのでしょう。ニーチェとは思ったより科学的だったんだなと思いました。ニーチェさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・『新約聖書』の世界はほとんど病気・・・イエスの初代の弟子たちは・・・なんとかイエスを理解しようとしたけど、無理だった。そこで、自分たち理解できる範囲の中に、イエスを押しこんでしまったのです。(p78)
・教会はキリスト教を広めるために、古代ギリシアのエロ話などを使いだし、あげくの果てには、「聖母マリアは処女で妊娠した」などと言いだしました。処女が妊娠するわけがないでしょうが(p86)
・罪を許すために犠牲になるなんて発想はイエスにはありません。イエスは神と人間との隔絶を認めなかったからです。イエスは神と人間の一体化を、教えとして生き抜いた人なのです。(p99)
講談社
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【私の評価】★★☆☆☆(68点)
目次
第1章 「神様」ってそういうことだったのか
第2章 キリスト教が世界をダメにする
第3章 キリスト教はイエスの教えにあらず
第4章 戦争を生み出す『新約聖書』
第5章 敵はキリスト教なり
著者経歴
フリードリッヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ(Fridrich Wilhelm Nietzsche)・・・1844年、ドイツ・ザクセン州生まれ。1900年没。哲学者、古典文献学者。ルター派の牧師の子として生まれ,ドイツの名門校プフォルタ学院に特待生として入学。その後、ボン大学、ライプチヒ大学を経て、古典文献学の権威フリードリッヒ・リッチュルと出会う。実存主義の先駆者として、あるいは「生の哲学」の哲学者として、そのニヒリズムの到来を説いた哲学が20世紀の文学・哲学に与えた影響には多大なものがある
キリスト教関連書籍
「福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会」 加藤 喜之
「ビジネスで勝ち抜くための聖書思考」野田和裕
「現代アメリカ宗教地図」藤原 聖子
「キリスト教は邪教です! 現代語訳『アンチクリスト』」フリードリッヒ・ニーチェ
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