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「いっしん虎徹」山本 兼一

2010/10/28公開 更新
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いっしん虎徹 (文春文庫)


【私の評価】★★★☆☆(78点)


要約と感想レビュー

 江戸時代に、長曽祢虎徹という名刀工がいました。その刀は「虎徹」と呼ばれ非常に切れる名刀で、贋物も多いのです。


 そうした名刀がどうやってできたのかが、この本でわかります。そこにあるのは、「自分にならできる」という根拠のない自信。そしてその自信から生まれる狂ったかのようなこだわりと鍛錬。それが行動となり結果を産むのです。


・出来る。出来る。必ず名刀が出来るわい。おれは、必ずおれを超えられるわい。(p30)


 金がなくても食うものを食わないで材料を買う。気がつくと夜中になっている。そうした狂気にも似た職人魂。日本人には時々こうした人が生まれるようです。山本さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・おもわず手を合わせて空を拝んだ。われに名刀を鍛えさせたまえ。(p121)


・刀の鍛錬は、失敗の多い仕事だ。どんな名工がやっても、うまくいくばかりとはかぎらない。何十振り打っても、満足のゆく刀はなかなか出来ない。(p132)


いっしん虎徹 (文春文庫)
山本 兼一
文藝春秋
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【私の評価】★★★☆☆(78点)



著者経歴

 山本兼一(やまもと けんいち)・・・1956年、京都市生まれ。同志社大学文学部美学及び芸術学専攻卒業。1999年「弾正の鷹」で小説NON短編時代小説賞を受賞。2004年「火天の城」で松本清張賞を受賞、同作は直木賞候補にもなった


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